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1.暴露 (7)報道番組 NS10

「なんで? 確かに私が会社を辞める日に具合が悪そうやったけど、それって二日酔いやったけんでしょ?」
「そう思っとったんやけど、翌日も熱が上がったからって休んで、金曜日に急に容態が変わって亡くなった・・・って連絡が入って・・・」
黒岩の声は途中から涙声になっていた。
「そんな・・・、どうして・・・」
「わからんけど、風邪で肺炎をこじらせたんやろうって」
「葬儀は?」
「うん、今日やったっちゃんね」
「水臭いなあ。辞めたとはいえ有給消化で書類上はまだ社員やから、行けるかどうかはともかく連絡くらいしてくれても」
「うん。でも、なんとなく連絡しづらかったんやろうね。」
「ありがとう。教えてくれて。でも、やっぱり信じらんなあ・・・」
「そりゃあ、葬儀に出席した私だって未だ信じられんのやけんね・・・。それでね、気になることがあって・・・」
「何?」
「ひょっとしたら、課長、例の病気に罹ってたっちゃないかって」
「何で?」
「根拠はなかばってん、何となくね。いきなりやったし・・・」
「病状とかは?」
「詳しく聞いてないけんわからんけど、お別れでご遺体を見せてもらった時、なんか、あちこち痣みたいなのが見えたっちゃんね」
「アザ?」
「うん、内出血の。死斑やなかって、あれ・・・」
黒岩は少し間を置いて続けた。
「私さ、ちょっとばかりそういうのに詳しいやろ。だから、昨日の放送を見てひょっとしたらと思ってさ」
「じゃ、誰から感染ったのかしら」
「それもねえ、課長の交友関係なんてよう知らんし、でも、例の女性と関係するようなナンパな人でもなかけんねえ」
「そうやね・・・。あのお堅い古賀課長が・・・って、古賀? あ・・・」
「どうしたん?」
「あのね、公園で亡くなったホームレスの救命処置をして感染した救急救命士の名前が古賀やった。K市では売るほどある名字だから考えもせんかったけど、その人と関わりがあるとしたら・・・」
「そうか! 感染経路が繋がるね」
「さっそく、連絡してみるから」
「連絡?」
「うん。私が今度行くとこの教授が専門家やけんね」
「えー、そうやったと? すごいやん」
「あ、人には言わんでね。黒岩さんが情報をくれたけん教えただけやから」 
「わかった。どうもありがとうね」
「こちらこそ、連絡くれてありがとう、黒岩さん」
「いやいや、じゃ、新しいお仕事、がんばってね」
「ん、ありがとう。また何かあったら電話ください」
「わかった。じゃ、おやすみ」
「おやすみなさい」
由利子は電話を終えると、すぐにギルフォードに電話を入れた。しかし、電話は繋がらず留守録になってしまった。
(ああ、やっぱり今日は色々ごたごたしてて、まだセンターにいるんだ)
由利子はふっと軽くため息をつくと、黒岩からの情報を留守録に残し、電話を切った。
 電話を切ると、由利子はこんどは深くため息をつき、独り言を言った。
「信じられない・・・。ホントに古賀課長が・・・?」
由利子は最後に古賀に会った時のことを思い出した。それは、由利子が会社を辞める日のことだ。気分が悪くて早退する古賀は、最後に由利子言った。
『最後なのに見送ってやれんですまんね。がんばれよ。これは、終わりやなか、新しか門出なんやからな!』
まさかあれが本当に最後になろうとは。
「古賀課長・・・」
視界がぼやけた。しかし、その視界に飛び込んできたテレビ画面の光景に驚いて涙を拭った。
「なにこれ・・・!?」
由利子は目を見張ってつぶやいた。

 その頃、ギルフォードのいる感対センターはごったがえしていた。大量の感染リスク者が運ばれて、高柳はその振り分けに頭を痛めていた。そんな時、緊急連絡が入った。
