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2014年7月20日 (日)

蓮子と伝助(あるいは「花子とアン」)

 ここしばらく、『花子とアン』を見ると、心がズキズキしていた。そして、昨日(7月19日土曜日)の放送でついに白蓮事件が起こり、たまらなく悲しかった。

 それで、もやもやズキズキが治まらないので、ちょっとここにまとめてみようと思う。

 娘(蓮子には義理の娘)冬子の結婚で言い争いになって蓮子に「何故、わたくしと結婚なさったのですか!?」と聞かれた時に、伝助が「初恋だった」と答えたのは本当だっただろう。しかし、伝助はその後、どこを好きになったのかと聞かれ、「おまえの身分と顔だ。それ以外何所を好きになれというのだ」と、ツンデレとは真逆の言わばデレツンな対応をしてしまった。そして、それが蓮子の心が伝助から離れる決定的な原因になってしまった。もともと言わば売られるようにして嫁いできた蓮子には、伝助の心まで見抜くことが出来るわけがない。

 筑豊での結婚式は悪夢のようだったし、成り上がりの伝助と、虐げられていたとはいえ、いや、それ故にプライドの高かった華族の蓮子とは価値観も違い、さらに加納家の人々は蓮子に最初から敵意を持って接した。蓮子にとって加納家は針のむしろだったことだろう。しかも、筑豊に伝助が立てると言う女学校に関われるだろうという唯一の希望も絶たれ、蓮子は自暴自棄に連日のサロンを開き憂さを晴らすしかなかった。そして唯一の心のよりどころを短歌に求めたのも無理からんことだろう。
 しかし、伝助は毎日の食事時のテーブルマナーや、クラシック音楽鑑賞など若干反発しながらも蓮子になんとか合わせようと努力していた。そして炭鉱事故の時、蓮子は自分がハブられていたことに反発したものの、伝助の炭鉱王らしい堂々とした対応を見て見直したのか、その後疲労と心労から倒れた伝助を看病するまでに至った。
 ひょっとしたら、伝助が読み書きを覚えるよう努力し、蓮子と共に慈善事業に励めばこの二人は上手くいったかもしれない。しかし、武骨な伝助は財力で蓮子に贅沢をさせ、かごの鳥のように愛でるしか愛情表現を示すことが出来なかった。本心をぶつけて玉砕することが怖かったのかもしれない。

 そのような状況で、蓮子は自分と重ね合わせていたであろう娘の冬子を守れず政略結婚に利用されてしまった。その上に伝助のあの言葉である。打ちのめされた蓮子が若い帝大生の一途で情熱的な猛アタックを受け、よろめくなと言う方が無理であろう。
 それでも伝助は蓮子に優しかった。それは親が溺愛した娘に注ぐ愛に似たようなもので、蓮子の望んだ愛ではなかったかもしれないが。そして、蓮子の腹心の友である花子は伝助の心からの愛情を見ぬいていた。それ故に蓮子の道ならぬ恋を止めようとしたのだ(次週は蓮子擁護にまわるみたいだけど)。そして蓮子も多分気付いていた。別れ際に深々と頭を下げたのは蓮子なりの愛情とお礼だったのだと思う。

 そして、伝助の乱心「蓮子蓮子こげなもんこげなもん」である。一通り暴れた後の伝助の号泣は哀れでたまらなかった。伝助は蓮子の部屋で帰らぬ妻を待っていたのだ。多分、ほとんどの視聴者が心をズキズキとさせていたことだろう。
 そして、この日は美輪様の締めの言葉「ごきげんよう、さようなら」が初めて使われなかった日でもあった。

 ◆追記

 あの駆け落ちの時のBGM「愛の賛歌」や演出はクサすぎてギャグ寸前だった。いきなりの舞台演出で、リアリティゼロで、見ていてひっくりこけそうになった。あの舞い散る鳥の羽は蓮子が籠から解き放たれたと言う象徴かもしれないけど、舞台ならともかく、テレビドラマではいかがなものかと。

 リアル白蓮は駆け落ち後信じられないほどの貧乏生活を味合うらしいが、子宝にも恵まれ穏やかな生活を手に入れるらしい。結果オーライというところでしょう。

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コメント

私も見ておりますが、「愛の讃歌」は、この時代
まだなかった曲では・・・というのが、真っ先に
頭に浮かびました。
関係者で存命の方もまだいらっしゃるでしょうから、一方を悪者にできないだろうし。
それにしても、いつの世も片思いというのは、
切ないものですな。

投稿: MM21 | 2014年7月23日 (水) 22:53

今日も、胸キュンキュンの内容でしたね。
九州男児、無骨だが、この優しさ、
蓮子様には、伝わらなかったのね・・・
惜しいことです。

投稿: MM21 | 2014年7月28日 (月) 22:00

MM21さん
まあ、蓮子さんの立場だったら、どうしても好きになれないというのもわかります。昔だから女遊びも男の甲斐性とか言うのもあるでしょうけど、リアルでは性病移されたりもしたらしいですし。
でも、伝助の不器用な愛情表現くらいはわかって欲しいですね。地元では未だに愛されている人物らしいので、きっとモデルの加藤伝衛門も魅力的な人物だったのでしょう。
私は平日は会社があるので週末に録画をまとめてみています。伝助しゃんの活躍楽しみです。
しかし、アンは何処へ行った(笑)。

投稿: 黒木 燐 | 2014年7月30日 (水) 01:41

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