5.微光 (5)コントラディクション~矛盾~
「あんたが亜由美を殺した看護師か!?」
霊安室の続き部屋で、男性の怒号が飛んだ。
ここは、遺族がSV(サイキウイルス)感染で死亡した患者と最後の対面をする場所で、霊安室とは分厚いガラス窓で仕切られている。
「返して! 娘を返してちょうだい!」
男性の声に続いて女性の悲痛な声が響いた。
「やっと亜由美に会う心の準備が出来たというのに・・・、まだ生きていたかもしれないのに・・・」
「すみません、すみません・・・」
甲斐いず美は、ずっと頭を下げたまま謝り続けていた。由利子と紗弥は、その状況を見ながら何も出来ないでした。下手に口を出すと、余計に話がこじれかねないことが判っていたからだ。由利子は甲斐を責める両親の後ろで泣いている、亜由美の妹と思われる中学生くらいの少女に目をやった。彼女はガラス窓の向こうの姉に向かい、用意された椅子に座ってがっくりとうなだれていた。何故か彼女は一度も両親の方を見なかった。しかし、父親の怒号にびくっと肩を震わせたので、心非ずといった状態ではないようだった。むしろ、敢えて両親の方を見ないようにしているような風情があった。
霊安室の亜由美の遺体は感染防止の遺体袋に入ってストレッチャーに寝かされていた。ブルーの遺体袋の頭部分のジッパーが開かれ、もう一枚透明の袋に入った亜由美の顔が確認できた。綺麗に清拭されているものの、顔のあちこちに内出血のシミが広がり、表情にも苦悶の跡が残っている。
亜由美の両親は甲斐を責め続けたが、甲斐は一言の反論もせずにただじっと頭を下げていた。今何を言っても聞く耳を持ってくれないのは明らかで、甲斐は両親の落ち着くのをじっと待つつもりなのだと由利子は思った。
しかし、由利子は亜由美の両親と妹との温度差に違和感を覚えていた。両親は一度も亜由美の遺体の方に目をやらなかったからだ。
亜由美の父親の怒りは収まるどころかヒートアップしていった。ついには、自分は弁護士だから必ず訴えて有罪にしてやるとか、二度と看護師は出来ないようにしてやるとか脅しめいたものになっていた。
由利子は紗弥をこっそりと突っついて小声で言った。
「訴訟って、甲斐さん大丈夫なのかしら」
「刑事事件で告訴されても仕方ない事例ですが、なんかあの父親の態度は釈然としませんわね」
「釈然としない、そうそれよ。娘さんが亡くなったんだし、甲斐さんがそれに関わったのは事実なんだけど・・・」
二人が心配そうに話していると、言い訳もせずにただただ謝る甲斐に対して余計に怒りを募らせた父親が更に声を荒げて怒鳴った。
「土下座しろ、人殺しめ!!」
その怒号を聞いて、大柄な男性が駆け込んできた。甲斐を心配して様子を見に来ていた三原医師だった。
「どうかされましたか?」
そう言ったものの、三原は部屋の状況を見て何が起こっているのか瞬時に理解し困惑しながら甲斐の方を見た。甲斐は一瞬戸惑ったが、すぐに意を決してかがもうとした。由利子が見兼ねて出ていこうとしたのを紗弥が止めた。と、同時に悲鳴に近い叫び声が響いた。
「やめて~~~ッ! もうやめて!!」
叫んだのは亜由美の妹だった。
ギルフォードは、高柳と共に河部千夏の部屋のガラス窓の前に立っていた。窓の向こうにはベッドに座った千夏の姿があった。
「これは・・・」
ギルフォードは一瞬絶句した。
「カワサキさんと同じポックス様発疹・・・、いや、それ以上に広がってますね・・・」
「ああ」
と、高柳が厳しい表情で言った。
「この様子では、体の方にも?」
「そういうことだ。今までも発疹が全身に出た患者がいたが、ここまで痘瘡に似たものが出たのは初めてだよ。ただ、痘瘡の場合は、体躯の方の発疹は少ないものだが、彼女の場合、体の方にもかなり発疹が出ているんだ」
