君の名は・・・
名前には普通由来がある。親の願いを込めてつけられたものから、ふざけてんのか?というようなものまでピンからキリまである。
ところで有名人の名前にも、いろいろ凝ったものがある。※UP当初より若干加筆しました。
よくあるのがオマージュ系。好きな作家や役者等のなまえをもじった名前。有名なのは江戸川乱歩(えどがわらんぽ)で、これはアメリカの怪奇作家エドガー・アラン・ポーの名前からとったものだ。他にはコメディアンの谷啓(たにけい)が俳優のダニー・ケイから、喜劇俳優の益田喜頓(ますだきいとん)は、やはりアメリカ喜劇俳優マスター・キートンバスター・キートンからとった名前というのが有名だ。
変化球では佐藤B作(さとうびーさく)で、もちろんこれは元総理大臣佐藤栄作の名前をもじったもの。
作家の二葉亭四迷(ふたばていしめい) は、親に「くたばってしめぇ」と言われたことからそれをペン・ネームにした。
変わり種はジェームス三木(じぇーむす・みき)。 歌手としてデビューする際、ディック・ミネに芸名をつけてもらおうとしたら「それどころじゃない、今から税務署に行くんだ」と言われ、「税務署行き」→「ジェームショイキ」→「ジェームスミキ」と自分で考えたらしい(トリビアの泉でも紹介)。
それと、これもよくあるパターンだが、自分の本名をもじったやつ。漫画「のらくろ」で有名な田河水泡(たがわすいほう)だが、本名は「高見沢」である。それをローマ字表記して「TAKAMIZAWA」を「TA KA MIZ AWA(たかみずあわ)と分解して「田河水泡」とアテた。もともと「たか・みずあわ」と読ませるつもりだったが、誰かが間違えて「たがわすいほう」と読み、それがそのままPNとして定着したらしい。
簡単なところでは、少女漫画家に「かわみ なみ」という人がいる(いた?)。彼女のPNは本名の川南からつけたそうだ。因みに北条司は意外にも本名である。
さて、有名人から庶民の話になるが、私のHN「黒木 燐」について書いてみよう。別に先祖が「黒い麒麟」(畏れ多い)だったからではない。もともと同人をやっていた時のPNが「Earl Grey」だった。名前の頭文字Rに紅茶のアール・グレイをかけたものだ。それが、ストラングラーズのメンバーが自分らを「MenInBlack(黒服の男達)」と呼んでいるので、私も「Earl in Black」に変えてみた。その後、めんどいので「R in Black」と表記していた。それが「リン・ブラック」と読めるのでそのまま「黒いリン」にしてみたけど、それじゃ変だから本名に似せて名字を黒木に変え、「りん」にあまり人が名前に使っていない「燐」という漢字をあてて出来たのがこの名前だ。グーグルで検索しても引っかからなかった(今は他にもいるようだ)ので、それをHNしたである。説明長くてすんませんでした。
因みに私の本名には名前に「子」がついている。しかし、母が考えた名前にはつけていなかった。どうして子がついたかというと、届け出に行こうと玄関を出ようとしたら、叔父が「女の子の名前には子をつけないといけない。」とか妙にこだわったため、燐(仮名)が燐子(仮名)になってしまった。
妹の場合は、祖母が「真理子」という名が好きで、次に女の孫が生まれたらそれにしたい、と言っていたのでその名で届け出をしようと玄関を出ようとしたら、 今度は父が「誰が真理子にするといったか、『○○(本名なので書けないが、けっこうハイカラな名前だ)』にしろ。」と、珍しく主張したので、その名に決まった。兄弟というものは妙なところが似るものだ。
まあ真理子だった場合、名字に相まって妙な語感となり、絶対からかわれたと思うので、妹は父に関してこれだけは感謝しているらしい。
