2010年パンクスプリング第一日目のサプライズ
スタラングラーズ50周年記念で公式サイトより転載。
これは、2010年のパンクスプリングの時に起きた、ある意味奇跡ともいえる出来事です。
Covid-19感染症でDaveが亡くなってしまった今、読み返すと本当に懐かしく切なく感慨深い出来事でした。
そして、そこにはワクワクする事件が待っていた。
事の発端は、せっかくファンのみんなが集まるのだから、お食事会かお茶会をして交流を深めましょう、というYukaさんの提案からだった。それで、いいアイディアだと賛同し、SIS限定にしたほうがいいよねと言ったら、バンドのメンバーが来るとかいうなら、そうした方がいいかもれないけど、そんなことありえないから、ファンなら誰でもいいんじゃない? という返事。それなら、臨機応変に会場で声をかけてもいいねと考えていた。
しかし、名古屋の前日、Yukaさんから「ダメ元で誘ってみるね」というメールが来た。それでも、私は夢の夢だな、と思っていた。もっとも若干の期待は・・・いえ、すみません、一瞬の間、相当期待しました。でも、ダメだったことを考えたら、期待するとダメージが大きい。それで、私はすぐさま期待を押さえ込んだ。
「あり得んやろ」
そして、当日。ZEPPに入ってドリンクを注文していたら、携帯にメールが入ったので急いで出た。すると……。
(なになに『メンバー全員行きます!』ぅ?
(……なぁに~~~!!!)
私は電話を取り落としそうになった。
(全員ってことは、あの人もあの人もあの人も? うっひゃあ~。えっと、『みなさん誠実なファンだからと、言ってくれて、行くことに合意してくれました』。うおぉぉ~! 超弩級サプライズだぁ~~~!!)
私は今すぐにでも、みんなにそれを伝えたいと思ったが、もし、結局だめでしたってことになった場合、期待以上の失望をさせることになる。それならサプライズにしたほうが喜びもひとしおだろうと思った。で、急遽、SISのみのお食事会に変更した。
しかし、ストラングラーズの出番が終わって、残った人数を見て、Yukaさんが言った。
「ねえ。この人数なら、みんな来ていいんじゃない?」
急遽、アニイさんとジュニア(会場で出会った若いファン。マジ若いのであっという間に呼び名が『ジュニア』となった)を誘ってみる。もちろんサプライズのことは内緒だったが。しかし、ジュニアは、最終バスが6時半だからと、残念そうに言った。アニイさんも用があるという。しかし、彼は少しだけなら良いか、と、予定を変更して来ることとなった。気の毒だったがジュニアは仕方がない。まあ、彼以外はファン歴30年以上のベテランキャリア組だ。ある意味、メンバーに会うには10年早かったということなのだろう。
そして、お食事会会場の『世界の山ちゃん』。
予定時間の7時半より早く、彼らは姿を現した。
その時のみなの表情が忘れられない。一回、メンバーのほうを見、再度確認して「うそっ!」と立ち上がった。これぞ、サプライズ。
さらに、こういうことは本国イギリスでもないことらしい。ほとんど奇跡に近いことだったのだ。『馬鹿の一念岩をも通す』というが、まさにストラングラーズ馬鹿たちの引き起こした奇跡といえるかもしれない。
参加者は、まず、ストラングラーズの3人、マネージャーのギャリーさん(この人がまたバンドのメンバーより良い体格で)、はるばる英国組のジョン君とアンドリュー君、加藤さん、アニイさんそしてSIS Japanが5人で、計13人。おおっ。狭い席でみなぎうぎう。おかげで妙な遠慮がなくなって、早くも和気藹々。これは、ストラングラーズの面々の人柄もあるだろう。もちろん、節度は保ちました。みなさんいい大人だからね。
ほかのお客さんはもちろん驚いていたけど、単にでかい外人が現れたからだけ。よもや英国では有名なロックスターとは誰も思わなかっただろう。プロレスラーあたりだと思われたかもしれない。
さて、最初は狭いスペースでの席決めで皆が譲り合って大混乱。緊張で固まっていた私たちだが、先に書いたように時間がたつにつれて慣れてきたらしく会話が成立し始めた。しまいには緊張感などどこへやら。しかし、kiyoさんだけは最後まで緊張して固まっていたのだった。
楽しいひと時はすぐに終わる。最初は1時間くらいといっていた彼らだが、結局2時間くらい居てくれた。それでもタイムアウトはやってくる。別れ際がまた大団円。そうして彼らは嵐のように去っていった。
メンバーとギャリーさん、そしてYukaさんが去った後、彼らと一緒に来た中では加藤さんだけが残った。しばらく加藤さんとお話をする。彼の話は面白くて飽きない。加藤さんは、昔Kレコードに勤めておられて、ストラングラーズを日本で売り出そうと努力されたのがほかならぬ加藤さんだった。彼こそ、日本人で一番先に彼らと接触した人物なのである。彼からは、某所からメンバーの一人にオファーがあっているという、ちょっと面白い企画についても聞いたが、それは、ファンとしてはぜひ通って欲しい企画だった。私も少しアドヴァイスをしたが、役に立ったらいいな(結局それは日本では叶わず、去年フランスで出版されたJJの自伝本の企画だった。私の提案は、出版する前にWEB新聞などで連載後出版したらどうかというやつだったと記憶している。今年英語版が出る。日本版は無理だろうか。いやもう、いっそWEBで漫画化してくれんかな? 無理やな)
時間がたち、私たちも帰る時間となった。しかし、ニコルさんがビアジョッキを持ったまま離さない。聞くとバズが飲んだジョッキだという。ニコルさんはバズの熱狂的ファンだった。JJファンが多数を占めるストラングラーズファンの中では貴重である。それはともかく、そのジョッキどーする気? と、彼女はそれをバッグに・・・。おい! すると、GPZさんもJJの飲んだグラスをキープして、持って帰るという。
清算時にジョッキの値段を聞くと400円だという。で、持って帰りたいから買いたいのだが、というとOKらしい。店員の女性が新しいジョッキを出そうとしたのであせって止めた。
「これがいいんです!」
店員にあきれられながら、私たちは店を後にした。ジョッキ事件は加藤さんにはウケたらしい。私たちはジョッキ組二人に、くれぐれも戦利品を洗わないように釘を刺した。
その後、それぞれの宿泊場所を目指して解散。第1日目が終わったのだった。
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