カテゴリー「詩」の5件の記事

2010年7月19日 (月)

ひとであれば

人であれば

容易く消されなかっただろう

人であれば

永らえただろう

命の灯

 

殺せ

簡単にこの文字を言葉にした者たちは

決して自らの手を汚そうとはしなかった

手を汚したのは

彼らを育み、彼らのために喜び悲しみ 

生きてきた人びと

彼らに命をもらって生きて来た者にとって

彼らはかけがえのない財産、そして家族

その血を吐く様な思い

想像を絶する心の痛み

人であれば・・・

 

あるものは、受け入れたように

あるものは、おそれおののき

だが、いずれは同じように

動かぬ骸となっていく

累々と横たわり、積み上げられていく膨大な亡骸

ああ、人であれば・・・

 

「いのちを守りたい」

そう言いながら、決して命と向き合うことなかった人

手にした権力あるいは己が実績のため

命をモノとしか考えない人

現(うつつ)の地獄を見ない

苦しみを見ない

すべてを失った者の荒涼たる虚無の表情に背を向け

進まぬ処分に苛立ち

鞭打ち

貶める

 

誰が勧んで殺せよう

家族同様に育んできた命

その多くがいずれ屠られる運命にあったにせよ

無為に奪える命ではない

感染に耐えられず血を吐いて死んだ子豚たち

せめて後から殺される母豚と一緒に埋葬してやろう

いや、もう老い先短く希望も絶たれた

俺も一緒に埋めてくれ・・・!!

病気から守るためのワクチン

それが死の烙印となる理不尽

納得できぬまま接種する

何故?

 

それはジェノサイド

屠る側の心をも殺す無差別大量殺戮

笑って殺せと命ずるなら

まず自らの手を汚せ、政治屋共

その存在の重さを知れ

殺されるものの目を一生の後悔として

心に焼き付けるがいい

眠れぬ夜を過ごすがいい

 

人であれば

容易く消されなかっただろう

人であれば

永らえただろう

数多の生命(いのち)

せめて

今は安らかに眠っていることを

ただ

ただ 

祈るばかり

 

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2010年3月28日 (日)

星の猫

 月曜と木曜の夜10時近くなると 我が家はいきなり気忙しくなる

 市指定のごみ出し日

 ピンクの袋、緑の袋、黄色い袋を持って家の中を駆け回る

 最後に袋を括って、私はヨイショと持ち上げる

 まってましたとばかりに、トコトコと小さい三毛猫がやってくる

 生後7ヶ月くらいにしか見えない猫

 その実、かなりのお婆さん

 そのまま黙って足元に座る

 「一緒に行くの?」

 ん~、という顔でこっちを見る

 「じゃ、行こ」

 そう言いながら片手で抱きかかえる

 いつものこと

 夏場は肩に乗せ、冬場はふところに入れて、片手には市指定の袋

 猫を落とさないように、用心深く歩く

 袋を所定の場所に置き、帰りは猫といっしょに短い距離をまったりと歩いて帰る

 猫は夜空を見上げる

 人は猫に話しかける

 「おつきさまいるね、きれいだねぇ」

 「おほしさま、いっぱいだね」

 「きょうはくもっているから、おほしさまないね」

 「きょうはあめだよ。ぬれないようにね」

 「きょうはさむいけど、おほしさまきれいだね」

 猫は何度も夜空を見上げる

 短い間のランデブー

     ナターシャ、夜空が好き。

 

 今は空しくひとり夜空を見上げる

     ・・・ ナターシャは大好きな星になった

Natasyahelp004_3   

  :;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+

 

     ナターシャ逝く

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2009年11月 1日 (日)

凍結された幸せ

そこは 幸せのしるしを残したまま 時が止まっていた

悲しみ 憐れみ そして怒り

訪れた人々は みな 持って行き場のないそんな気持ちを

次々と書き残していった

幸せを書き綴り 明るい未来を夢見ていた男は 

突如 その未来を断たれた

それはその たったの20時間後

おそらく彼は これからの幸せを思い描いたまま 逝ったのだと思う

だが それは まったくの虚構 

破滅へのいざないだった

幸せの残滓を抱いたまま 彼は眠った

永遠に

残されたものに深い悲しみを刻んで

誰が彼を責められよう 

愚かだと笑えよう

彼は彼なりに懸命に生き そして 人並みな幸せを願っただけ

悪魔はそのささやかな願いを弄び食い尽くした

欲望に身も心も醜く肥えさらばえた悪魔

今 彼の残した幸せの残滓が その悪魔を追い詰める

帰るべき地獄へと

 

だが それはもはや 彼にとっては遠い出来事

幸せのしるしを残したまま 彼の時は止まっている

せめて思いたい

時の止まったブログのように 幸せな気持ちのまま 逝ったのだと 

未来を夢見ながら

 

 読まれたらすぐにわかると思いますが、これはあの事件(※)の被害者に宛てた詩です。
 彼のブログを読んでしまい、その後、なんというか、持って行き場のない感情がずっと湧き続けて、なにか形にせずにはおれない状態になり、結果、これを書くに至りました。

首都圏連続不審死事件

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2007年4月12日 (木)

花びらの追いかけっこ

高良川沿いの桜並木を足早に歩いて帰っていると

ひらひらと桜色した小さい蝶が周りを舞っていた。

蝶はひらひらとアスファルトに落ちると

そのままコロコロと私の先を走っていった。

何だろうと思ったら散った桜の花びらだった。

見渡すと沢山の花びら。

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2006年7月30日 (日)

ある日の夕焼け

梅雨明けの夕空は、数日前とはうって変わり雲も少なく、

赤みの朱色とオレンジ色のヴェールのようだった。

積乱雲の名残に隠れた太陽の光が、雲の隙間から何本か光の帯を放つ。

黄金色に染まったわた雲がところどころぽっかりと浮かび

絹雲はオレンジ色にたなびくかのようだった。

ふと、背後で幼子の声がした。

「きれい。」

振り向くと、父親に抱かれながら肩越しに夕焼け空を見た少年が

その美しさに思わず上げた感嘆の声だった。

少年の幼い顔も黄金に染まり、きらきらと瞳が輝いていた。

おそらく彼は、父の肩から見たこのふるさとの美しい夕焼けを

一生忘れることはないだろう。

空いっぱいの美しい赤。

子供たちが見る赤い空は、希望に満ちた夕焼けや朝焼けだけでいい。

戦火で朱に染まる空なんか要らない。

―どうか、美しいものを美しいと素直に感動するその心を失わないでいてほしい。

筑後平野の美しい夕焼けの、格別に美しいこの日の空を見ながら、

私はそう思わずにはいられなかった。

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