妹の友人に至ってはカナリ悲惨である。お父さんが役所に届け出る時に、書類に書いた名前の「なお子」が「なめ子」となっていた(そうとう字が汚かったのか?)そうで、普段はなお子と名乗っているが、正式名は「なめ子」らしい。
最近は「子」のつく名前が珍しくなったが、皇室の女性の方々の名に全部「子」がついていることから、かつてはやんごとなき身分しかつけられなかった高貴な人名漢字だと思う。
しっかし、最近の子どもの名前には、すごいものがある。この「子供の名付け(命名)DQN度ランキング」というサイトを見てもらうとわかるが、目を覆わんばかりの惨状である。世歩玲(せふれ)亜菜瑠(あなる)舞良(まら)穂都(ほと)等々(←全部へそ下三寸関連なのがすごいが)、子どものことを少しでも考えたら絶対につけられない名前だらけだ。このまえのエントリー「おかしななまえ」のコメント欄で少し話題になったが、何年か前、我が子に「悪魔」とつけようとしたDQN親がいたことを覚えている人も多いだろう。この場合「神」だったら多分お咎め無しだったのだろうが、「仏」の場合はどうなっただろうか。とりあえず、「亜菜瑠」とかいうあんまりな名前の場合は改名が可能なようである。
そういえば友人にも我が子3人に、上からアスカ・セイヤ・ツキカ(漢字省略)とつけていたのがいるが、最後のツキカという名前を聞いてひっくり返ってしまった。まあ、両親とも顔はいいのでみんな可愛く育ったからいいようなものの、不細工だったら目も当てられないというもんだ。身近には他に、Kちゃんの知り合いで「宇宙」と書いて「コスモ」という名の子どもがいるらしい。
逆に鈴木一郎という平凡な名前を、イチローというキカイダー01みたいな非凡な名前にして成功した例もあるから侮れない。その後それにあやかろうとしたヤツがいたが、パッとしないようだ。スタイルを真似ても中身が追いつかなきゃ意味がないのである。
漫画や小説を書く場合にも名前で悩むことが多いと思う。地図や人名辞典は必須である。平凡な名前ですませればいいが、やはり、それなりに凝った名前にしたいものである。このブログの「放談」でおなじみのドカマゴジラ多田野美羽は、「タダのミーハー」をもじってつけた名前だ。
探偵小説で言えば、横溝正史の創作した有名な名探偵の金田一耕助は、言語学者の金田一京助からとった名前なのは有名である。また、泡坂 妻夫の小説に亜愛一郎(あ・あいいちろう)という探偵がいるが、これは探偵名鑑で最初に名前が来るようにと考えてつけられたなまえらしい。「あ」と「い」が二つずつ並んでいれば、この前に来る名前なんぞ滅多にないことだろう。ところでこの作家「泡坂 妻夫(あわつか つまお)」の名前は本名の厚川 昌男(あつかわ まさお)のアナグラムになっている。さすがにミステリ作家は自分の名にも凝っている。
アナグラムといえば、吸血鬼ドラキュラがアルカード、カーミラがミラーカという自分の名のアナグラムで偽名を名乗っていた。このアルカードやミラーカという名前は、よくマンガの脇役の名前に使われたりするようだ。
それと雅子さまと紀子さまのご結婚前のお名前がアナグラムのようになっているというのは、一部では有名である。
