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2012年3月24日 (土)

キース還暦ライブパーティーへ行った話

 これは、ストラングラーズの日本公式サイトにアップしたレビューを加筆したものです。

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 2012年2月5日。

 日曜だけど、いつもより早起きして家を出る。ライブは夕方からだけど、念のために早めに行くことにしたのだ。あと、ちょっとくらいは観光したいしね。
 それでも、ちょっと早かったかな? 10時の飛行機にしても良かったよなと、少し後悔したのは秘密だ。

 さて、今回も飛行機を利用することにした。早めの出発にしたのは、気圧の関係でいつも耳の調子が悪くなるので、その養生を兼ねてもあった。それなのに何故飛行機かと言うと、やはり時短出来るし安いのだ。今回、JALのバーゲンセールでハイアットに泊まって朝食付きで4万を切る安さだ。
 しかし、飛行機に乗り飛び立って間もなく後悔しはじめた。どうも地に足がついていないと言うのは落ち着かない。しかも、その地と足との距離は何千メートルも離れている。万一墜落したら、先ず命はないのだ。犬神明ではないが、無意識にシートベルトの金具を握りしめる自分がいた(もちろん、握りつぶすほどの力はない)。しかし、さすがはJALというか、機内サービスは万全だ。
 羽田着陸態勢に入った頃には完全に後悔していた。両耳の中がビチビチ鳴り始めたからだ。
(早く着陸してくれ・・・)
 私は耳を抑えてじっと我慢の子であった・・・。

 この年度末の多忙時に、そこまでして何で上京したかと言うと、ARBのドラムス、キースさんの還暦ライブパーティーというイベントに我らがJ.J.バーネルが友情出演するからだ。

 かつてブリティッシュパンクや日本のロックバンドで先陣を切っていたワカゾーやコゾー達ももう還暦を迎える年齢になる。当時は60になってもバリバリの現役でロックやってる自分なんて想像もつかなかっただろう。生きているとも思っていなかったのではないだろうか。まあ、私も50すぎて新宿ロフトなどに足を運ぶなんて考えてもいなかった訳だが。50とか60とか、実際自分がその年齢になってみればなんてことない。もっともあちこちガタがきていることも身をもって知る年齢でもある。特に視力はごまかせない。

 さて、夢のパラダイス、花の東京(死語)に着いた私はホテルにチェックインする前に、時間が大幅に余ったので目黒をちょっとウロウロ。目黒と言ってもサンマを食べに行くのではない。ちょっと行きたいところがあったのだ。その場所は、ズバリ、目黒寄生虫博物館。目黒駅近くの交番で聞けば場所はすぐわかるということだったので、さっそく尋ねると、「ああ、」と言ってすぐに教えてくれた。
 しかし、行けども行けどもそれらしきものにたどり着かない。不安になりながら、とにかくひたすらまっすぐ行けと言うのを信じてひたすら歩いた。そして、ようやくたどり着いて(徒歩で15分かかるらしい)中に入ると当然のごとく寄生虫のオンパレード。決して広くはないが、展示は充実している。2階に上がると、一気に人が増えた。聞いてはいたが、改めてカップルの多さに驚く。しかも、彼女のほうも彼氏と対等に寄生虫について話している。因みに、バンクロフト糸条虫、いわゆるフィラリア症の展示の前に立った見学者たちが、一様にそこからなかなか離れないので、このスケベとか思ってたら、そこには寄生虫の系統図があった。あらぬ誤解をしてすみません。まあ、ここに来るような人たちは、あんなもん見慣れているわな。
 十分堪能して博物館を出た。
 目黒近辺には、微生物科学研究所や自然教育園もあるので、翌日時間があれば行ってみようかな、と思った。

