カテゴリー「ストラングラーズ詩集」の5件の記事

2006年11月11日 (土)

ラ・フォリー

 これは、1981年、「パリ人肉事件」として、当時日仏を震撼とさせた事件の犯人である、佐川一政について歌ったものである。彼については、右サイドバー下の「閲覧注意リンク集」の「MONSTERS」というサイトのカンニバリズムという項目で知ることができるし、「佐川一政」で検索すれば見たくもない画像付のサイトがヒットするが、ここではあの胸の悪くなる事件については詳しく書かないし、リンクもしない。

 彼の行為はきわめて自己中心的な残酷なものであり、彼がサイコパス精神を患っていたとしても、とても許されることではない。しかし、彼の所業は「基地外」認定され、やったことに対して驚くほどの寛大な措置がなされた。14ヶ月病院に拘束されたものの、その後、日本に強制送還させられる。その後1年ほどで病院を出た彼は、文化人の中に細々と名を連ねていた。だが、その実は自力で生活できず、裕福だった父親の愛情と庇護のおかげで人並みの生活をしていた。その父親も鬼籍に入ってしまったが、彼にとってもはや守ってくれない父親などどうでも良い存在であった。
 超未熟児で生まれ、二十歳まで生きられないといわれていた彼は、未だに生きている。虚弱で人並みはずれた小柄な体格で、しかし、彼は生きている。

 彼は、ゆがんだ愛情から彼女を殺して食ったのではない。ただ、本当に白人女性を食いたいという強迫観念から及んだ犯行だった。それが、たとえ性欲の歪んだものの欲求からだったとしても、彼はそれを認めないだろう。

 彼は彼女から邪険にされて犯行に及んだわけではない。むしろ彼女はこの東洋から来た小男を尊敬していたのだ。しかし、彼にとって彼女は「食欲」の対象でしかなかった。逮捕後、彼女が彼に好意を持っていたということを知り、初めて彼は彼女に恋心を抱いたという・・・。

 ジャン・ジャック・バーネルにとって、彼の愛する国、日本の青年が、JJと同じヨーロッパ人の女性を殺害し食べたというこの事件は大きなショックだったようだ。このアルバムの発売はその事件のあった年であるから、これは事件後比較的早い時期に書かれたものである。如何にこの事件がJJに衝撃を与えたかが伺える。
 曲調は、むしろ明るく美しいのだが、JJがその曲に乗せてフランス語で朗読する声は低く陰鬱であり、それが曲全体を非常に暗いものにしている。しかし、アルバムタイトルにもなったこの曲は、ヒュー時代のストラングラーズの作品でも屈指の名作である。

 以下、例によって私のつたない訳で申し訳ないが、訳詩を掲載しよう。

続きを読む "ラ・フォリー"

| | コメント (26) | トラックバック (3)

2006年11月 2日 (木)

ダブヤに捧げる歌

Anything Can Happen

Bush決して出征しない老人
しかし彼は兵士をどう扱うべきか知っていた
家では神にそう祈ることもない
もともとそういう家風

どんなことでも起こすことが出来る
全てにおいてどんなことでも
大馬鹿野郎が世界を制することができる
彼が呼び出しを聞いている限り

何故あんたはあんたの規則を押しつけ、俺たちの残りを道化のように扱うのか
俺たちがあんたのやってることが世界的な弱い者虐めだと知っていることをわかっているのか

俺に見えることをあえてするがいい
俺たちの息子たちを死ぬために行かせた男
母親や娘たちを泣かせた男

母親たちが泣く
姉妹たちが泣く
兄弟たちが死ぬ
彼等が泣く

どんなことでも起こす事ができる・・・
どんなことでも・・・

                           (訳詩:黒木燐)

【The Stranglers ニューアルバム 「Suite XVI」より "Anything Can Happen"】

■試聴

続きを読む "ダブヤに捧げる歌"

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2006年9月 8日 (金)

Never To Look Back

決して過去を振り返らないのは
たやすいことではない
年月が嘘を組み伏し
私たちは真相を手にする
私は黒いシャツを着ていたけど
ファシストではなかった
私の愛するものを全部かけても充分ではない

私は黒いシャツを着ていたけど
ファシストではなかった
私は黒の思想を持っていたけど
今それは未完成のまま
思想は容易で、私のはすべてそんなものだった
私の愛するものを全部かけても充分ではない
私の愛するものを全部かけても充分ではないと

何故、あんなふうに考えていたのだろう
真実は真実、しかしそれは存在したのだろうか
私は自分自身に言う、けっして繰り返すな
振り返るんじゃない、同じことなどないのだから
決して振り返るな、と

