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2011年3月28日 (月)

私たちは、こうなることを恐れていたんだ!

 ギルフォードはもうひとくちミルクティーを飲んで続けた。
”困ったことにこれがもし,レヴェル4の病原体だった場合この国では手に負えなくなる”
”まあ,どうしてです? まさか,BL-4の研究室がない・・・とか?”
”あるさ,国立感染症研究所にね.近隣住人の猛反対にあって,使用出来ねぇんだよ”
”反対する気持ちはわかりますけどね”
”原発は平気で何基も稼動させているくせにな.漏れ出した時の脅威としては,放射能も病原体もあまり変らないだろうと俺は思うけどね.危険性は旧ソ連に於いてのスヴェルドロフクス(炭疽菌漏れ)事故と、チェルノブイリ(原発)事故を比べてみればいい.むしろ爆発しないだけまだマシさ”

 (「朝焼け色の悪魔」より)

 ギルフォード教授、どうやら原発の方が数倍厄介みたいです。

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 私は、腹が立って仕方がない。皆が力を合わせて復興に向かおうとしているのに・・・。

 おそらく、原発事故が収束しない限り、この国の復興への道はさらに険しいものになるだろう。いくら皆で一つになろうと歌おうが、有名人たちが励まそうが、そんなもんじゃどうしようもならない。事故が続く限りこの国に未来はない。まず、輸出・観光に大いなる支障をきたす。言うまでもなく、輸出と観光は、わが国の重要な資金源だ。そして、国民の健康、家畜の健康がじわじわと蝕まれていく。原発事故が長引く程、国土は汚染され、それは国外にも及ぶだろう。汚染が進むと除染にもそれだけ時間とカネを費やすことになる。国も国民も疲弊し、人心も荒れ、今のような秩序は保てないかもしれない。

 このブログでも、何度か原発の危険性を訴えてきたが、残念ながら、その心配が現実となってしまった。

 今まで、国と電力会社は、原発の安全性を何度もアピールし、九州でも九電が、原発は完璧に制御されているから安全です。万一の事故にも万全な備えがあるから安心です。使用済み燃料も地中深く埋めるから安全です。原発は二酸化炭素を出さないクリーンな発電です。と、何度もCMで繰り返していた。しかし、この事故を受けて、おそらく同じものが二度と流されることはないだろう。クリ-ンどころかとんでもなくダーティな発電だということを、全国民、いや、全人類に知らしめたのだから。

 正直、使用済み燃料の地下埋設は、何の解決にもなっていない。裏を返せば、危険だから埋めてしまうしか処理の方法がない、ということだ。
 今回の事故でもわかるように、燃料棒はちょっとやそっとでは冷えない。信じられないほど長い年月の間、熱と放射線を出し続けていくのだ。そんなものを地下に埋めることは、子孫にとんでもない負の遺産を遺すことになるのだ。何百メートル埋めたって、地殻変動で地表に出てくる可能性は十分にある。だが、その頃には関係者どころか、私たちだって生きてはいない。すなわち、その危険物に対して責任を問われる者は一人として生きていない。単なるその場しのぎ。地中に埋めるということはそういうことだ。

 しかもこの福島原発は、万全だと言いながら、まったくお粗末な設備と安全基準で成り立っていた。しかも、とっくに廃炉にすべきところを、さらに使う気満々だった。あちこちガタが来ていたのにだ。
 そして、危険とする研究結果やデータを隠蔽し、反対意見をいう者をとことん弾圧した。そんなことで、安全が保てるわけがない。
 この事故は起こるべくして起こったのである。地震と津波はきっかけにすぎない。

 そして、この事故は作業員に、また重篤な被曝をさせてしまった。このままでは、JCO臨界事故レベルの被曝が起きる可能性がある。復旧を焦る東電と政府は、当然作業を急がせ、作業員に無理をさせるだろう。事故はそういう時に往々にして起きるのだ。

 今まで、原発の利権の上でふんぞり返り、大金をせしめていた連中すべてのの財産を没収し、被害者や決死隊の保障に充てるべきだ。このままでは連中は十分な資産の元、安全な場所に逃れ、また苦労なしの生活をするだろう。そんなことは許されてはならない。避難させられた住人たちは、ことによっては住む場所や職すら奪われ、決死隊は少なからず健康を蝕まれていくだろう。そんな不条理があってはならない。
 そして、原発事故が収束の方向に向かったら、この事故の責任を過去にまで遡って徹底的に追及すべきだ。オウム事件の犯人やナチスドイツの戦犯のように。この事故は、そうすべきレベルの犯罪なのだ。