 さて、重い荷物を抱え(なんでショートスティなのに、いつもこんなに荷物が重いんだ?)、足がうずき始めた頃、ホテルにチェックインした。さすがハイアットエージェンシー、ホテルの対応が違う。ホテルのエントランスでドアマンのおじ様がさっそく荷物を持ってくださった。翌日は1時まで居ることが出来るそうで、ホテルのプールやジムも半額で使用できる。しかも、小田急のお買いもの割引券までついている。ずいぶんと特典がついているし、プールやジムは魅力だけど、多分時間がないな・・・。金も・・・。
 クロークでチェックインを済ませると、今度はベルスタッフのおじ様が部屋まで荷物を持ってくれた。
(すみません、私、貧乏人なんですぅ~、ホントはこんなトコ、泊まれないんですぅ~)
 と、つい卑屈になりそうになりながら、精一杯落ち着いたふりをする小市民な自分に少し苦笑。
 部屋について、思わず
(お~~~っ!)
 都庁が真横に見える。しかも13階という素敵な階数だ。部屋の中を見ると、クローゼットにはバスローブ、使い捨てスリッパ、訳あって朝まで気付かなかったが、引き出しにはちゃんと浴衣があった。バスルームには500mlペットボトルの水が2本。シャンプーなども小さいボトルに入っているし、コーム付きのブラシもちょっと上等。冷蔵庫の上の引き出しを開けると、お酒のミニボトルがズラ~リ。だが、あいにく私はお酒は飲めないのだった。

 ライブ用に着替え、しばらくすると、SIS前会長のMakikoさん到着。何でもこのホテル、かつてJJも泊まったことがあるらしい。久々の再会で話も弾む。彼女もあまり変わっていないようだ。
 その後、遅れるかもしれないと言っていたMM21さんも新宿駅に向かっていると言う連絡があり、ホテルを出発。その後、開場になんとか間に合ったGPZさんとも会い、計4人でロフトに向かった。そこでABEさんとgretaさんと合流した。

 ロフト前にはずいぶんと人が並んでいる。まあ、並んでも結局チケット番号の順番でしか入れないんで別に開場時間ぎりぎりに来てもいいのだけれど、そこはファンの心情。少しでも早くその場所に行きたいのだ。
 さて、私は300番代だったのでかなり遅くなりそうだ。

 ようやく会場に入って、ノルマのワンドリンクを注文。その後、Yukaさんからストラングラーズファンで千葉在住イギリス人のリースさんをよろしくというメールが入ってたので探すが、まだ来ていないようだ。しかし、前来た時は携帯電話がつながらなかったような気がしたけど、つながるんだな。
 きょろきょろしていたら、しばらくしてリースさんめっけ。すかさず声をかけたら向こうもこちらのことをすぐにわかってくれた。少し日本語がわかる人なので、英語かっらきしの私には助かる。リース君は現在齢38歳、身長178cm、金髪でちょっぴり太目の好青年だ。

 開演間近になったので、ステージの方へ移動する。JJ目当ての我々は、熱心なキースファンの邪魔にならないように、後ろの方に陣取った。リースさんはYukaさんからJJの出番が9時半くらいだと聞いていると言った。時間帯からして予想通りほぼトリを務めるのだろう。しかし、その間約3時間半。時間は持て余さないだろうか。

 杞憂だった。
 しかし、それとは別の問題が我々に降りかかった。40・50にもなると、足腰の痛みが慢性化する割合が格段に増す。それは、SISメンバーにとっても例外ではなかった。流石に3時間半立ちっぱなしと言う訳にはいかず、礼を欠くとは思いつつ、我々は時折座って休むことを余儀なくされたのだった。

 待っている間、重そうな荷物を離さない私にABEさんが気を遣って何度もみんなが荷物を置いているところに持っていきましょうか、と言ってくれた。
 じつは、私は病的に忘れ物をするので、荷物は出来るだけ体から離したくないのだ。電車でも絶対に網棚に上げないし、飛行機でも出来るだけ預けないし座席の上のボックスにも入れない。と言う訳で、ABEさん、気を遣わせてすまなかったです。

 ほぼ時間通りの開演だった。

■豪華ラインナップ■

Groovin'
 Drums:KEITH、Bass:寺岡信芳、Guitar:古見健二、Vocal:SHY

PERSONZ
 Drums:藤田 勉、Bass:渡邉 貢、Guitar:本田 毅、Vocal:JILL
 (中2曲ほどキースが参加)

稲田JOE+井上アツシ
 Vo:前半 稲田JOE(G.D.フリッカーズ)
   後半 井上アツシ(ニューロティカ) 
 Drums:KEITH、Bass:EBI[ユニコーン]、Guitar:内藤幸也[SDR]、Guitar:SHIHO

THE ROCK BAND
 Drums:小林高夫、Bass:寺岡信芳、Guitar:藤沼伸一、Vocal:仲野 茂
 (中2曲ほどキースが参加)

ジェームス藤木+内海利勝
 Vo:前半 ジェームズ藤木(クールス)
   後半 内海利勝(キャロル)
 Drums:KEITH、Bass:寺岡信芳、Guitar:古見健二

