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2018年3月20日 (火)

妹。(地下鉄サリンテロ事件)

 地下鉄サリン事件から23年経ちました。あの惨劇を忘れないようにとの願いから、この記事を再アップします。(2018年3月20日)(初出:20年目の2015年同日)

 オウム真理教の地下鉄サリンテロより20年が経った。
 20年という月日は長い。あろうことか、オウムの流れをくむ教団に入信あるいはそうでなくても好意的な興味を持つ、リアルタイムでこの事件を知らない若者が増えているという。先日も、教祖である松本死刑囚の生誕を祝う行事が信者たちの間で行われたというニュースが流れ、眉を寄せられた方も多かったのではないだろうか。

 現実逃避・自分探し…、神秘的な教義を説くカルトに向かう理由は様々だろう。しかし、IS(いわゆるイスラム国)に参加しようとする人たちにも言えることだが、現実は悲惨である。結果、教祖や指導者の野心や妄想に踊らされ、むやみに殺生をする羽目になる。ただの人殺し集団だ、と、思う。たどり着くのは理想郷ではなく救われようのない地獄だ。無辜の人々を殺した者がどうして天国に行けると思うのだ。そういう考え方自体が既にどうかしている。

 あの時、何が起こったのか、いくつかの資料をもとにしてこの話を書いた。これは小説内のしかも幕間の一話でありフィクションである。しかし、まったく架空の話ではない。20年前の今日、カルト教団による、史上初めての市民に向けられたケミカルテロが起こったのは紛れもない事実なのだ。(2015年3月20日)

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 テロを憎む公安警察管、長沼間の悲しい過去。『朝焼色の悪魔』より転載。

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「兄さん、こうやって一緒に夕食って、久しぶりね」
「そうだな。今の仕事が佳境なんで、最近は特に帰りが遅いからな」
 俺はそう言うと、少しばかり肩をすくめてみせた。すると妹は、不満そうに口を尖らせながら言った。
「それどころか外泊も多いじゃない。ほんとにお仕事?」
「馬鹿言え。仕事以外の外泊だったらなんぼも気が楽だよ。今だっていつ呼び出しがかかるかと冷や冷やしてるんだぞ」
「やだ、途中で席立たないでよ。特に兄さんとの外食はホントに久々なんだから」
「そうか。それならこんなファミレスじゃなくてもっと小洒落たレストランにするべきだったかな」
「何言ってんのよ。肩が凝るようなところは苦手だって、いつも言ってるくせに」
「ははは、そうだな。ところで話ってなァ何だい?」
「あのさ、兄さんて今、カノジョ居るの?」
「なんだよ、藪から棒に。そんなもん作る暇なんかねえよ。大学ん時のはとっくに別れちまったし」
「そっか・・・。じゃあ私が先に結婚するの、申し訳ないなあ」
 いきなり妹が衝撃的なことを言い出すので、俺はたっぷり1分間ほど固まった。

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