飛んで燐に付く夏の虫
今日は妹が接待で外食をするからというので、こっちも少し贅沢をして浜勝で弁当を買って帰ることにした。
それで、浜勝のある「ゆめタウン」に寄って、弁当を二つ買って、そのまま駅まで歩くことにした。会社を出るのが少し遅かった上に、弁当が出来るまで15分くらいかかったので、ゆめタウンを出る頃には7時45分を過ぎていた。電車の時間が8時7分くらいだったので、あまり時間がなかった。今日は猫砂も買ったので荷物が多かった。おまけに傘がある。降ってなかったんだし、折りたたみ傘がバッグに入っているので、会社に置いてくるべきだったが、つい癖で持って出てしまった。梅雨が長引いているせいだ。
店を出て、少しすると橋がある。そこを渡っていると、犬を連れたバカップルが前を歩いていた。男のほうが煙草を吸っており、煙いので早足で追い越した。追い越しざま、煙草のにおいと女のほうがつけている香水の匂いがダブルパンチで攻撃してきた。ついでに犬が吠え付いてきた。飼い主は犬を怒ったが、謝りもしない。まあ私は犬嫌いじゃないからいいけどさ。
夏とはいえ、流石に夜も8時近くなると人通りも少なくなる。街灯らしい街灯もない黄昏時の河畔道を、荷物を抱えひたすら歩いていた。
その時、ブーンという羽音がした。と思ったら、とんでもないことに5ミリくらいの甲虫らしき虫が、ぐわしっという感覚と共に私の左の目じりに張り付いた。
パニックである。
私は、きゃああっという非常に女らしい悲鳴をあげて、左手は砂を持っていたため、弁当を持った右手でそれを払いのけようとした。ていうか、弁当を持っていることは忘れていた。軽く掃っても逃げない。流石は甲虫である。かといって強く掃うとなんかとても嫌な展開になりそうな予感がした。指でつまんで取るしかない。その間、私の脳裏には、噛まれる・腫れる・毒が入る・寄生虫がはいる・変な病気に罹るなどの不吉な言葉がぐるぐる回っていた。
「ちょ・・・ま・・・、ちょっと待って、待ってよ。」
私は訳のわからないことを口走りながら虫を取ろうとした。3回ほど失敗してやっと虫が離れた。パニックでどんな虫か確認するどころではなかった。
しかし、虫はのいたが左目の前がぼやけている。「もう、おかげでコンタクト落ちちゃったじゃないか。」がっかりだよ!私は一人でぶつぶつ言いながら探すのを断念した。暗いわ片目だわで、どうせこれじゃ見つけられないと思ったからだ。
しかし、数歩歩くうちに目の中に若干違和感を覚え、まだレンズがあることが判明。どうやらレンズがズレただけだったらしい。
しかし、虫のくっついていた場所が妙にヒリヒリする。虫も必死にしがみついていたらしい。大丈夫と頭ではわかっていたが、情緒的にはすでに左の顔が腫れているんじゃないか、と心配だったが。
電車の乗ってようやく落着いて鏡を見、ずれたコンタクトを戻し、虫の止まっていた箇所を確認した。そこには普段とかわらない不景気な顔をした私が写っていた。問題ないようだ。眼球じゃなくて目じりでよかった。あと数ミリで大変なことになるかも知れなかったのだから。
なぜ、その甲虫が私の顔面まっしぐらに飛んできてしがみついたかはわからない。話に寄れば、人の顔は白くて光を反射するので、時たま虫が寄ってくるのだという。だから、ひょっとして、街灯のない道で、どこからかの光を反射していた私の顔に飛んできたとも考えられる。
理由はどうあれ、誰もいない道端で、「きゃあ」とか「いやー」とか「待って、ちょ・・・、ちょ、待って」とか、一人で虫相手に情けない声で騒いでいた自分を客観的に想像して、すごく鬱になるのだった。
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コメント
わかりますわかります!