仲井戸麗市(なかいどれいち、チャボ)
 Drums:KEITH、Bass:渡邉 貢、Guitar:本田 毅

J.J.Burnel(もちろん、Bass、Vocal)
 Drums:KEITH、Guitar:内藤幸也(こうや)、Guitar:藤沼伸一

アンコール
 演奏:KEITH、小林高夫、EBI、内藤幸也、藤沼伸一
  Vo :JILL、稲田JOE、井上アツシ、仲野 茂
 曲目:LOFT23時

 以上、KANNさんのブログより抜粋。

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 先陣を切ったのは、キース率いるGroovin'。曲は彼らのオリジナルだ。キースは還暦定番の赤いちゃんちゃんこも帽子も身につけず、代わりに選んだアイテムは赤いドラムスティック。
 キースの右腕のコンバートメント症候群のため、このバンドは去年の2月から休止状態になり、キース自身引退の危機を迎えたが、彼は病を克服し、見事に復活した。
 しかし、 どれも良い演奏でハズレがまったくない。
 今回の参加者紅一点のPersonzのJILさん、私と同じくらいの年齢であの若さと元気は素晴らしかった。還暦記念のキースプリントの「紙幣」をばら撒いたのには大いにウケた。まさに一歩間違えばお手手が後ろに回るギリギリのジョークである。
 稲田JOE(G.D.フリッカーズ)の演奏の時、聞き覚えの曲があったのだが、最初の曲目紹介を聞き逃したせいで、なんだったか思い出せずに悩んでいたが、下記2つののブログを発見したおかげでようやくローリング・ストーンズのルービーチューズディだと言うことが判った。そりゃあ有名な曲だもん、聴いたことがあるはずだ(実はストーンズやビートルズなどの有名ドコロもあまり通っていない)。そしてARBの曲を演奏。
 続いてクラウン(ピエロ)姿の井上アツシさん(ニューロティカ)がARBの曲を何曲か演奏して、会場はさらに盛り上がる。
 で、つぎに登場するはザ・ロックバンド(アナーキー)。しかし、ヴォーカル仲野茂さんが水プーした時はちょっと引いた。けっこういいなと思っていただけに残念だ。まあ、彼らの演奏ではデフォルトなのかもしれないが、今日来ているのはザ・ロックバンドのファンだけではない。もっとも狭い空間だけに、見えないだけでとっくにイロイロなものがエアロゾル化し濃い密度で飛んでいるのだろうけれども。周りの空気はほとんどが呼気である。
 って、自分で気持ち悪くなるようなことを書いてどーする。

 閑話休題。さて次なるは、ジェームズ藤木さん(クールス)。ブルースっぽい曲がなかなかよかった。「シンデレラ」は知り合いのバンドがライヴで演っていたので、なんとなく知っていた。このクラスのみなさん、もうすかり質実と共にオッサンなんだけど、みんなよい年の取り方をしている。むしろ若い時より全然いいんじゃないかな。
 そして彼に代わって内海利勝さん(キャロル。この年代のバンドはアルファベットよりカタカナの方がしっくりくる思うのは私だけか?)。さすがにこのあたりになると知っている曲が演奏されて嬉しい。しかし、ファンキーモンキーベイビィはともかく、何でルイジアンナを知っているんだ、自分? そして、ボブ・ディランの”KNOCKIN' ON HEAVEN'S DOOR”。なんと豪勢なライブではないか。

 その次が、仲井戸麗市さん(RCサクセションのギタリストといえばわかるだろう)。キースが今年還暦なのを驚いておられた。完全にご自分より年上だと思っておられたらしい。会場爆笑。その前にジェームズ藤木さんが逆のことを驚いておられたが、見た目年齢不詳(なんと、1992年にキースさんを撮った写真と2008年のJJロフトソロライブの時に撮った写真にほとんど変化がなかった!)なキースさんらしいエピソードであった。
 そして、最後にキースリクエストでなんと「雨上がりの夜に」をやってくれました。みんな何も言わなかったけど、きっと同じ思いで聴いていたに違いないだろう。
 もし、・・・・。

