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2004年10月18日 (月)

広東住血線虫の話

africamaimai  ナメクジを生で飲むと喘息に効くとか、声がよくなるとかいう迷信がある。しかし、けっしてそれを実行してはいけない。
 それによって広東住血線虫(かんとんじゅうけつせんちゅう)に感染するおそれがあるからだ。もともとアフリカはマダガスカル島にいるアフリカマイマイを宿主にする寄生虫で、食用に輸入されたアフリカマイマイが世界中で野生化し、日本も例外ではなく、ナメクジなどに感染が広まったものらしい。
 ヒトは彼らの固有宿主ではないため(最終宿主はネズミ)、血管を伝ってくも膜下に到達するがそこで止まってしまい中枢神経に障害が起きる(固有宿主であるラットの場合はそのまま脳を通過し、肺動脈に寄生)。頭痛・発熱・吐き気・嘔吐・頸部のこわばり、痙攣などの症状が出る。一方脳脊髄液に好酸球(白血球の一種)が非常に増えて、好酸球性髄膜脳炎を起こす。死亡率はそう高くはないが、手足のマヒや、精神薄弱などの後遺症を残すことがある。また、特効薬もないので対症療法を続け、寄生虫が死ぬのを待つしかないということだ。
 ナメクジやカタツムリを触ったら必ず手を洗うこと。生野菜はよく水で洗って食べること。以上を心がければ、そう怖いものではないので、過剰反応することはないようだ。

 ところで、ナメクジを、それも生で食べることなんてあるの?なんて疑問に思う人がいるかもしれないが、妹の友人が、声が良くなるからと実際に食べたそうだ。その子は幸いにも生命に別状は無かったものの、広東住血線虫に感染してたかはわからないが、手のしびれなどを訴えていたらしい。ほかにも健康食として、ナメクジを常食としていて感染した男性の症例もある。
 怪しげな健康法には注意した方が良いというお話。

【感染の危険がある生物】 (※特に熱帯・亜熱帯では注意)
 アフリカマイマイ
 スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)
 ナメクジ
 カエル

  ◇写真はアフリカマイマイ。

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