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2009年7月30日 (木)

クロロ逝く

Kuroro722_2_waku  クロロは、すごくがんばりましたが、7月30朝、力尽きて虹の橋に旅立ちました。

 早朝ゆえに、看取ってあげることが出来ませんでした。残念です。

 心配して励ましてくださった皆さん、ロムしながらエールを送ってくださったみなさん、どうもありがとうございました。

 それから、最後まで諦めずに手を尽くしてくださった、犬猫病院の先生、どうもありがとうございました。

 部屋をクロロに提供してくれて、平日私たちがいない間に、世話をしてくれて後半毎日病院にも連れて行ってくれた、また、亡くなったあと綺麗な祭壇を作ってくれた母、ありがとう。

 病院に電話したり付き添ってくれたり、いろいろ妹、ありがとう。

 この子を拾ってくれた弟、ありがとう。

 そしてクロロ、ウチを選んでくれてありがとう。

 最初は調子が良かった。ミルクを飲むようになって、お湯で柔らかくしたペットフードもおいしそうに食べた。眼もだいぶ綺麗になってきた。きっと大丈夫だと思った。

 きっとそこで油断してしまったんだろう、子猫はうっかりするとすぐに連れて行かれるから、油断しちゃあいけないよ、と言っていたのは自分だったのに。

 急に下痢気味になって、またミルクを受け付けなくなった。それで、振り出しにもどってまたスポイドでミルクを強制給餌させることになった。そのせいか舌が荒れ、ますますミルクを飲みたがらなくなった。眼はだいぶ綺麗になったが鼻づまりが治らない。薬は毎日欠かさず飲ませていたのだが。一進一退が続いた。

 そんな時、クロロが病院でミルクと一緒に何か異物を吐いた。素材といい大きさといい、とても子猫が食べれると思えないような、軍手生地のような厚手の布と、緑色の紙。クロロのケージの傍には絶対にないもの。おそらく拾われる前からお腹にあったんだろう。
 これが原因かもしれない、だったらまた食事をするかもしれない。私たちは希望を持ったが、現実は甘くなかった。

 結局、緩慢な栄養失調状態が続いた。後半は病院で毎日水分補給と栄養の注射をしてもらった。しかし、ミルクを飲まない限り、根本的に栄養状態は改善しない。
「小さすぎて、点滴が出来ないからねえ」
先生は、残念そうに言った。

 結局、ウチに来てちょうど3週間で旅立ってしまった。

 毎日何回も無理やりミルクを飲まされるのは嫌だったろう。注射も嫌だったろう。でも、私たちはみんなクロロに生きて欲しかったんだよ。諦めたくなかったんだよ。

 ご飯をいっぱい食べて、大きくなって欲しかったんだよ。猫じゃらしにじゃれて元気に遊んで欲しかったんだよ。ベッドで他の猫たちと一緒に、ぽかぽか日向ぼっこをして欲しかったんだよ。冬には、真っ白い雪景色を見せたかったんだよ。寒い時にはヒーターの横でぬくぬくしたり、一緒にお布団で寝たりして欲しかったんだよ。お魚も沢山食べさせてあげたかったよ。

 きっと綺麗な黒猫になっただろう。大きい耳に長い尻尾、短毛だが若干毛足の長いつやつやした毛並み。きっと眼は金色だったろうね。

 せめて一年でいい、この子に寿命をくださいと、何度祈ったことだろう。

 どんなにきつくても、絶対にトイレで用を足すお行儀の良い子だった。最後の最後までトイレでおしっこをしたらしい。寝床のシーツもケージに敷いたシーツも、ほとんど汚れていなかった。ダンボール箱の寝床をちゃんと自分の部屋だと認識して、ミルクが嫌になると、とっとこ箱に入るしぐさがとても可愛かった。

 最後の夜、私はクロロの限界を悟って、彼女を抱いて泣いていたら、ぐったりと横になっていたのに急に起き上がってお座りをして、かすれた声でニイと鳴いた。まるで、「ほら、あたしは元気だよ、だから泣かないで」と言ってくれているようだった。それでも、すぐにぱったりと横になったが、それを2回ほど繰り返した。