ついでに怪獣のネーミングで、怪獣マニアには常識問題ではあるが、けっこう面白いものをいくつか挙げてみよう。まず怪獣王のゴジラはあとあと諸説こじつけているようだが、もともとゴリラとクジラの合成語である。ウルトラマンの最終話でウルトラマンを倒した怪獣ゼットンは、最終話らしく、アルファベットと五十音の最後の文字「Z」と「ん」を合わせたものだ。ウルトラマンエースの超獣「バキシム」はキバムシ(牙虫)の逆読みだ。それからウルトラQのなかでも特に私の好きなマンモスフラワー「ジュラン」は、「ジュラ紀の蘭」からつけられた(ただし、じっさいのジュラ紀には花を咲かせる植物はまだ存在していなかったと思う)。ウルトラセブンの植物型宇宙人ワイアール星人は、葉緑素をローマ字表記した時(Yourokuso)のYとRを取ってつけられた。ウルトラシリーズ屈指のカッチョイイロボット「キングジョー」は、脚本家の金城哲夫の名前をもじってつけられたものだ。
色々と例を上げたが、つまるところ、名前はどんなものをつけようと自由だし、源氏名やPN・HNの場合は凝ってもいいが、本名の場合は、ある程度無難な名前を付けたほうが、あとあと面倒なことになりにくいということである。
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コメント
御説ごもっとも、全く持って異議ありません。ただ博覧強記(凶器?狂気?)の燐さんらしからぬミスを見つけて欣喜雀躍、馬耳東風。
>アメリカ喜劇俳優マスター・キートン、は間違い。マスターキートンは浦沢直樹のマンガのタイトル。喜劇役者はバスター・キートン(Buster Keaton)です。ちなみに「ゴーストバスターズ」のバスターですね。意味はスラングで「やんちゃ坊主」とか「すごい奴」みたいな男に対する一種の敬称でしょうか。
バカ親がバカガキに付けるバカな名前はいい加減うんざり、この国の文化水準の低さを如実に物語っていて、ホント亡国の輩とは彼らのことでしょう。王妃=だいあな?挑戦=とらい?あまりに物事を知らな過ぎ。口惜しかったら北朝鮮=てぽどんとか、金将軍=はらぼてとか付けてみろ!!
すいません、取り乱しました。最後に爽やかな話題を。
>真理子だった場合、名字に相まって妙な語感となり、絶対からかわれたと思う
これで思い出したのが、つぼいのりおのご存知「金太の大冒険」 ♪金太、負けるな。金太、負けるな。キンタマケルナ~
どうも長々と失礼を致しましたー。
投稿: drac-ob | 2006年10月19日 (木) 20:56
>真理子だった場合、名字に相まって妙な語感となり、絶対からかわれた
かなり考えて、やっと本名を思い出しました。むぅ……確かにその可能性は高いような……
そういえば妹さんの本名は存じません。
まあ自分自信、本名は名字も名前も目立つのでイヤです。全然名は体を現してないし。
実は色々事情があって、名字も名前も違うはずだったのです(^^;)どうりで……
フツーの氏名になるはずだったのになぁ〜〜
投稿: 眠り猫 | 2006年10月19日 (木) 22:27
drac-obさん、
うはぁ、虎の巻にもちゃんとバスタ・キートンって書いてあるのに思い切り間違えてしまいました。
マンガのマスター・キートンは面白かったですね。1話あたりの長さが程よくて、良かったです。「MONSTER」も「20世紀少年」も、面白いけどどうしても中だるみがしますから。
名前の珍奇さは、やはり子どものペット化の表れなのでしょう。しかし、事故や事件で亡くなる子の名前のDQN率も高いですね。名前が珍しいから記憶に残るというものかも知れませんが。
そういえば、「素浪人花山大吉(「月影兵庫」かも)」に出たゲストキャラの「大根畑の肥衛門」、思い出しました
つぼイノリオはそのシリーズで「お万の方」と「吉田松陰」ネタがありますね。でもまあ、「金太の大冒険」が秀逸です。
カラオケでも見ますがさすがに歌う勇気はないです。
投稿: 黒木 燐 | 2006年10月20日 (金) 00:46
眠り猫先輩
本名忘れてたんですかい。
ホントころころな名前になっちゃうでしょう?