「サイキウイルスの新種なのでしょうか・・・」
「わからん。念のため調べたが既存の病原体は発見されなかった。もちろん痘瘡でないことは確かだ。発疹の出方も若干違う。判ったのは厄介なことが増えたということだけだな。これも検体を送って調べてもらわんといかんだろう」
「クリス・・・ジュリーの兄が泣いて喜びますよ」
ギルフォードはため息をついて言った。その時、千夏がか細い声で言った。
「もう、見ないでください。・・・こんな、こんな醜い・・・」
「ああ、すみません。どうぞお休みください」
ギルフォードは恐縮して言った。こんな姿を人に見せるなんて、若い女性には死ぬほど辛いことだろう。ましてや、外国人の自分に・・・、とギルフォードは思った。
千夏は、ベッドに横になると、布団をかぶって丸まった。布団の山がかすかに震えていた。
「チナツさん?」
ギルフォードが優しく名を呼んだ。
「ダイジョウブです。病気が治ったら、顔もきっと元に戻りますよ」
ギルフォードは気休めにしかならないと思ったが、言わずにはおられなかった。その時、千夏がふとんをがばっと脱いでベッドに体を起こして言った。
「気休め言わないで! この病気の致死率くらい知っているわ! しかもこんな顔になっちゃって、万一治ったってひどい痕が残るに違いないわ。そんなら死んだ方がましよ!!」
千夏はそう言うなりわあっと泣きだした。看護師が驚いて千夏に駆け寄った。
「河部さん、落ち着いて。ほら、横になって安静にしなきゃ・・・」
看護師は千夏を再び寝かせると、ギルフォードの方を見て言った。
「ギルフォード先生、患者さんを興奮させるようなことは・・・」
「スミマセン、そんなつもりはなかったんですケド・・・」
ギルフォードは少し困惑して答えた。
「チナツさん、ゴメンナサイね。でも、もう少し僕の話を聞いてください」
千夏の反応はなかったが、否定もなかったのでギルフォードは続けた。
「実はね、僕も20年以上前にですが、アフリカで出血熱に感染したことがあるんです。その時、同じ病気で恋人を失いました」
千夏が驚いて顔を上げ、ギルフォードを見た。
「その病気は、あなたのものとは違いましたが、致死率も高く、感染者にひどい仕打ちをするところも同じでした。僕は、高い熱が続いた後、全身に紅い発疹が広がり、皮膚がぶよぶよになってほとんど全身の皮膚が剥がれました。髪の毛も全部抜けちゃいました。本当にもう、ひどい有様でしたよ。なんせ、ナースたちが誰も鏡を見せてくれなかったくらいですから」
気が付くと千夏は真剣にギルフォードの話を聞いていた。
「でもね、ガラス窓に写ってた自分の姿を見ちゃったんですよ。文字通り腰を抜かしましたよ。ホント、死にたいと思いました」
「うそ・・・。だって顔も髪も全然何ともないじゃないですか」
「ホントですよ。ほら見てクダサイ」
ギルフォードはTシャツをめくって自分の腹を見せた。
「ちょっ…何を」
千夏は一瞬どぎまぎしたが、ギルフォードの示した場所を見て驚いた。そこには左横腹から背中の一部にかけて軽いケロイド状の痕が残っていた。更に彼は前髪を上げて見せた。
「顔にも額の左側に薄く痕が残っています。生え際もちょっと変でしょ。これは、ヤケドではないです。一部が二次感染して壊疽を起こしてしまい、皮膚深く損傷したせいだろうということでした。でも、この病院はいろいろ設備が整っていますから、そのようなことはまず起こらないです」
ギルフォードは千夏を安心させるために、出来るだけ笑顔で話しかけていた。千夏はギルフォードに対する警戒を徐々に緩めていった。