 それから、雑用をしながら夜の3時くらいまで時々様子を見たが、翌日は会社があるので徹夜するわけにはいかなかったので、止む無く寝ることにした。普通ならこういう状態の時は一緒に寝てあげるのだが、感染症をもっているかも知れない。先住猫たちを危険に曝すことは出来なかった。
 実は昔、外に脱走した猫が重篤な感染症をもらってきて、当時いた5匹の猫が全部感染、うち2匹が死亡するという苦い経験があったのだ。

 翌朝、6時にめざましをかけていたが、目覚めたのは6時半だった。飛び起きて様子を見に行った。

 クロロは、寒くないようにと寝床のダンボールにかけていたタオルを、踏み脱ぐような格好で寝ているように見えた。しかし、触ってみると、身体は既に硬く、かすかに体温が残っていたものの、冷たくなっていた。この子が来てから毎朝恐れていたことが、ついに現実となっていた。
 間に合わなかった・・・。
 私はクロロを抱き上げ、膝に載せて、ガックリと座り込んだ。しばらく動くことが出来ず、ただ、ハタハタと涙だけがこぼれた。

「死んだ?」
母が起き出してきた。
「結局苦しいだけで終わらせてしもうたねえ」
「いや、拾われないであのまま野垂れ死にしたよりずっといいよ。少なくとも、みんなに愛されて、暖かい寝床で死んだのだから」
私は、自分に言い聞かせるように言った。

 クロロは、うっかり変なものを食べてしまうくらいのあわてんぼさんだから、お空にある子猫の船に忘れ物をしたのを取りに帰ったんだよね。きっと、また帰ってくるよね。

 手の中に残るクロロの感触を思いながら、私はそう願わずにはいられなかった。

★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・゜ 

【追記☆7/31】

 妹の友だちのAさん、お花とドライフードをありがとう。今、お花はお墓の傍に飾っています。フードはいっしょに埋葬しました。
 同じくKちゃん、昨夜はわざわざ来てくれてありがとう。何度か撫でてくれて優しい言葉をかけてくれたこと、きっとクロロは覚えていますよ。

 

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コメント

冥福を祈り黙祷。

皆に想われ暖かい所で幸せな最後だっただろうと思います。クロロちゃん、燐さん、お疲れ様でした。

投稿: 何処 | 2009年7月30日 (木) 09:03

クロロちゃんへ
よく頑張ったね。
少しの間だったけど、燐さんや弟さんや妹さんに沢山愛されて、幸せだったね。虹の橋で、たくさんのお友達と一緒に楽しく遊んでください。

燐さんへ
お疲れ様でした。どんなに頑張ってもどうにもならにことが沢山ありますが、ちっちゃい子を見送るのはほんとに辛いです。お心落としの無いように・・・

クロロちゃんは、沢山愛されたから、きっとまた燐さんのところに戻ってきますよ。

うちにいる子達も、あの子の生まれ変わりかな?て思うことが多々あります・・・又、科学的でないですが・・・

クロロちゃんの冥福と、おうちの無い子や辛い思いをする子がいなくなるように祈ります。

投稿: Lin | 2009年7月30日 (木) 10:14

きょうぽち子は心配するはずだった。

投稿: BlogPetのぽち子 | 2009年7月30日 (木) 14:08

クロロちゃんの身に一体何があったのでしょうか?
原因が分からないのって凄く辛いですよね。

余談ですが外国の諺に 「猫には九つの命がある」 という諺があります。
古代エジプトで作られたと言われています。
容易に死なない、と言う意味だそうですが、実際どうなんでしょうね?

クロロちゃんのご冥福をお祈りいたします。

投稿: REDSCORPION | 2009年7月30日 (木) 22:22

クロロちゃん、がんばったね。
今はゆっくり休んで、大空の下おもいっきり
駆けめぐってください。

合掌

投稿: MM21 | 2009年7月30日 (木) 22:44

ずっと見てました、何とかならないかなと思いながら…。

思うようにいかないのが人生なんでしょうか。

燐さんも、あまり思いつめないように。

合掌

投稿: drac-ob | 2009年7月31日 (金) 00:01

あらかわいい、と心配しながら見ておりましたが残念でした。
燐さん頑張りましたね。私には「にぃ」は「おかあさん(燐さん)、ありがと」と言ったように思えましたよ。元気出してね。

