白いバッグ
土曜日の出来事。
整骨院に行くため駅に向かっていて、途中に大きな溝だか3面張りの川だか用水路だかわからないけど、(時々ここでも写真アップしたことがある)水路があって、何の気なしに覗いてみた。なんか白いものが見えるので確認したら、女性用バッグだった。よく見ると、財布のような赤い長方形のものも見えた。水路は深いので、水深は浅いとはいえ、若いころならともかく、今の足腰の悪い自分には降りて拾うのは危険だった。気になったが電車の時間もないのでそのまま放置することにした。
ずっと気になっていたので帰りにも確認したら、まだそこにあった。しかも流されて少し位置が変わっている。悩んだ挙句に110番することにしたが、慣れないのでなかなかつながらない。仕方ないので横のビルに入っている子供英会話教室に寄って言った。
「すみません、横の水路になんかバッグが…」
「ああ、白いバッグですよね。私もさっき来たとき見つけて気になってたんですよ」
「警察に連絡しようとおもってかけたけどうまくつながらなくて」
「もう一度かけて見られたら?」
「そうですね」
ここなら静かだから落ち着いてかけられるかもと思ってもう一度トライしたら今度はうまくつながった。すぐ来てくださるというので、英会話教室の住所と電話番号を教えてもらって伝えた。
「すぐ来るそうです。念のため来られるのを待とうと思うのですが、少しの間ここにいていいですか?」
お姉さんは快く応じてくれた。しかし、間の悪いことに雨が降り出した。雨足は強くなる一方だが、なかなか警察は現れない。気になってバッグを見に行ったら、だんだん水かさが増して流されようとしていた。ようやくパトカーが来たが、土砂降りのせいかなかなかこっちまで来てくれない。そうこうするうちにバッグは流され、見失ってしまった。
「あ~あ、流されたぁ!」
間の悪いことにいつもなら写真を撮るのに今回は一枚の証拠写真も撮っていない。こんなことなら雨の降る前に傘かなんかで拾う努力をすればよかったと後悔したが後の祭りであった。傘を差した警察官が雨の中をようやく走ってやってきた。
「すみません、バッグは」
「流されちゃいましたよ」
「あーあ、これは…」
さっきまで底の方でちょろちょろ流れていた水が、今は水路の半分を満たして激しく流れていた。
一応事情聴取を受けて、バッグの種類やそれとつながっていたと思われる赤いもの(お姉さん曰く、おそらくスマホケースらしい)の説明をして、名前と電話番号を告げた。最近このあたりで車上荒らしがあったらしい。そういう盗品は水路に捨てられることが多いので、急いできてくれたらしい。大雨は本当に予想外だった。いや、最近の気象から十分に想定は出来たのだし、110番したのもそれを考えてのことだったけど、最悪のタイミングで降ってきやがりました。
そうこうするうちに雨は上がって、日が差してきた。お巡りさんは去り、私もお姉さんに挨拶をして、帰路に就いた。
(今度は日傘やね)
そう思ってもう一度水路を見ると、ほぼ満水状態で茶色い水が怒涛の如く流れていた。降り始めからそれまでの時間は15分もたっただろうか…。
もし、無理に拾おうとして水路に降りていたら、そして登れずにおたおたしていて雨に遭っていたら…。まあ、その可能性があるので拾おうと思わなかったのだけれども、実際に激流のすさまじさを目の当たりにすると、背筋の寒くなる思いだった。
しかし、本当に悔しい。そういう犯罪に関わったものであるなら、もっと早めに通報すべきだった。あの流れでは、もうあのバッグは人目に触れることはないだろう。車上荒らし君、君の完全勝利だよ。
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