凍結された幸せ
そこは 幸せのしるしを残したまま 時が止まっていた
悲しみ 憐れみ そして怒り
訪れた人々は みな 持って行き場のないそんな気持ちを
次々と書き残していった
幸せを書き綴り 明るい未来を夢見ていた男は
突如 その未来を断たれた
それはその たったの20時間後
おそらく彼は これからの幸せを思い描いたまま 逝ったのだと思う
だが それは まったくの虚構
破滅へのいざないだった
幸せの残滓を抱いたまま 彼は眠った
永遠に
残されたものに深い悲しみを刻んで
誰が彼を責められよう
愚かだと笑えよう
彼は彼なりに懸命に生き そして 人並みな幸せを願っただけ
悪魔はそのささやかな願いを弄び食い尽くした
欲望に身も心も醜く肥えさらばえた悪魔
今 彼の残した幸せの残滓が その悪魔を追い詰める
帰るべき地獄へと
だが それはもはや 彼にとっては遠い出来事
幸せのしるしを残したまま 彼の時は止まっている
せめて思いたい
時の止まったブログのように 幸せな気持ちのまま 逝ったのだと
未来を夢見ながら
読まれたらすぐにわかると思いますが、これはあの事件(※)の被害者に宛てた詩です。
彼のブログを読んでしまい、その後、なんというか、持って行き場のない感情がずっと湧き続けて、なにか形にせずにはおれない状態になり、結果、これを書くに至りました。
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