投稿: GPZ | 2009年8月 1日 (土) 23:53

何処さん

誰よりも早く、お悔やみの書き込みをしてくださって、どうもありがとうございます。
レスが遅くなってすみませんでした。

このところ涼しかったので、暖かくしてやれたことだけが救いでした。出来れば看取ってやりたかったけど、これもクロロが死ぬところを見せたくなかったからかもしれませんね。

投稿: 黒木 燐 | 2009年8月 2日 (日) 18:40

Linさん

ずっと励ましてくださり、また、クロロにエールを送ってくださり、ありがとうございます。
残念な結果になってしまいましたが、これも運命だと受け入れるしかないですね。
確かに、10年以上生きた子に比べると、わずか2ヶ月にも満たない子の場合は辛さが倍増します。

小さい命を救ってやろうと思う人間の気持ちは、あるいは慢心かもしれません。しかし、消えそうな命を目の前にして、なんとかしたいと思うのは、人間の業のようなものでもあるのかも知れませんね。

しかし、本当に、命を奪うことは簡単ですが、救うことは難しいです。

私もこの子はあの子の生まれ変わりじゃないか、と思ったことはよくあります。科学的には生まれ変わりはありえないことですが、そう思うことは問題ないと思います。
クロロが帰って来たときには、ちゃんと気付いてあげないとね。

遺棄されて辛い思いをする動物達がいなくなる世界が来ることを切に願います。

投稿: 黒木 燐 | 2009年8月 2日 (日) 18:59

BlogPetのぽち子ちゃん

何故かクロロのことでずっとコメントくれたね。
ぽち子からのコメントをもらって、ずっと不思議な気持ちでいたよ。
ぽち子はプログラムだけど、きっとクロロのことが心配だったんだよね。ありがとう。

投稿: 黒木 燐 | 2009年8月 2日 (日) 19:05

REDSCORPIONさん

励ましとお悔やみありがとうございます。

ほんとに、彼女が彷徨っていた時に何があったか気になりますが、過酷な状況であったことは間違いないでしょう。大雨前に保護できて良かったと思います。

「猫は九つの命がある」というのは、聞いたことがありますが、エジプトの諺でしたか。日本の場合は「猫を殺せば七代祟る」。同じ数字を遣った諺でも内容がかなり違いますが、両方とも数字が奇数ってのが面白いですね。
家猫自体、エジプト紀元で、その神秘的な性質から神とされていたようですね。

容易に死なないということはないでしょうけど、転生しやすいと思わせる何かがあったのでしょうね。

投稿: 黒木 燐 | 2009年8月 2日 (日) 19:17

MM21さん

お悔やみありがとうございます。

クロロはうちにいる間は全く走れませんでしたので、今頃は虹の橋の袂で、他の猫たちと思い切り走り回って遊んでいると思います。屋形船が迎えに来る日まで。

投稿: 黒木 燐 | 2009年8月 2日 (日) 19:21

drac-obさん

ずっと心配してくださって、ありがとうございます。

まさに、ダイセンジガケタラナヨサ、ですね。
結果ですから、もう悟るしかないでしょう。
この失敗を次回に生かして、次は必ず助けたいと思います。
それがクロロの供養にもなるでしょうから。

投稿: 黒木 燐 | 2009年8月 2日 (日) 20:08

GPZさん

ご心配をおかけしました。
あの時クロロが無理して起き上がったのは、何かを伝えたかったのは確かだったと思います。ありがとうだったかも知れないですね。

だいぶ浮上しましたが、なにかの拍子でふと思い出してしまいます。

こういう考え方はおこがましいですが、きつい事ばかりだったであろうクロロを、なんとか助けて幸せにしてやりたかったです。

投稿: 黒木 燐 | 2009年8月 2日 (日) 23:51

クロロちゃんを大事にしてくれてありがとう。
天使が抱っこして連れて行ってくれましたよ。

投稿: sumire | 2009年8月 5日 (水) 09:17

sumireさん

ありがとうございます。
今日(正確には昨日)初七日を迎えました。

時はかくも無常なり、そしてかくも優しきなり。

クロロは今、日々草の白い花の下で静かに眠っています。

投稿: 黒木 燐 | 2009年8月 6日 (木) 00:53

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