「はい、高柳です・・・。なんだって? 森田君との濃厚接触者三人のうち二人が見つかった? で?・・・・はあ? なんだって、居酒屋で合コン中?」
混乱で若干苛立っていた高柳は、後半声を荒げた。それを聞いたギルフォードとスタッフたちは、はっと高柳の方を見て、その後お互い顔を見合わせた。
「で、二人の状態は? 二人とも微熱があって一人は頭痛を訴えている? そうか、わかった。至急こちらに連れて来て・・・。合コンしていた他の連中? 全員こちらに連れてきたまえ。二人とは別にして、ただし念のため、全員と防護服で接するように。居酒屋の方の対策も充分にな」
高柳はそういうと電話を切った。
「タカヤナギ先生」
ギルフォードがすかさず声をかけた。
「ああ、聞いての通りだ。森田健二との接触者二人の所在がわかったが、案の定発症したらしい。・・・まったく、合コンなんて冗談じゃないよ。熱があるんなら家で大人しくしておればいいものを・・・」
高柳は、珍しく忌々しげに言った。そこに山口医師が尋ねた。
「出先で発熱したのかもしれませんが、あの放送は見てないんでしょうか?」
「どうだかね。見てりゃあ自分らが高感染予備群だってことくらいわかりそうなものだが」
高柳は不機嫌に言った。彼は滅多に怒らないので仏の高柳と言われているが、まさに仏頂面である。
「とにかく」
高柳が続けた。
「さっさとこっちの整理を進めよう。また新たに10人ほど来るからね」
「10人!」
「また増えるんですか?」
スタッフが誰とも無く言った。ギルフォードは両手で自分の頬を叩いて気合を入れながら言った。
「さぁ、がんばりましょう。今音を上げていたらこれから先保(も)ちませんよ」
「ま、そういうことだ」
高柳がいつもの調子に戻って言った。
 

20XX年 6月18日(火)

 ギルフォードがマンションに帰り着いたのは、すでに二時を回っていた。途中、由利子からの留守録に気がついてそれを聞き、高柳へ伝えた。しかし、由利子からもうひとつ留守録が入っているのを聞いて、首をかしげた。
「アレク、『ニューズスペシャル10(テン)』見た?」
『ニューズスペシャル10』通称『NS10(エヌエスイチマル』。それは、人気女性キャスター新谷統子(とうこ)がメーンキャスターを務めるガイアTVの人気報道番組だ。
("どういうことだ? また問題報道でもあったんだろうか・・・”)
ギルフォードは帰路を急ぎ、アクセルを踏んだ。

 ギルフォードが部屋に入ると、ギルフォードの帰りを待ち疲れたジュリアスが、リビングのソファに横になって眠っていた。彼は由利子を送った後一旦感対センターに戻ったが、ギルフォードに先に帰っておくように言われ、一人タクシーに乗って帰ったのだった。ギルフォードは、ジュリーの姿を見るなりつぶやいた。
”ジュリー,疲れていただろうに待ってたのか・・・”
ギルフォードはジュリアスに近づくと、彼の背を軽く叩きながら優しく言った。
”ジュリー,起きろ.ベッドで寝ないと風邪を引くぞ.”
ギルフォードに起こされ、ジュリアスは眠そうに目を開けて言った。
”お帰り、アレックス”
ついであくびをしながら体を起こして言った。
”ごめん、僕、起きていたかったけど、眠くて・・・.だめ・・・眠くて目が開かないよ・・・.寝かせて,ちゃんと風呂には入ったから・・・”
そう言い終えるとジュリアスは、そのままソファの背に寄りかかってくーっと眠ってしまった。
”仕方ねえな”ギルフォードはそういいながら、細身だが長身のジュリアスを軽々と抱きあげ、横抱きにして寝室に向かった。
 寝室に入ると、灯りをつけベッドにジュリアスを寝かせようとした。その時、ジュリアスが目を開けて言った。
”テレビ・・・ニュース録画・・・見て・・・。でも、気をつけ・・・て”
”ニュースを録画しているから見ろってことか? 気をつけてってどういうことだ?”
