監督:野口晴康
特技監督/原案:渡辺明
脚本:山崎巌・中西隆三
撮影:上田宗男
美術:小池一美
音楽:大森盛太郎
【出演者】
川地民夫・山本陽子・桂小かん・小高雄二・和田浩二・町田政則
雪丘恵介・弘村三郎・押見史郎・藤竜也・大谷木洋子
〔日活映画〕
会社の近くのレンタルビデオ屋に貴重なガッパのビデオがあり、ずいぶん長い間借りようかどうか迷ったが、ようやく意を決して借りて見た。
いろんな意味で見るのが辛かったぞ。
当時らしいベンチャーズのような前奏の後、
♪火を噴く島か、空飛ぶ岩か、
宇宙の神秘、怪獣ガッパ♪
という、歌で始まるのがこの日活の怪獣映画。私は一発で旋律を覚えてしまった。カラオケにあったら歌えるぞ(ないよな)。これは「妖星ゴラス」の挿入歌、♪おいらは宇宙のパイロット♪(歌詞が合ってるか自信なし)に匹敵するインプレッションかもしれない。「ギララ」のオープニングの歌も素敵だったが(笑)。
ガキの時に見に行って、最後のガッパ~~というところは覚えていたが、最後にガァッパァァァ~~~と4回もリフレインするとは思わなかったぞ。
子供の時の記憶はガッパ親子の感動の出会いのあと、親子で南の島に帰る前に、仲むつまじく飛ぶ練習をし、最後に朝日に向かって3匹が飛んで帰るシーンに例の「ガァッパァァァ~~~」という歌がかぶる名場面しか覚えていなかった。
ん?しかししばし待て。朝日に向かって?南洋の島じゃなかったか?
プレイメイト社のテーマパークのため、南洋の珍しい動物を集める命を受け、キャサリン諸島はオベリスク島に着いた調査隊一行は、島民から熱烈な歓迎を受ける。日本人がガッパの怒りを静めてくれると思っているらしい。しかし、怒りを静めるどころか、恩知らずにもガッパの子供を日本に連れて行ってしまい、島は怒り狂ったガッパ夫妻に破壊されてしまう。
ところでオベリスク島とかいうから美女がたくさん出てくるかと思ったが違った(それは「オダリスク」だっっ)。当時の定石だが、どう見ても黒く塗った日本人である。
卵が孵化するのを楽しみにしていたであろうガッパ夫妻は、まだ見ぬ顔の子をさらわれ怒り心頭、島を壊滅させた後、子のテレパシーを頼りに日本に向かった。一方、米軍の船に救出されたオベリスク島の少年サキも、ガッパを返してもらうべく日本に向かう。日本に着いたガッパ夫妻は、子ガッパを目指し進んだが、オベリスク島と違い、妙に障害物が多く、遮るものを片端から破壊して進んだ。陸があるからには、飛ぶより歩いたほうが楽らしい。自衛隊も出動するが、例によって全く歯が立たない。
その騒動に便乗して、プレイメイトはガッパの特集を組む。雑誌は飛ぶように売れた。しかし、このままではいけないとやっと気づいた元調査隊一行は、子ガッパを帰すために、羽田空港に連れて行く。必死で親を呼ぶ子ガッパ。しかし、両親は石油タンクの爆発音でこの声が聞こえないらしい。スピーカーを使って大音響で流された鳴き声を聞いて、ようやく子の居場所に気がついた両親は、文字通り飛んでやってきて3匹は涙の対面をする。
共に帰ろうと両親は飛んでみせるが、檻から出たばかりの子は飛ぶことが出来ない。父親が一所懸命に飛び方を教え、ようやく子ガッパは飛ぶことに成功した。
親子ガッパは仲良く並んで、オベリスク島に向かって帰っていったのだった。
***
しかし、リアリティーもくそもない映画だった。今回の大災害の元凶は子ガッパを誘拐したプレイメイト社であり、いくら黙っていても、雑誌で特集してあまつさえ表紙に子ガッパのアップを使えばバレバレではないか。なぜ社長はじめ調査隊や研究者達はつるし上げにならないのか。下手をすればデビルマンの牧村家並の襲撃を受けかねないはずだが。なぜか当人達は妙にのんびりしているし、良心の呵責すら感じていない。「これがバレたら我が社がどうなるかわからない。」という、社長の言葉があるのでまだバレてはなかったようだが。
また、南洋の異国から巨大生物が3体も来日したら、いろんな植物の種や微生物が着いてきて、生物学的影響も相当ありそうだが(まあ、これはほかの怪獣映画にも言えるが)。いったいプレイメイト社の損害賠償額はいくらになるのだろう。
ついでにいうと、プレイメイトは雑誌社だったと思うが、テーマパークなんて建設し、維持管理出来るものだろうか(ハウステンボスやシーガイアの惨状を見よ)。オベリスク島の少年も、ガッパを連れて帰ろうとせずに日本に押しつけておけば、伝説通りに島の将来は明るく平和だったろうに。島の火山爆発もきっとガッパのせいだぞ。
あと、特撮が安すぎる。あれはもう少しなんとかならんかったのか。特にオベリスク島の火山爆発はひでぇ・・・。
まあ、当時の怪獣映画にあまりイチャモンをつけるのは酷というものかもしれないが、日活初の怪獣映画だったのだ。もう少し考えてもよかったのではないか。制作者側に「たかだか怪獣映画」という舐めた考えがあったのではないか。せっかく大「怪獣」ではなく大「巨獣」とし、訳の分からん怪獣ではなく親子の情をちゃんと持っている生物で、そもそもは子供を取り返しに来た被害者だという、他の怪獣映画とは一線を画する設定であり、もっとちゃんとしたドラマが描けた筈である。もったいない話だ。ゴジラ第一作はやっぱり素晴らしい。いや、だからこそ、今なお怪獣映画が作られている訳なのだが。
最後の方のヒロインのセリフ。
「犠牲は大きかったけど、教えられることも多かったわ・・・。」
おまえがゆ~~~なぁ~~~。
彼女ははカメラウーマンを辞めて専業主婦になるつもりらしいが、おそらくこれからそれどころじゃァないですぜ。
しかし、あのクサイ親子の対面シーンで今回もつい涙した私っていったい・・・。orz
◇DVD◇
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00028X9XK/249-1490737-0716304
◇ガッパについてもっと面白いレビュー
「クズビデオ49日」より
http://www.vega.or.jp/~bazil/junkvideo/gappa.htm
◇画像はここから◇
・特撮関連の懐かしいポスターや写真がたっぷりです。
THE GREEN SLIME(ガンマ第3号宇宙大作戦)
http://starwars-ep2.hp.infoseek.co.jp/the_green_slime.html
特撮映画海外版ポスター集 日活篇
http://www.fjmovie.com/tposter/nikkatsu/poster-nikkatsu.htm
東映編とか松竹編とか、なんとまあ集めたものです。
これだからインターネットは面白い。
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