「僕は、一生こんな姿なんだって落ち込んで、病室からも一歩も出なかったんです。カーテンを閉め切ってね。でも、ある時かさぶたが落ちて、下から元どおりの皮膚がのぞいていることに気付きました。髪も徐々に生えてきました。皮膚を作る組織や毛根まで死んでいなかったんです。半年かかったけど、僕はほとんど元の姿に戻ることが出来ました。実は、髪の方にもちょっとだけ十円ハゲが残ってしまいましたが・・・。いや、一円くらいかな。僕の長髪は、それを隠すためです。これは、誰にもナイショですよ」
ギルフォードは唇に人差し指をあてながら、千夏とそばの看護師に軽くウインクをして言った。それを見た高柳が言った。
「ところで、私も聞いているんだが」
「じゃあ、センター長には秘密のキッス・・・」
「うわぁ、いらん!!」
高柳が本気で断った。その様子があまりにも意外で可笑しかったのか、千夏がぷっとふきだして笑った。
「あ、笑顔になりましたね。その方がいいですよ。ミリョクテキです」
と、ギルフォードも一層の笑顔で言ったが、すぐに真面目な顔になって続けた。
「チナツさん、あなたと僕の病気は原因ウイルスが違うし個人差もあるから、僕と同じにあてはめることは出来ないでしょう。でも、万一多少痕が残ったとしても、今はお化粧で十分にカバーできます。大事なのは、先ず生きることです。意気消沈しているあなたのダンナさんのためにも」
「あの人、そんなに・・・?」
「ええ、とても。ご自分のせいだと言ってすごく責任を感じていらっしゃいます。ですから、もう死にたいなんて言わないで・・・」
「はい・・・」
千夏はこっくりと頷いて言った。ギルフォードは再び微笑むと言った。
「ありがとう、チナツさん」
「やだ、先生、感謝するのは私の方です」
千夏は少し困ったような笑顔で言った。その表情には以前の明るさが戻っていた。ギルフォードの横では、高柳が心成しかほっとしたような表情で立っていた。
落ち着くどころか逆上する一方の父親にたまりかねたのか、とうとう亜由美の妹が悲鳴に近い声で言った。「悪いのはあたしなの。あたしが、もう楽にさせてあげてって・・・。おねえちゃんのこと・・・、もう、見ていられなかっ・・・」
彼女はようやくそこまで言うと、わあっと堰を切ったように泣きながら床にうずくまった。
「依純美(いずみ)さん!」
甲斐は彼女に駆け寄ると、優しく背中を撫でて言った。
「違うわ。あなたのせいじゃないの。私ももう限界だったの・・・」
(同じ名前・・・)
由利子は少し驚いて二人を見た。偶然とはいえ、同じ名前のために共感してしまったのかもしれないと、由利子は思った。
「いずみちゃん!?」
と、母親が驚いて娘の方を見た。父親は怒り冷めやらぬまま怒鳴った。
「依純美、馬鹿なことを言うんじゃない」
依純美は一瞬びくっとしたが、意を決したように続けた。
「パパもママも、お姉ちゃんが入院した日以来、忙しいからって1日もお見舞いに来なかったじゃない。私ね、学校が終わってから毎日来てたの」
「部活じゃなかったのか? 感染るかもしれないから行くなとあれほど言っていたはずだろう!」
「こんな時に部活なんて出来るわけないよ!」
依純美は、今度はしっかりと父親の方を向いて言った。その眼には非難の色が見えた。
「お姉ちゃん、最初すごく不安がってて、病気の症状が出てからは、すごく苦しそうだった。それでもあたしが来たら精一杯の笑顔で迎えてくれたんだよ。でも、すごく苦しい時には、死んだ方がましだって言っちゃうこともあったの。そんな時、甲斐さんは何度も励ましてくれた。きっと治るから、頑張ろうって・・・」
依純美はそこで再び感情が高まったのか、言葉が途切れ涙があふれた。しかし、彼女は涙を流しながら話を続けた。