 流石にこれを知らない人はほとんどいないだろう、沢山の人が一緒に歌っていた。歌詞も良いけど改めて曲の良さ、ユニークさを再認識した。

♪どうしたんだ、Hey,Hey, Baby, バッテリーはビンビンだぜ。 いつものようにキメて、ブッ飛ばそうぜ♪

 もしも・・・。

 視界がぼやけた。

 なんか、すごい盛り上がった。途中仲野茂さんがヴォーカルで乱入もとい参加。さらに盛り上がって仲井戸さん・・・チャボさんのステージが終わった。

 ひょっとしたら、彼も天国からあのステージに降りて来てて、仲井戸さんと一緒に歌っていたかもね。

 そして、降りた幕には次の演目が。

 前の熱気も冷めやらぬ中、とうとう我らが師範、J.J.バーネルの演奏だ。

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   ※この写真は音合わせの時のものらしい。後ろの「フレディ」は多分スタッフ。 

 リースさんに聞いていたにも関わらず、次か、次かと待ちきれないSIS Japan のメンバーたちが飛ぶようにして前に行き人に埋まった(この時gretaさんは関西弁のおにいちゃん(おっちゃん?)に、「おうおう、がんばれや! 撮影もしたれや!」と謎の励ましをもらったそうだ)。私も後ろについて前に行ったが人の密度が高すぎて前の方へ行くのは不可能。すっかり人にいぼれた(埋もれた:博多弁)形となってしまった。それを見てリースさんが冗談交じりに「肩車してあげようか」と言ってくれたが、御断り申し上げた。後でYukaさんにそのことを言ったら、軽く「あら、肩車してもらえばよかったじゃない」と言われたけど、やっぱねえ・・・。
 説明しよう。実は私は見た目より1.2倍は重いのだ。アイアンボーン(鋼鉄の骨)・クロキと呼んでくれたまえ。

 幕が開く前からgretaさんのJJコールがひときわ響いている。彼女はずっとこの日を待っていたのだ。しかし、もう一人それを待っていた筈のABEさんの姿がない。後でわかった事だが、井上アツシさんの時に演ったARBの曲「R&R AIR MAIL」を耳にした途端、無意識に前方に突撃してしまったそうで、その時腰を痛めて肝心なJJの演奏を後ろで見るという残念な結果になったらしい。

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 幕の開いた後、しばし暗い中BGMが流れていたが、フッと明るくなってステージに幸也さんを先頭に皆が出てきた。JJの姿が現れ、また会場が湧く。さすが一人だけガタイがでかい。後に控えるは、内藤幸也、藤沼伸一、そして、キース!(敬称略)

「こんばんは!」
 JJは開口一番日本語であいさつ。そして、聴きなれたギターのフレーズが入り、次のキーボードがデフォルトのフレーズをギターが上手にカバー、そして「Ooh!」という掛け声。定番の「サムシング・ベター・チェンジ」だ。コーラスがハモッていないのが少し残念だったが、なかなかいいぞ。キースのドラムは、昔助っ人でストラングラーズのツアーに参加しただけのことはあり、万全である。
 続いては「バーニング・アップ・タイム」。これは何故か他の曲と比べて懐かしい感じがする。アンブロークン以外はほぼ同じ頃の曲なんだけどな。最近は最後の方での「Hello, little girl, are you alone?・・・」ってセリフ言わないのね。

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 その後に続くは、ぐっと新しくなって、この時点ではまだ最新アルバムだった「Suite XVI」より「アン・ブロークン」。最近の曲なので、知っている人が少ないせいか、少し会場のノリがおとなしい。JJのヴォーカルもバズの助っ人がない分ちょっと苦しそうだった。しかし、例の間奏部分はキーボードなしで再現。二人ともベテランのギタリスト、さすがである(toshiさんによると、酔っぱらった藤沼さんしか知らなかったJJは、初めて彼の演奏を聴いて、「君、ギター上手いね」と褒めたとか)。
 そして、タン,タン,タン,タン,という歯切れの良いドラムで始まる「5ミニッツ」。これも定番。途中間奏が若干ワケわからなくなったものの、実にエキサイティングな演奏。最近は終わりの方のモノローグをフランス語で言っているような気がする。気がするだけかもしれないけど。
 続いて、ジャジャジャジャ、ジャジャジャジャ、というギターで始まるコミカルな曲、「ロンドン・レディ」。この歌で揶揄された女性も、今頃はいいおばあちゃんになっているだろうな。キースの危なげのない軽快なドラムはさすがである。JJが歌をちょっと間違えたのは内緒だ。
 倫敦婦人の終わった後だった。JJが会場に向かって日本語で言った。
「キースの、カンレキ」
 そして、会場に向かって音頭をとった。
「♪Happy... birthday... to you」
 会場も一緒にハッピーバースデイの大合唱。

 ・・・ハッピィーバースディ、ディア、キース~、ハッピィバースディ、トゥーユー♪

 なんてサイコーでゴージャス(ヤス君)な還暦だろう!!