一人で女らしい悲鳴とかあげちゃったら、
あとからズーンと沈んでしまいますよね。
もっと自分は落ち着いて的確に行動できた筈だ、などと思います。
でも燐さんの女らしい一面を垣間見た気がして、嬉しい限りです。
私も顔にカナブンやゴキブリが飛びついてきたことがありますが、私があまりに色白で光っていたからでしょうか?それとも反射神経鈍すぎでしょうか。おお、思い出すだけでおぞましい…。
投稿: とし | 2006年7月22日 (土) 01:45
としさん
虫は苦手なほうなので、飛んでくるとしょっちゅう「女らしい」悲鳴を上げてしまいます。
甲虫は平気なほうなんですが、今日のように不意打ちで正体もわからないと想像のほうが先にたってパニックになります。手で掃うのも指でつまむのも、もし刺されたらどうしようとか。
飛んでくる昆虫を避けるのは、そうとう運動神経と動体視力がよくないと難しいと思います。
私には無理です。
投稿: 黒木 燐 | 2006年7月22日 (土) 04:54
>そこには普段とかわらない不景気な顔をした私が写っていた。
そうなんだ!!不景気顔って(笑)面白い~^^
人の顔が白くて光を反射するから寄ってきたんjなくって景気に左右されるのかなって思いました。
私は店をやってる時に。看板の光に呼び寄せられたカメムシの大群に店を占拠され(その数は1000匹はいたのではというくらい)死ぬ思いをしました。何年かに一回大量発生するというカメムシ。
アクセントのように私の服にカメムシがくっついていましたネ。臭いよねーあれは最高に。
投稿: ぶいっちゃん | 2006年7月22日 (土) 09:12
いつもながらの臨場感あふれるコワ話にゾクゾクゾクしました。
虫が止まって、きゃああっと非常に女らしい悲鳴をあげる燐さんと、
止まった「獲物」をお持ち帰りする燐さん。
なぜか別のシナリオまで想像して楽しんでしまいました。
>私の脳裏には、噛まれる・腫れる・毒が入る・寄生虫がはいる・
>変な病気に罹るなどの不吉な言葉がぐるぐる回っていた。
そこら辺のことに色々とお詳しい燐さんならではの恐怖ですね。
一瞬パニクッたとはいえ、その後の冷静な判断と正しい行動には、頭が下がります。
私なら、なーんも考えずに、ひたすらバシバシ自分の顔を叩いてそうです。
というか、実は私も、自転車で走っている時に左肩にゴッキーさんがぶつかってくるという、このワタクシにあってはならない経験をしたことがあります。
その時の私は、何もできませんでした。何も…。
>そこには普段とかわらない不景気な顔をした私が写っていた。
この一文、「しがない中年サラリーマン」もの小説のはじまりみたいで面白い(笑)
投稿: 猫だぬき | 2006年7月22日 (土) 10:33
ひゃー。。。想像しただけで、怖い!
見えてないから余計に恐怖が倍増しますもんね。
昆虫は、嫌いでは無いけれど恐怖は大人になると共に何故か感じるようになってきてしまいました。何ででしょう?
”ホントはこんな毒があった”とかそういうことを知るようになったからかなぁ?
