トイレに閉じ込められた話(2)
前回を読んでない方は、まずこれから先にお読みください。
トイレに閉じ込められた話(1)
「ドアノブが回らんって、カギをかけたのを忘れとるんじゃなかろうな。」
O部長が言った。だからさっきからカギのせいじゃないってゆーとろーもん。第一このタイプ(ノブに直接カギのついたヤツ)のカギは、かけてても内側からならドアノブをまわすと自然に解除されるものだし。
「違います!ドアノブが壊れちゃったんです!!」
私はサザエさん並のおっちょこちょいと思われているのだろうかと心配になる。そりゃ、ボリュームを下げていたからラジカセの音が出ないのに、壊れたと思って電気屋を修理に呼んで恥をかいたという前科はあるが。
「とにかく管理人さんかカギの110番を呼んでくださいませんか?このままじゃ仕事になりませんし、何よりも私はこんなところに長居はしたくありません!!」
「とりあえず管理人さんは呼びましたから、もう少し我慢してくださいね。」
総務の才女Yさんが早急に手配してくれたらしい。しかし、この状態を管理人が対処できるのだろうか、と思っているとYさんが続けて言った。
「管理人さんの指示を仰がないで勝手にドアに何かしたら、あとあとまた揉めちゃいますから、ちょっとガマンしてくださいね。」
まあ、確かにこのビルの管理人のおっちゃんは曲者だ。どんな些細なことでも絶対に事前に連絡しとかないとソッコー文句を山ほど言われる。悪い人なんじゃないんだが。
私がトイレに閉じ込められていることは、すぐに社内に広がった。まあ18人程度の会社だということもあるが。女子社員が代わる代わる心配して様子を見に来た。とはいえ彼女らに何が出来るというわけでもない。それでも多少話が出来ることは救いだった。私より一つ下だが美人のEさんが、ドアの下の方についている換気の部分(いわゆるガラり)から苦労して薄めの雑誌を入れてくれた。退屈しないようにとの配慮らしい。正直ありがたかった。そのうち男子社員が様子を見に来はじめ、しまいには社長まで心配して来てくれた。それはそれでありがたかったがその反面、自分が置かれた間抜けな状況を思うと情けなさも倍増した。本当になんで私の時にこんなことになったのだろう。私は神とマーフィー君に文句を言いたかったが、社長や他のお偉いさんたちや他の女性社員の場合を考えたら、これでよかったのかも知れないと気を取り直した。
ドアはとにかくよく会社にあるグレーの言ってみればちゃちなものだった。おそらくラッチボルト(ドアノブを回すと出たり引っ込んだりするアレ。)の形からすると、男性が外側から体当たりした程度で開きそうだった。いや女性でもどうにかなるかもしれない。幸いにも鍵が壊れたわけではないのでカンヌキ部は下りていないはずだ。(ああ、自分が外にいたら蹴っ飛ばしてでも開けてやるのに。いや、せめてこのドアが外開きだったら良かったのに。)かれこれ一時間は経過しており、考え方もかなりヤケ気味になっていた。そんなことを考えていたら、一見おとなしそうに見えるが社内で一番気が荒いと評判の課長代理が心配してやってきた。
「なんや、姿が見えんと思ったらそんなトコにいたとや。」
「お~~~、Uさん、いい時にきてくれました。地獄に仏パート・・・え~っと何人目だったかな、いやそんなことはどうでもいいです、すみませんが力いっぱいドアを蹴っ飛ばしてみてくれませんか?」
「蹴飛ばす?」
「はい、多分それで開くと思うんです(体当たりも可です)。」
「そうか~?じゃ・・・」
その時である。
「あぁぁぁ~~~ッ!危ないからそんなことはやめてくださいッ!」
と叫び声がした。管理人のおっちゃん登場である。(つづく)
続きはこちら
| 固定リンク
「やってはいけない」カテゴリの記事
- トイレに閉じ込められた話(改訂版)(2023.04.01)
- 白いバッグ(2017.07.13)
- やってはいけない。「瞬間接着剤を衣類につける」(2016.01.09)
- 歩行者も気をつけよう。(2014.02.01)
「セレクト」カテゴリの記事
- 2010年パンクスプリング第一日目のサプライズ(2024.09.11)
- トイレに閉じ込められた話(改訂版)(2023.04.01)
- 最近心霊動画の質がひどすぎる件(2013.10.07)
- 生きざま(2012.12.08)
- SWIM(2012.07.01)




コメント