名前は苗字との関わりも大事ですね。
先輩の苗字も確かに珍しいです。一発で正しく読んでもらえなさそう。
私の場合は名前は珍しいけど、簡単で絶対に読み間違えられないですから。
>実は色々事情があって、名字も名前も違うはずだったのです(^^;)どうりで……
なんかフクザツそうですねえ・・・。
投稿: 黒木 燐 | 2006年10月20日 (金) 00:52
>マスターキートンは浦沢直樹のマンガのタイトル
関係ないですけど、大好きな漫画です(笑)。
私も”子”がつくよくある名前です。でも、響きと漢字がとても気に入っていてつけてくれた母に感謝してます。元々は同じ読みで季節の漢字を使いたかったらしいんですが、祖父に「移り変わる季節のようなものの名前をつけるのは良くない」と反対されて、漢字だけ変えたんだそうです。
しかし、見事に名前の通りに育っていて(笑)「違う漢字にすれば良かった。。。」と良く言われました( ̄▽ ̄;)
ホント、読めない名前の子多いですね~。子供のクラス名簿見る度に”何て読むのこれ?”ってのが半分以上あります。
我が家は娘には私達が好きな花”桜”を使ってます。息子には”陽”と私が昔からつけたかった響きの漢字と組み合わせたものです。
読めないこと無いと思ってるんですが、1度で読んでもらえたことないです(‐。‐;)
あまりにも、突飛な名前はどうかと思いますけど、つけた人の思いが伝わってくる名前は、何だか微笑ましくてついその子の顔を思い浮かべてしまいます。
「名前負けしてるぞー(笑)!」とか(笑)(≧▽≦)
弟が娘に”愛の海”と書いて”まなみ”と命名したんですが「アンタ達夫婦、全然海関係無いし、むしろ嫌ってるじゃん(笑)!!」と大笑いしてしまいました。何でつけたんだろ(笑)??(^曲^)
投稿: wing | 2006年10月20日 (金) 15:34
しかし燐さんて方は、何でそんなに! 何でそんなに! 何でそんなに物知りなんですか!? あの人この人この怪獣の名前の由来なんかより、燐さんの頭の中の方に興味がわいてしまうんですが…
あ、そういえば私もひとつ、変わった名前を知ってます。
アメリカのプロバスケットボールのレイカーズというチームに、「Kobe Bryant」という有名な選手がいるんですが、名前の Kobe は、アメリカでは「コービー」と発音されてるんですが、由来はなんと 神戸。神戸牛。彼のお父さんが来日した際に食べた神戸牛があまりにも美味しかったから、とただそれだけの理由で息子に Kobe と付けたとのこと。どこの世界にも妙な親はいるってことですね。
投稿: 猫だぬき | 2006年10月20日 (金) 18:44
wingさん
wingさんも子がつく名前なんですね。
私の本名は字面が全体的に堅いので、筋道の通ったお利口さんみたいなイメージです。でも、実際は(爆)。苗字は簡単な漢字だけど珍しい名前で、それでも数人同じ苗字の有名人がいます。フランス語ではあ~ら不思議、とっても高貴な身分に(笑)。
どんな漢字で傍目には妙でも、親が愛情と願いをこめたのがわかるならまだいいのですが、絶対にいじめられるような名前はやっぱアカンですよね。ペットならまだ理解出来るんですが。
それにしても、名前を届け出るときって誰かがクレームつけて・・・ってパターン、けっこう多いんですね。
愛海ちゃんの命名理由
舞の海のファンだったから実は舞海にしたかったけど、ブウミとかブミとかからかわれそうだったんで、急遽「愛の海」で愛海に変えた。
・・・ンなこたぁない(笑)。
投稿: 黒木 燐 | 2006年10月26日 (木) 02:26
猫だぬきさん。
私の物知りは50%は手持ちの本、残り50%はグーグルのおかげです(笑)。
コービー・ブライアントさんですか。
なんか、コーヒーにブライトな名前ですね。
自分の名前の由来が牛だったなんて知ったときのコービー少年は、グレようとか思わなかったんでしょうか???
そういえば、バルセロナオリンピックのマスコットも「コービー」じゃなかったっけ。いや、あれば「コビー」だっけ。
あれ以来、いろんなマスコットキャラがヘタウマ絵になったような気がします。
われらが福岡で開催されたユニバーシアードのキャラ(カバポーだったかカバプーだったか)も、アカラザマでした。↓
http://universiade.fjct.fit.ac.jp/jp/setumei/fukugai/kapa.html
「カパプー」でした。
投稿: 黒木 燐 | 2006年10月26日 (木) 02:37