ゴキブリは、気持ち悪いけど大丈夫ですがクモはダメです!!今書いてても震えが来てます(T口T)だから、食べるのは大好きだけど、蟹を見るのは嫌デス。足の動きが同じなんだもん・・・
あ、うっかり想像してしまって意識が一瞬遠のいた。。。
旦那はゴキブリ探知機で、見かけると場所は関係なくとっても女らしい叫び声をあげて、男にあるまじきオーバーアクションでおののきます(爆)(;¬_¬)どんなに遠くにいても目敏く見つけてキャーキャー言います(発見しなきゃイイのに)。多分、前世で敵同士だったんだと思います。
彼曰く「殺意を感じる・・・」そうですから(笑)。
投稿: wing | 2006年7月23日 (日) 03:38
ぶいっちゃん、
レス遅れてすみません。
「不景気な顔」で、ウケるとは思いませんでした。
けっこう顔面ってのは光を反射するみたいで、昆虫にとっては良い目標になるようです。黒人はどうかと言われると困りますが。
そうそう、カメムシって大発生するらしいですね。幸い私はカメムシのクッサ~~~イ匂いはかいだ記憶はありませんし、カメムシの大群に出会ったこともありません。これからもそういう機会のないことをいのります。実際今回はカメムシも頭を過ぎりました。くさい液が目に入ったらどうしようって。
山に近いコンビニとかの夜間も明々としている店のガラスにはびっしり蛾が引っ付くらしいです。
夜間にタムロするDQN避けにはなるらしいです。さぶいぼが・・・。
投稿: 黒木 燐 | 2006年7月23日 (日) 23:49
猫だぬきさん、
>止まった獲物をお持ち帰り・・・。
あはは、以前花をお持ち帰りしたから。
爬虫類などならあり得ますが、昆虫はちと無理かな。
>>私の脳裏には、噛まれる・腫れる・毒が入る・寄生虫がはいる・
>>変な病気に罹るなどの不吉な言葉がぐるぐる回っていた。
>そこら辺のことに色々とお詳しい燐さんならではの恐怖ですね。
その手の昆虫は日本にはほとんどいないのはわかってるのに、思い出して怖かったですよ。
実はその後も、完全にテンパっていました。
しかし、このときの自分、俯瞰から見ると相当馬鹿みたいだったと思います。
自転車に乗って肩にゴッキーが止まったですって?どっから飛んで来たんでしょうね、それ。
>>そこには普段とかわらない不景気な顔をした私が写っていた。
>この一文、「しがない中年サラリーマン」もの小説のはじまりみたいで面白い(笑)
てゆか、主人公をオヤジにしたら、このまんま小説の冒頭部分に使えますね。
投稿: 黒木 燐 | 2006年7月24日 (月) 00:06
wingさん、
大人になってから怖くなるってありますよね。
子どもの頃、チョウは小さいのは触れたけど、今は蛾同様まったくだめです。昆虫じゃなくても、火とか、昔より怖いですね。
それの恐ろしさを経験や知識として知る分恐怖感が増すのだと思います。
蟹の形態がダメですか。確かに蟹は蜘蛛に近い生物らしいですから、形も似てるんでしょう。私のいもうとは、アレルギーで蟹がいけません。
私が食べれるけど形を意識したくないものはエビです。殻をむくときが特に虫の皮をむいているようで嫌です。また、尻尾部分がスズメガに似てるんだわ。それでも、よく焼いたエビの尻尾は香ばしくて好きなんです。
しかし、蛾の胴体部分に酷似しているシャコは食べれません。
旦那さん、ゴキブリがあきませんか。
なんかその怖がり様は、平井和正の「ウルフガイ」シリーズの主人公の犬神明みたいですね。
ゴキブリの殺意を感じる、ですか。
確かにあいつら噛みつきますからねえ。
雑食性だから、条件によっては人間だって食べちゃうぞ。
投稿: 黒木 燐 | 2006年7月24日 (月) 01:38
>殻をむくときが特に虫の皮をむいているようで嫌です。また、尻尾部分がスズメガに似てるんだわ。
>蛾の胴体部分に酷似しているシャコは食べれません
あのぉ・・・私、エビもシャコも大好きなんですけど(生エビはパス)次回から食べる時に思いっきり脳裏に浮かびそうです、蛾の胴体が(T_T)
>雑食性だから、条件によっては人間だって食べちゃうぞ。
『食べちゃうぞ♪』なんて可愛い言い方でも(笑)内容はますます怖いデス(泣)。
体に飛びつかれた時点で、旦那はショック死すると断言しております。
投稿: wing | 2006年7月24日 (月) 16:46
wingさん、
>次回から食べる時に思いっきり脳裏に浮かびそうです、蛾の胴体が(T_T)
すみません、そんな気はしていました。
食べる時はそーゆー邪念を振り払って美味しく食べることだけを考えるように努力して下さい。
(殴)
なんか頭をはたかれたような気がしましたが(笑)。
雑食性といえば、池の鯉なんかもけっこう悪食らしいです。
遺棄された人の死体だって食べちゃうぞ。
投稿: 黒木 燐 | 2006年7月25日 (火) 12:55