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2006年7月30日 (日)

ある日の夕焼け

梅雨明けの夕空は、数日前とはうって変わり雲も少なく、

赤みの朱色とオレンジ色のヴェールのようだった。

積乱雲の名残に隠れた太陽の光が、雲の隙間から何本か光の帯を放つ。

黄金色に染まったわた雲がところどころぽっかりと浮かび

絹雲はオレンジ色にたなびくかのようだった。

ふと、背後で幼子の声がした。

「きれい。」

振り向くと、父親に抱かれながら肩越しに夕焼け空を見た少年が

その美しさに思わず上げた感嘆の声だった。

少年の幼い顔も黄金に染まり、きらきらと瞳が輝いていた。

おそらく彼は、父の肩から見たこのふるさとの美しい夕焼けを

一生忘れることはないだろう。

空いっぱいの美しい赤。

子供たちが見る赤い空は、希望に満ちた夕焼けや朝焼けだけでいい。

戦火で朱に染まる空なんか要らない。

―どうか、美しいものを美しいと素直に感動するその心を失わないでいてほしい。

筑後平野の美しい夕焼けの、格別に美しいこの日の空を見ながら、

私はそう思わずにはいられなかった。

 

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コメント

>一生忘れることはないだろう。

>空いっぱいの美しい赤。

一生、忘れないでほしいですね。
この日の夕焼けも、
それを「きれい」だと思った心も、
お父さんに抱っこされていたことも。

燐さんワールドの新たな一面を見たようで
なんだか嬉しい猫だぬき♪

投稿: 猫だぬき | 2006年7月31日 (月) 05:30

詩人だねぇ~^^
やっぱ、こういった文章の方が燐さんにはピッタリ来ますね^^
こういった自然の情景を見て素直に感動出来る人は途中でぐれても絶対に元に戻ってくると思いますねー。

私が「夕やけ番長」だったという事は誰も知るまい(笑)

投稿: ぶいっちゃん | 2006年7月31日 (月) 12:20

猫だぬきさん、

夕焼け小焼けで日が暮れて~♪

夕焼けの翌日は晴れ、派手な朝焼けの場合はその日は雨になるらしいです。

>燐さんワールドの新たな一面

実はポエマーだったんです(爆)。
って、こんな詩みたいなのは滅多に書きませんや。

夕焼けがすごくきれいだったのと、男の子が「きれい」と言った印象が深かったんで書いてみました。
ああ、カメラ持ってたら写真撮れたのになあ。
アナログ一眼レフじゃ重くて普段持ち歩けないし。やっぱデジカメ買うかなあ。

投稿: 黒木 燐 | 2006年8月 1日 (火) 01:10

ぶいっちゃん、

自分で詩人とおちゃらけるのはいいけど、人に言われると非常にこっ恥ずかしいです。

晴れた日の夕暮れの空を見るのが好きです。
日によって表情は違うけど、とてもきれいです。

>私が「夕やけ番長」だったという事は誰も知るまい(笑)

そして今は「胸やけ番長」

失礼しました~~~。
因みに私も最近はしょっちゅう胸やけがします。

投稿: 黒木 燐 | 2006年8月 1日 (火) 01:17

この頃空が綺麗ですね~。
私も写真が欲しかったです。残念。
男の子の飾らない「きれい!」とただ言った言葉が、
一番の感動を表すのかもしれませんね。
きれいなものに素直に感動できる心を
その子がずっと持ち続けられますように!

投稿: テトラ | 2006年8月 1日 (火) 08:53

テトラさん、

子供の頃ってだいたい素直だし、大人よりルールに厳しかったりしますね。でも、いつの間にか世俗に慣れてしまっていい加減になってしまう人が多いです。
この子はこのまま成長して欲しいですね。
まあ、我が子でも知り合いの子でもないこの子にそういう願いを押しつけるのも変ですが。

ところで、幼児とはいえ充分歩ける年齢だったのにお父さんにだっこされてたってぇのは、ひょっとして車で眠ってて、そのままつれてこられたのかもしれませんね。

投稿: 黒木 燐 | 2006年8月 1日 (火) 12:33

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