「だけど、今日はいつもと違った・・・。お姉ちゃん、苦しんで、苦しんで・・・。もう、話せなくなってたけど、目を見てわかったの、おねがい、殺してって・・・。だから、あたし・・・」
「あんた、それを真に受けて殺したって言うのか? 依純美は子供だからまだしも、分別のあるはずのあんたが手をかけるとはどういうことだ!? そんなのは免罪符にはならん!!」
「パパもママも、お姉ちゃんがどんなに苦しんだか知らないから、そんなことが言えるんだ!! 最後には喉が・・・喉が、裂け・・・て・・・」
「依純美ちゃん、もう、いい! もう思い出しちゃダメ!!」
甲斐は、依純美を抱きしめながら言った。三原医師が、とうとう我慢できずに言った。
「申し訳ありません。その時私もそばにいたのですが、あっという間の出来事だったので・・・。でも、今思えば、私も無意識の内に甲斐看護師の行動を見逃していたのかもしれません。おそらくあの状態ではもって数時間・・・、徒(いたずら)に苦痛を伸ばすだけだったでしょうから」
「きっ、君は、医者のくせに・・・」
「おっしゃる通りです・・・。少なくとも、医療関係者として正しいこととは思っていません。しかし・・・」
「それなら、キサマも同罪だ!」
父親は、怒りを三原の方にシフトしつつあった。依純美は甲斐の手を離れ、父親にすがりついて言った。
「もうやめてって言っているのに、パパのバカッ!」
「いいから、おまえはもう黙っていなさい」
「いい加減にしてよ! お姉ちゃん、どんなにパパやママに会いたがっていたと思うの? あたし、何度も言ったよね、お姉ちゃんの意識のはっきりしているうちにお見舞いに行ってあげてって。なのに、やっと二人とも来てくれたと思ったらお姉ちゃんの方を見もしないで・・・。お願い、二人ともお姉ちゃんにちゃんと会ってあげてよ。よくがんばったねって、褒めてあげてよぉ」
依純美は父母に交互にすがりながら懇願した。時折涙を流しながらも、ほとんど口を利かなかった母親の口から嗚咽が漏れた。
「ごめんね、いずみちゃん。ママ、怖かったの。亜由美がどんなになっているか考えたら、怖くて・・・。パパからは危険だから行くなと言われてたけど、ほんとは何度もこの近くまで来てたの。でも、怖くて、どうしても怖くて引き返してしまったの」
「ママ・・・」
「そうよね。まず亜由美にちゃんと会わないとね」
「ママぁ・・・」
「さあ、あなたも」
母親は、覚悟を決めたように父親の方を見た。由利子と紗弥は、その様子を息を潜めて見守った。
ギルフォードたちが千夏との対面を終え、センター長室に戻った頃、事情聴取のため警察官が来たという連絡が入った。高柳は対談室に入ってもらうよう言い、甲斐をそこに向かわせるよう指示した。
「さてと、私も甲斐君と同席せねばならん。すまないが・・・」
「わかりました。カイさんの事情聴取が始まったんなら、ユリコたちもお役御免でしょうから、そろそろお暇します」
ギルフォードが立ち上がると、高柳も立ち上がって手を差し伸べた。
「今日はわざわざすまなかったね。いろいろ助かったよ」
ギルフォードは高柳の手を取って握手すると、ニヤッと笑って言った。
「タカヤナギ先生、ホントは僕にチナツさんを説得させることが目的だったんでしょ?」
「目的は河部千夏さんの病状を診てもらうためだ。でもまあ、多少期待はしていたな」
と、高柳は片眉を上げながら言った。
("・・・ったく,マジ食えねぇオヤジだ")
ギルフォードは心の中で苦笑いをして言った。
ギルフォードと高柳がセンター長室を出ると、向こうから葛西と九木が歩いてきた。
「あ、アレク、来てたんですか」
「ジュン、事情聴取の警官って、君だったんですね」
「ええ、何故か僕が適任だろうと言われて・・・」