ギルフォードが尋ねたが、すでにジュリアスは寝息をたてて寝てしまった。
”ユリコの留守録との関連だろうか”
ギルフォードは少し考えると、ジュリアスに毛布を被せ、唇に軽くキスをすると寝室を後にした。

 ギルフォードはミルクティーを淹れると、居間のソファに座りテレビのスイッチを入れた。録画内容を見ると、やはり「NS10」というのがあった。すぐにそれを再生する。
 帰ってから急いで録画したのだろう、番組の途中からの録画となっていた。
 内容は、新谷キャスターと森の内の質疑応答だったが、特に目新しい展開は無い。はじめて知る視聴者にはちょうど良い内容ではあったが。
”いったい、あいつらは何を見ろと言ってるんだ?”
ギルフォードはつぶやきながら、紅茶を口に運んだ。
 紅茶を飲み終えた頃、新谷が虎の子を出してきた。
「そうだ、森の内知事、ウチの系列のクルーが面白い映像を撮って来たんですよ。今VTRを流しますから、見てください」
と、すぐに画面が切り替わった。ヘリコプターに乗った女性が、ローターの音に負けないように大声で言った。
「FMB、めんたい放送の美波です。今、新型感染症の発生現場のひとつである、C川のとある河川敷に向かっています。あ、C川が迫ってきました」
上空からカメラが写す風景に、蛇行する大型の河川が見えてきた。中流らしく広い河川敷が確認できる。
「え~っと、この辺りだと思うんですけど・・・」
取材ヘリは、川がやや直線状に流れているあたりの上空に差し掛かった。
「あ、河川敷の消毒をされている方が数人おられますね。みなさん重装備です。やっぱり危険な病原体なんでしょうか・・・。堤防に沿って、ずっと立ち入り禁止のテープが貼ってあり、数箇所に警官の姿も見えますが、彼らは普通の制服ですね・・・。あ、また雨足が強くなってきたようです。まだ小雨とはいえけっこう降ってます・・・。あ、赤間君、あれ撮って! あそこ、あそこの二人組み、いるでしょ? 吉塚さん、もっと高度下げられるかしら?」
ヘリに気がついたからか、雨が強くなってきたせいか、二人は急に駆け出した。橋梁の下に向かうようだ。
「吉塚さん、彼らを追って! 赤間君、出来るだけズームでお願い」
美波は操縦士とカメラマンにそう指示すると、また大声で言った。
「ご覧になれますか? 感染防止用の防護服を着た人が二人、ひとりが荷物、もうひとりが捕虫網らしきものを持って走ってます。ウイルスを媒介する昆虫を捕獲しているのでしょうか」
ギルフォードはその映像を見て驚いてソファから腰を浮かせ半立ちになった。
”あれはひょっとしてジュリーとジュンじゃないか?! 何だって報道のヘリに追われてるんだ?”
ギルフォードの驚きを他所に、美波の中継が続いた。上空からの映像で、防護服の二人は橋梁の近くまで走っていたが、一人が何かを蹴飛ばしてしまい、立ち止まった。もうひとりも一緒に立ち止まる。蹴られたものはヘリの上からはよく確認出来なかったが、なんとなく動いているように思われた。捕虫網を持った方が網を構えそれを捕獲しようとしていた。しかし、それは一瞬浮き上がりすぐに地面に落ちたように見えた。
「遠目でわかりませんが、動いているような感じです!! いったい、あれは何なんでしょう? あ、網を振り上げようとして、止まりました。ここからではよくわかりません。吉塚さん、もう高度下げれない?」
「ダメだ、ミナちゃん。あまり下げると危険だし彼らの邪魔になる!」
「くそっ、残念! あ、失敗したのでしょうか、網を放り投げてしまいました。・・・、あ、二人ともしゃがみこみましたね。何か確認しているようです。・・・ん~、しばらく動きませんね」
ヘリは旋回しながら彼らを撮り続けた。
「あ、立ち上がったようです。 どうも、こちらが気になるようですねえ。何故でしょう・・・」
”てめーらが頭上をブンブン飛び回ってるんだ、気にして当然だろうが!”