 キース、本当におめでとうございます。そして、復活してくれてありがとう!!

 バースディソングが終わるとすぐに、あのベースフレーズが・・・。今回のサプライズ、「ノーモア・ヒーローズ」が始まった。これは、キース側がやれないかな、とオファーしてきたもので、最初演奏曲目には入っていなかったということだ。ひょっとしたら、公の場で初めて歌ったのかもしれない。そういう訳で、JJの歌うNMHというのは実にレアものだった訳である。まさに大団円、特にキースはすごくうれしそうっだった。そして、JJは締めの7音を日本語の「イチ・ニ・サン・シ、イチ・ニ・サンッ!」できっちりと終わらせた。

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 そして、JJのセクションは終わった。短かったけれど、有意義な時間だった。
 因みに、これもtoshiさんブログからの情報だが、JJと藤沼さんのニーキックの競演が一瞬の間あったそうである。見たかったなー。でも、時々顔が見れるくらいだったしなー。
 各々が楽器を下ろし、幸也さんがJJの肩に手を伸ばし軽く抱擁、ほぼ同時にキースが前に出てきて4人が肩を組んだが、残念なことに若干小さ目の藤沼さんが早々に取りこぼれてしまった。そして、キースがあの優しい声で「どうもありがとう」と会場に挨拶した。その後、退場する際に、今度はお返しにJJが幸也さんの肩を抱きまた抱擁。幸也さん、まるで少女のようにはにかんで嬉しそう。こらこら、腐女子を喜ばせてはいけませんよ。

 それからまた、幕が下りた。後はアンコールを残すのみだが、JJのパートが終わったので、また後退する。

 そして、また幕が上がった。アンコールだ。曲目は「LOFT23時」。ARBの曲だ。
 演者は、KEITH、小林高夫、EBI、内藤幸也、藤沼伸一、JILL、稲田JOE、井上アツシ、仲野 茂(敬称略)。文字通り舞台狭しと熱く興ずる。再び大団円、饗宴はフィナーレを迎えた。最後にキースは例の赤いドラムスティックを、惜しげもなく会場に投げた。そのスティックの先は、激しい演奏のために既に白くなっていた。

 会場が暗くなっても、まだキースコールは終わらず、最後にキースだけ現れて改めて挨拶して、この還暦ライブパーティは大盛況のうちに幕を閉じたのだった。

 私は今回ずっと後ろで見ていたが、熱い声援を贈り続けるファンたちの姿を見て、ファンとは有り難いものだなとつくづく思った。キースは、パーソンズとザ・ロックバンド(両バンド共2曲のみキース参加)以外はすべてドラマーとして参加していた。還暦を迎えて、実に約4時間ドラムを叩き続けたのだ。そして、彼の復活と還暦を祝い駆けつけた多くのミュージシャンたち。彼らももう、ほとんどがオッサンオバサン、ともすればおじいちゃんである。しかし、みんな若くてかっこいい。

 みんな、素晴らしい演奏をありがとう。

 キース、還暦おめでとうございます。これからもがんばってロック魂見せてください(でも無理は厳禁ですよ)。そして、JJを呼んでくれてありがとうございます。

 JJ、まだ原発事故も収まらず、最大余震の危険も去らず、あまつさえ都心震度7の可能性すら叫ばれ始めた矢先、友情に応えるために躊躇もせずに(地震と原発事故で未だ来日を嫌がる外国人は多いのだ)、遠くから飛んできてくれてありがとう。

 熱気の残る中、みんな名残惜しそうに一人、また一人とロフトを去っていった。また、その余韻を肴にバーに留まる者もいた。
 きっと、みんなこのライブのことは一生忘れないだろう。それを糧に、また翌日からの日常に戻るのだ。

 さて、ライブの後、夕食がまだだった私たちは近くの居酒屋に行った。参加者はMakikoさん、ABEさん、gretaさん、GPZさん。MM21さんとリースさんは残念ながら、時間がなく帰宅してしまった。
 そこでまたストラングラーズの話で盛り上がって、気が付いたら0時をすぎている?