("と,言うことは,やはり甲斐看護師とテロ組織とのつながりが疑われているということだな")
ギルフォードはそう判断した。
「あの、アレクが来てるってことは、ひょっとして由利ちゃんも?」
「ええ、今、カイさんといるんじゃないでしょうか」
「え? そうなんですか」
と、葛西が一瞬嬉しそうな表情をしたが、ギルフォードは無情にも言った。
「でも、事情聴取が始まるということだし、そろそろ帰ろうかと」
「由利ちゃんも・・・ですよね」
「もちろんです」
それを聞いて、葛西は目に見えて落胆した。
「ジュンってば、何落ち込んでいるんですか。ホンの数時間前会ったばかりじゃないですか。しかも、明日県警で会えるでしょう」
「あ、そうでした」
と、葛西は頭を掻きながら照れくさそうに言った。
帰り道の車中、ギルフォードは運転をしながら由利子たちの報告を聞いていた。
「それからどうなったんですか? そのパパさん、どうされました?」
「それがね、亜由美ちゃんの遺体の前に立った途端に、おいおい泣き始めたんだ」
「そうですか。やはりパパさんもママさんと同じで怖かったのかもしれませんねえ」
「なによ、急にオバQみたいな言い方して」
「なんですか、オバキューって?」
「知らないんならいいわよ。そうね、きっと現実と向き合うのが怖かったんやろうね」
「ようやく会う決心をして行ったのに間に合わなかった、しかも、ひょっとしたらまだ生きていたかもしれない、では、あのようになるのも止む無しかもしれませんわね」
「でも、甲斐さんも依純美さんも亜由美さんのことを思った上でやったことなんだから、気の毒だったなあ」
「何が正しかったか、間違っていたか、という答えは出ないと思いますが、亜由美さんにとっては、多分・・・」
ギルフォードはそこで言葉を濁した。先ほど千夏に頑張って生きることを諭したばかりだかりだったからだ。
「お父さんも、そう思い直したのか、甲斐さんについてはもう少し冷静になってから考えるって」
「そうですか。それがいいでしょうね」
「で、アレクの方はどうだったの?」
「あの後、タカヤナギ先生とカワベチナツさんの病状を見に行ったのですが・・・」
「河部千夏さんって、あのダンナに付着したウイルスから感染した方でしたわね」
「そうです」
ギルフォードは簡単に先ほどのことを説明した。しかし、自分の経験を話して千夏を励ましたことは伏せておいた。やはり、自分の悲惨な病体験を彼女らには知られたくなかったのかもしれない。
話が終わると、由利子が真っ先に言った。
「新たな症状・・・。新種ってこと?」
「ええ、多分変異体だと思います。さらに、感染元がテロリスト側の男でしたから、故意に変異させたウイルスを使った可能性もあります」
「じわじわと陰湿な攻撃をしてきますわね」
紗弥も、珍しく眉をひそめて言った。
「他にそいつから感染したって人は出てきてないの?」
「はい。現在隔離されている方々からも、今のところ発症者は出ていません、ユリコ」
「じゃあ、千夏さんのみ現れた症状なのか、ウイルス特異の症状なのかわからないのね」
「そうです。しかし、ユリコもけっこう僕の助手らしくなりましたね」
「え? そ、そうかな?」
由利子はそう言われて照れくさそうに頭を掻いた。
(そういえばさっき、似たような動作を見たな)
ギルフォードはミラー越しにその様子を見てくすっと笑った。
「あれ、アレク、なんか可笑しい?」
「いえ、何でもありません」
「何よ、怪しいわねえ。ねえ、紗弥さん」
「ホントですわ」
「だから、何でもないって」
ギルフォードは、二人に突かれながら、笑って言った。
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