ギルフォードが画面に突っこんだ。
 映像は、二人が立ち上がってヘリを見上げるところで終わった。

「森の内知事、この映像をどう思われます?」
新谷が森の内に対して挑戦的に言った。しかし森の内は動じずに飄々としてこたえた。 
「どう思うも何も、VTRの中でレポーターの方がおっしゃってたとおりです。媒介動物の採取ですよ」
「採取をなさっている方たちは?」
「地元の警官と、アメリカから来ている専門家の方です」
「日本にもそういう専門家の方が多くおられると思いますが、何故国外の方と?」
「彼はアフリカで同様の仕事を多くこなした経験があります。採取に関しては緊急を要しましたし、ちょうど来Fされていた彼が手を上げて下さったので依頼しました」
「専門家にしては、あっさり逃げられてましたが」
「メガローチ・・・あの昆虫のすばやさと頭の良さには信じられないものがありますし、そもそもこういうものの捕獲は、主に罠を使って採取するものです。それに、変異体ゆえに生態や能力がほとんど未知数です。ですから、今回の失敗だけで、彼の能力を疑うのは失礼ではありませんか?」
「確かにそうですね。で、彼・・・えっと、その方のお名前は?」
「米国H大のジュリアス・キング先生です」
「キング先生たちが追っているメガローチについてもう一度確認しますが、それは先ほど説明されたようにゴキブリの変異体と言うことですね」
「そうです」
「サイキウイルス感染症で亡くなられた方の遺体を食べるそうですが、本当に・・・」
「事実です。しかし食べるのは通常のゴキブリもです。食べた個体から変異体のメガローチが生まれると考えられています」
「にわかには信じられませんが・・・」
「私もです。しかし、それを証明する証拠はいくつも残されています。ですから、捕獲が必要なんです」
森の内は力説した。新谷は少し間をおいてから微笑みながら言った。
「実はですね、撮ってきたあの映像の一部をデジタル処理したものがあるんですが」
「デジタル処理?」
「はい。彼らがVTRの後半で捕獲しようとしたものを拡大してぼやけた輪郭をシャープに処理したものです。今からまたVTRを流しますのでご覧になってください。その前に、これ
新谷がにっこり笑って右手を差し出した。画面が変わり反転した放送予定の映像が番組テーマ曲と共に流れ、CMに突入した。
”なるほどね”
ギルフォードはふっと笑って言った。
”取材ヘリについては、ジュリーがへそを曲げてたから報告が無かったんだな。まあ、そのあとのゴタゴタでジュリーの不機嫌は治ったみたいだが”
 CMが終わり、再び放送が始まった。テーマ曲と共にスタジオが映り、番組レギュラーたちとゲストがにこやかに笑っている。ついで新谷がバストアップで映り、にっこり笑って言った。
「引き続き、F県内で発生している新型感染症・・・サイキウイルス感染症・・・でよろしいでしょうか?」
新谷が中継先の森の内にふったので、森の内はすぐに答えた。
「はい。いいと思います」
「サイキウイルス感染症についての情報をお送りします。C川で媒介生物の採取をしているところを、偶然ガイアTVの系列会社、FMBめんたい放送のスタッフが撮影しました」
”偶然なんだかどうだか”
ギルフォードはまたつぶやいた。
「その媒介生物の映像をデジタル処理したものを、放映します。・・・え? なんですか、知事?」
「あのぉ、視聴されている方には虫が苦手な方もおられると思いますので・・・」
「あ、わかりました。虫の苦手な方は、注意してご覧下さい。では、VTRをお願いします」
新谷のゴーサインで、映像が流れはじめた。