思想は容易で、私のはすべてそんなものだった
人生は容易ではない
もし、あなたのやることすべてが戦いなら
真実は私たちの記憶によって変えられる
私の愛するものすべてをかけても充分ではない
私の愛するものすべてをかけても充分ではないと

何故、あんなふうに考えていたのだろう
真実は真実、しかしそれは存在したのだろうか
私は自分自身に言う、けっして繰り返すな
振り返るんじゃない、同じことなどないのだから
決して振り返るな、と

ストラングラーズ アルバム「10」より
(作詞作曲:ストラングラーズ 訳詩:黒木 燐)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月 2日 (水)

Known Only Unto God

南の空の下(もと)で 彼は永久(とわ)に眠る
誰に愛されし若者 神のみぞ知る
安らかに眠れ 名無き少年よ
嘆く母の涙 想い遺し
嗚呼、風よ海よ 此処で永久に彼らを守れよ 

異国の空の下で息絶えし少年
その愛・引き裂かれた希望 誰が其(そ)を知る?
残されし少女は待ち焦がれる
永遠に届かぬその報せを
嗚呼、風よ海よ 此処で彼らを守れよ

Known Only Unto God
Known Only Unto God
Known Only Unto God
Known Only Unto God

(原詩:ザ・ストラングラーズ 意訳詩:黒木 燐 アルバム「Coup de Grace」より)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年9月13日 (火)

オールウェイズ・ザ・サン

 常日頃から、世の中の儘ならなさに失望し、まあ、世の中こんなもんさとあきらめてきた。雑魚がどんなにあらがっても大海の潮流には流されるしかない。ましてや歴史の流れに逆らえよう筈もない。それを改めて思い知らされた数日間であった。

 あきらめた中にもささやかな希望と楽しみを大切にし、わずかなことで一喜一憂してきた私たち。たった一匹の猫が戻っただけで号泣し、好きな本やCDの発売を心待ちにし、給料が減ったと愚痴を言い、夕日の美しさに感動し、見知らぬ幼子のほほえみに癒され・・・。

 自分なりに守ってきた小さな幸せ。そのささやかな幸せさえ奪おうとするなら、私たちは黙っていないだろう。

 心するが良い。所詮釈迦の掌の上、しかしそれは多少の差こそあるだろうが雑魚であろうが皇帝であろうが、その上で転がされていることには変わりない。

 こういうとき、私の脳裏に響く歌がある。虚しさを心にしまいながら、少しだけ希望の光を見いだそう。

         kanmonnkaikyou009

ALWAYS THE SUN

朝、目が覚めて雨よ降れと祈ったことが何度あるかい?
新聞が責任を振り分けるのを、何度見たことがあるかい?
誰が主張し、誰が仕事をもらえて、
誰が遊んで暮らせるようになるのか?
いつも学校で教えられた、みんな平等でなくてはいけないと

求めなければ与えられないと、何度教えられてきたかい?
ママに賭け事はするなと言われながら、
何人の詐欺師にまきあげられたかい?
毎日楽しく暮らすのは誰だい?相変わらず銃を持った男だろうか?
誰かが言ったに違いない、あんまりマジメに働くと汗をかくぞと

いつも太陽が
いつも太陽が
世界を照らしてくれるはず

天気予報の説明を聞いて、笑ってしまったことが何度あるかい?
政治家や指導者が中途半端なことをする、それは別に珍しい事じゃない
誰が役目を負わされるのか、あのノブを押すのは・・・
みんな完全に正気を失っているなら、
こういう仕事はくじ引きで決めるもの

いつも太陽が
いつも太陽が
世界を照らしてくれるはず

        ストラングラーズアルバム "DREAMTIME"(邦題「夢現」)より
             (作:THE STRANGLERS、訳詩:渡辺 淳)

原詩:http://www.inlyrics.com/lyrics/S/Stranglers/79806.html

kumo001trim

Heaven or Hell

主人は寝室で眠る
物乞いは戸口で眠る
月に住む男は言う
この構図は以前見たことがあると

囚人は夢見る
舟に乗り
遠くへ逃げることを
空の星々は言う
見上げれば道を示してやろうと

天国、それとも地獄
人は時々わからなくなる
だから僕らは歩き続ける

新聞のニュースを見てごらん
僕には見たことのすべてが信じられない
人は進歩するのは当然と思っている
けれど僕から奪えるものは偽り
文明は砂の中に立ち消えてしまった

天国、それとも地獄
人は時々わからなくなる
だから僕らは歩き続けるのだ

        ストラングラーズアルバム "Stranglers In The Night"より
             (作:THE STRANGLERS、訳詩:R.I.B)

| | コメント (2) | トラックバック (1)