 それから、政府はさっさと食品基準を欧米並みに引き上げるべきだ。日本の基準は厳しすぎるのだ。これからも原発が放射能を吐き続ける限り、土壌は汚染され、どこも現在の基準値を上回る可能性がある。
 これからは、ある程度の汚染を前提に生活することを考え、すべての基準を見直すべきだろう。もちろん、あまりにも安全ギリギリはまずいだろうから、ある程度の余裕は持たせるべきだろう。
 そして、まだ汚染の少ない今、福島の農産物を買い取って、加工し備蓄すべきだと思う。ヨウ素なら放射線を出す量は多いがその分半減期が短いので、しばらく置けば基準値を下回る。市場に出すときは、念のため妊婦乳幼児に摂取を控える警告を付ければいいだろう。もちろん、安全をアピールするために、政治家さんたちが美味しくいただくパフォーマンスは必須だ。

 このままでは、一次産業から三次産業に至るまで全滅してしまう。

 決死隊の努力にもかかわらず、原発は冷めず放射能を吐き続ける。
 絶望と隣り合わせながら、それでも、私たちは復興のために尽力を惜しまないだろう。我々貧乏人は、お金持ちのように何百万何千万と寄付することは不可能だが、微力ながらそれなりの支援の方法があるはずだ。

 私たちは原発事故の一刻も早い収束を、ただ祈るしかない。

 深刻な原発事故が起こった場合、その被害は甚大で、人の手に負えなくなる。私たちはそれが怖いからこそ、反対の立場を示してきた。果たして、原発の関係者はそれを恐れていたのだろうか。可能性は考えていたのだろうか。
 今までの事故は、何とかなった。ごまかすことも出来た。その油断が彼らを安心させ、増長させ、今回の事故を招いたのだ。彼らは国民の命より金を選んだ。その罪は重い。

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福島と明暗分けた女川原発 大津波想定、高い敷地に
http://www.sakigake.jp/p/special/11/eastjapan_earthquake/news.jsp?nid=2011032701000431

 津波に襲われた東京電力福島第1原発が、危機的な状況を続け住民に退避を強いる一方、より震源に近い東北電力の女川原発(宮城県)は安全に停止、被災した周辺住民が避難所として集う。

 太平洋沿岸の2原発が明暗を分けたのは、設計時に想定した津波の違いによる立地の差。ただ、女川原発にも想定を超えた波が到来しており、避難している住民からは「お世話になっているし、信じるしかない」と複雑な声も漏れた。

 福島第1原発が想定した津波は最高約5・7メートル。しかし、実際にやってきた津波は高さ14メートルに及び、海寄りに設置したタンクやパイプの設備を押し流した上に、重要機器の非常用発電機が水没。東電は原子炉を冷却できなくなる事態に追い込まれた。

 東電は「想定には設計当時の最新の知見を取り入れたが、はるかに超えてしまった」とする。

 一方、宮城県沖地震など幾度も津波に見舞われた三陸海岸にある女川原発で、東北電は津波を最高9・1メートルと想定。海沿いに斜面を設け、海面から14・8メートルの高さに敷地を整備した。

 港湾空港技術研究所(神奈川)などの調査では、原発から約7キロ離れた女川町中心部を襲った津波は、原発の敷地の高さと同じ14・8メートル。津波は一部で斜面を超えた可能性もあり、1〜3号機のうち最も海に近い2号機の原子炉建屋の地下が浸水したものの、「重要施設に津波は及んでいない」(東北電)という。

 浸水で2号機の非常用発電機の一部が起動しなかったが、別の系統が稼働し、無事停止した。

 そんな原発に、周辺から被災した住民が身を寄せる。東北電は敷地の体育館に最大で約360人を受け入れ、食事も提供している。町内の60代女性は「原発の交付金で町にハコモノばかりでき、何だと思っていたが、それのおかげで命拾いしたので、複雑な思いです」とつぶやいた。

