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2012年12月 8日 (土)

生きざま

 いつからこの言葉が使われるようになったのだろう。

『生き様(いきざま)』

 これは、死に様という言葉からの連想で出来た言葉らしい。
 『死に様』と言う言葉は今も負のイメージを持った言葉で、「死に様を晒す」などのように『死に様』と表現された死に方は大概ロクなものではない。

 『無様』『様を見ろ(ざまをみろ)』などの言葉からもわかるように、『様』を『さま』ではなく濁らせて『ザマ』と読ませる場合は嘲りの意味を持つ。よって、生き様という言葉はロクな生き方をしていないという意味になるはずだ。
 しかし、今、『生き様』はガチンコで生きるみたいなカッコイイ意味でつかわれる。特に『生き方』を『生き様』と表現する場合、背景には肥大したナルシズムすら感じられる。ご丁寧に著書のタイトルにする者までいるのだから、言葉の変遷と言うものはおそろしい。

 本来の意味とは逆の、あるいはかけ離れた意味でつかわれ、受ける方もそれで一切の疑問を持たなくなった時、言葉はそれで受け入れられたことになる。言葉はどんどん変遷していく。言葉は人と共に生きていくものだからだ。
 しかし、私はやはり、この『生き様』と言う言葉は使いたくない。特に尊敬する人たちには。もちろん自分にも。(などと書きながら、うっかりどこかで使っているかもしれないけど)

 ところで、この『生き様』という言葉が肯定的に使われ始めたのはなぜだろうか。(※)
 私はマンガ、特にスポ根ものさらに言うと格闘ものの影響ではないかと思う。それとテレビね。伝記等の場合、この生き様という言葉を使っていることが多い。それが波乱万丈な生き方の場合、特にこの傾向があるように思われる。

 しかし、気をつけよう。「その生き様を見よ」などと書くと、そのまま「ざまをみろ」につながることとなる。もし、使うなら『生き様(いきざま)』ではなくて、『生きる様(いきるさま)』のほうがいい。しかし、それだと若干ニュアンスが変わってくるかな。やはり、言葉というものは難しい。

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【参考】
http://koyomi.vis.ne.jp/doc/mlko/200706050.htm

 (※)この方が言及しておられるように、初めは自嘲的な意味で使われてきた『生き様』がいつのまにかカッコイイということで肯定的にしかも他人に対してすら(本来失礼にも程がある言葉ですが)使われるようになった可能性は高いです。

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