 最初、川の上空から撮影された風景をタイトルバックに、赤で『殺人ウイルス媒介か? 謎の巨大昆虫!!』と煽りが書かれたものが映り、すぐに採取組の二人の足下にズームアップした。画面は少し荒くなったが、状況を把握するには充分な画像だ。二人の先数メートルのところに何か箱のようなものがあり、小刻みに震えている。
「あ、ここでちょっと映像止めてください」
新谷は映像を止めさせて聞いた。
「知事、これは・・・?」
「はい、メガローチ専用の罠です。まあ、ローチホイホイのでっかいヤツですよ」
「なるほど。・・・って、そんなに大きいんですか?」
「おそらく小型のハムスターよりは」
「え?」
「・・・あの、新谷さん、まだご覧になってないのですか?」
「ええ、さっき処理を終えたばかりで、なんとか番組に間に合ったものですから」
「ああ、そうですか」
そう言うと、森の内は意味深に笑った。それに気がついた新谷は、一瞬むっとした表情をしたが、すぐに営業用スマイルを取り戻して言った。
「知事はご覧になりましたか?」
「ええ。写真ですけどね。メガローチのアップと人との大きさ比較の2種類ですが。今回は放映しませんでしたが、昨日のローカルでは比較写真の映像を流しましたよ。そりゃあもう、すごい反響でして。一部薬局ではゴキブリ駆除製品が棚からなくなったくらいでして」
「そう、そんなに・・・」
新谷の表情に少し蔭りが出てきた。
「では、次の映像です」
新谷が続けて言った。しかし、それは何となく空元気を出しているように思えた。画面はふたたびメガローチホイホイを映していたが、それから翅の様なものが飛び出した。それが激しく震えると、ふわりと浮いた。しかし、それは一瞬のこと、すぐに地面に落ちた。しかし、その衝撃で粘着剤から自由になったらしい。一気に黒いモノが罠から飛び出し、速攻で翅を広げてカメラに向けて飛び上がったように見えた。実際は何十メートルも離れているのだが、それを見て新谷がキャアっと悲鳴を上げた。同時にギルフォードも声にならない悲鳴を上げてソファに張り付いた。その途端画面がぷっつりと途切れ、次に映ったのはCMだった。ジュリアスがまずいと思って反射的に録画をオフにしたのだ。それでも、ギルフォードは一瞬のうちに冷や汗でびっしょりになった気がした。その後、吐き気に襲われ、口を押さえてよろけながら洗面台に向かった。ギルフォードはそこで、さっき飲んだばかりのミルクティーを全部戻してしまった。
 ギルフォードが再び居間に戻りソファに力なく腰を下ろすと、画面は新谷と番組アシスタントやゲストが森の内と中継で話しているシーンになっていた。
「新谷さん、ひょっとして虫、嫌い?」
森の内が意外だな、という表情で聞いた。新谷は一瞬黙ったが、すぐに笑顔に戻って言った。
「ええ、まあ・・・。全部じゃないですけれど・・・」
新谷は、自他共にクールと認めている自分が、そこら辺の女こどものような悲鳴を上げてしまったことについて、少し恥ずかしがっている様子だった。しかし、インターネット某所のガイアTV実況スレッドでは、メガローチキモイの書き込みと共に、トウコちゃん可愛い、新谷萌え~等の書き込みが埋まった。しかし、それは心ならずも多くの人に、新谷とメガローチがセットでインプットされてしまうこととなった。
”くそっ、大丈夫と思って油断した”
ギルフォードはソファにくたっともたれかかると言った。
”まさかあの小さい映像からあれだけの画像を抽出することが出来るとは・・・”
まだ、必要以上に騒ぎ立てる必要は無い。ギルフォードはそう思っていたが、話がだんだん一人歩きをしているように思われた。だがそれは、公表する時に予想されたことでもあった。
”しかし、いったいこれからどうなっていくのか、俺にもさっぱり予想がつかねえ・・・”
ギルフォードは複雑な思いで画面を眺めた。 

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