 夜の新宿をGPZさんと彷徨いながらようやく新宿駅に到着。といってももう駅はしまっている。でもまあ、新宿駅から歩いても15分かかるまい。そう高をくくった私は、大丈夫だからと言ってGPZさんと別れた。
 だが、私は自分の方向オンチを甘く見ていた。

 駅中を歩けないので、周りをテケテケ歩いてホテルに通じる道を目指したが、どうも雰囲気が違う。いつしか全く知らない道に出ていた。道を間違ったことは間違いない(ややこしいな)ので、忍者部隊の拳銃、すなわち最後の手段としてタクシーを拾うことにした。しかし、タクシーは沢山通るものの、止めるタイミングがつかめない。仕方ないのでそのまま歩いていたら、とうとうタクシーもそれ以外の車も人も通らなくなった。ビルの明かりもほとんど消え、街灯だけがぼんやり点いている。まるでゴーストタウン・・・。
 なんとなく、アンバランスゾーンに迷い込んだような気分になった。ケムール人が横を走りぬけていきそうな・・・。
 いや、これはマジでやばい。リアルでヤバイ。ケムール人よりリアル人間がヤバイ・・・、と流石にぞっとした時、タクシーがすれ違い近くに止まった。乗客を降ろしているらしい。まさに渡りに船である。すかさずそのタクシーに乗せてもらった。案の定、私はまったく反対方向を歩いていたらしい。
 都庁の間のハイウェイを通ってまた異世界の気分を味わい、タクシーは無事ハイアットへ。

 部屋に入ると、眠いキツイでベッドに倒れこみ、そのまま着の身着のままで朝まで寝てしまった(浴衣に朝まで気付かなかったのはそのため)。

 その後、ビュッフェ形式の朝食を摂り朝からおなか一杯。日頃朝食はほとんど食べないのでお腹が驚いたにちがいない。しかし、レストランから見た窓の外は雨・・・。仕方がないので目黒散策は次の機会にすることにした(あるのか?)。

 その後、GPZさんが来てしばらく雨の都庁を見ながら他愛ない話をしていたらチェックアウトの1時に近くなったので、急いでホテルを出る。良いホテルだったな。今度来る機会があったら、プールやジムも使いたいと思う。多分こんな機会はめったにないと思うけど。

 とにかく、雨。そぼ降る雨。しかし、羽田に向かう間の風景はしっぽりとした風情があった。

 十分時間をとって羽田に着いたつもりだが、結局お土産を探して走り回ることとなったものの、無事に機上の人となることが出来だ。

 そして、帰福。明日からはまた年度末の忙しい日々に戻る。憂鬱だが生きていかねばならない。わずかな可能性ではあるが、次なるストラングラーズやJJの来日に備えるためにも。

 前へ!

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 今回、私が人に埋まってたので、他のバンドやミュージシャンのことのみならず、JJの演奏すら情報不十分なので、補足としてKANNさんtoshiさん御二方のブログをリンクしておきます。(なお、JJのライブ部が若干細部に詳しいのは、ちょっとアンチョコを入手して書いたからです)
 お二人の記事は、このレポを書くためにも大いに参考にさせていただきました。快くご了承くださった御二方には、改めて感謝いたします。

ウラKANより
KEITH「~波瀾万丈~ KEITH 還暦 LIVE PARTY」新宿LOFT
http://hidakann.air-nifty.com/urakan/2012/02/keith-keith-liv.html#comment-69457740
とてもわかりやすいです。

NO BEAUTY、NO MUSICより
☆~波瀾万丈~ KEITH 還暦 LIVE PARTY@新宿ロフト☆
http://ameblo.jp/beauty-mick/entry-11156601407.html
下の方にどんどん新データが肉付けされていて面白いですし、ストラングラーズについてもかなり詳しく書いてくださってます。

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コメント

ライブの話も面白かったけど、後半の加筆したところがもっと面白かったですね。そうか、都会のタクシーは止め方にテクがいるのか、などと妙に感心しました。「パリのアメリカ人」なら音楽になるけど、「新宿の福岡人」じゃちょっと、ね(笑)。

投稿: drac-ob | 2012年3月25日 (日) 16:37

drac-obさん

まいどお馴染み、Heaven or Hell?名物、ライブ報告盛りであります。

因みに「ニューヨークのイギリス人」もあるでよ。

投稿: 黒木 燐 | 2012年4月 4日 (水) 00:48

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