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コメント

そうそう、さっさと原発廃止して先進国の暮らしを放棄すれば良いだけ。

とりあえず、貴方がPCと携帯と冷蔵庫とテレビとエアコンとコタツを捨てればちょっとは貢献できますよ。

投稿: 名無しの投資家」 | 2011年3月28日 (月) 23:55

うん。

投稿: GPZ | 2011年3月30日 (水) 00:14

名無しの投資家さん
(次回から、HNに「名無し」「通りすがり」等を付けるのは避けてください。「名有り」の責任においてコメントしてください。ただし、「名有りの投資家」は却下します)

お返事が遅くなってすみません。
これにはちゃんとお答えすべきだと思ったので、じっくり書ける休日まで待ちました。

良いコメントをありがとう。

本文に書いた通り、腹が立って仕方がないのでかなり感情的な内容になっているので、感情を害されたかもしれませんね。

PCは仕事に使っているので、ちょっと捨てられないですね。困ったもんです。
携帯電話のほうは、3年前まで持たない主義で必要があったので買って、今は帰るコール以外緊急時のために持っているようなものなので、充電も4日に一度くらいだし、捨てるのも問題ないけど、あまり貢献にはならないかもしれません。まあ、母のことがあるので、持っていたほうがいいかな、とは思います。

部屋の電気を消したり、寒くてもヒーターを極力つけないで(さすがに朝は勘弁)厚着したり、PCをこまめに切ったり、オーブンよりレンジで短時間調理したりと、節電は考えてます。

さて、原発やめろ、というテーマで書くと、必ず反論として書かれるのが、このPCと携帯電話をやめろという意見です。
確かに、20年前にはなかったものなので、過去より電力使用をそれらが増やしているのは確かです。ただ、昔より省エネな電化製品も増えましたし、省エネなら夜早く寝るとか(すまん)、深夜放送を緊急時のNHK以外しないとか、コンビニ営業を7時から10時にするとか、家族が一部屋に出来るだけ集まって暮らすとか、イルミネーションをやめるとか節電方法は選択肢がいろいろあるはずです。
夏場のクーラー使用を控えたら、だいぶ減ると思いますが、逆に死者が増えそうです。でも、ヒートアイランド現象が少しはましになるかもしれません。よって都市型豪雨も減るかもしれません。

それよりも、今はケータイやめろとか煽っている時じゃないと思います。とにかく、復興に巨大な壁となって立ちはだかる、福島第一原発の事故が治まらない限り、泥沼に沈むばかりだと思います。その上、もんじゅまでイッちゃったら、まさに「日本オワタ」状態になってしまいます。今でさえ、福島はレベル6相当の事故。
とはいえ、我々に成す術なし。
ちまちまと節電するしかないですね。

私は、昭和30年代(ひょっとしたら終戦直後)にまで戻っても仕方ないと思っています。ケータイ・PCどころか、テレビも普及していない時代です。

原発は、使用後の燃料以外にも問題はありますが、きちんと制御出来るのであれば、この国では仕方のない設備だと思います。
でも、今まで何度小さい事故が起こり、問題になってきたか、です。今までは幸か不幸か大事故にはつながらなかった。それに胡坐をかいた結果がこれです。
制御できない者に神の火を使う資格はないです。


クリーンエネルギー(残念ながら、今後原発がこれを名乗ることは出来ないでしょう)は出力が不安定ですし、石油も残り少ない今、原発は必要かもしれません。
しかし、福島原発の事故が収束し、再び原発を建設するならば、(現存する原発も含めて)様々な災害パターンを想定し、今回の津波の3倍が来ても大丈夫な、何重にも安全対策を施して、万一の事故にもすぐに対応できるようにしてほしい。それから、かかったコストを役員報酬も含めて事細かく正直に公表してほしい。今回の事故も、利権によって、金が十分に安全対策に回らなかった結果のように思えます。また、利権に全く関係ない、むしろ反原発(まともな団体ね)の人に毎年数回の査察をさせてほしい。
あと、働く人の健康にも十分に気を使ってほしい。下請けだからって、命を軽んじることがあってはいけないと思います。

深刻な事故が起こった場合、どうなるか、今回で皆身をもって知ったはずだから。

どうか、これ以上事故がひどくならないことを、そして、一刻も早い沈静化を。
そして、現場で過酷な労働をしてくださっている方々の健康被害が最小限でありますように。笑ってご家族や友人に会うことが出来ますように。
心から祈っています。

投稿: 黒木 燐 | 2011年4月 2日 (土) 10:29

GPZさん

「うん」て(笑)。
気持ちはわかります。

投稿: 黒木 燐 | 2011年4月 2日 (土) 11:49

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