ドラマ『妖怪人間ベム』
ベムとはまったく共通点の見いだせないジャニタレがベムをやるというので、絶対に違うモノになるとまったく期待していなかったが、予想に反して悪くない出来だった。まあ、面白いかどうかはまだ何とも言えないけど、少なくとも制作側の原作に対する愛はビシビシ感じられる出来だった。
まず、オープニング。オリジナルのアニメにかなり忠実に作られていた。ナレーションを、アニメでベムの声をあてておられた小林清志さん(『ルパン3世』の次元大介と言ったほうがピンとくるかな)やっているのがまたニクイ。そして主題歌もアメコミ風で凝っている。ただし、双方何となく軽く感じてしまうのは仕方ないことか。BGMや効果音も、アニメに似た感じで作られている。いや、ツウだね。
だが実写版と言うことで、舞台が日本の現代東京(せめて帝都だったらよかったけど)になってしまって、あの無国籍年代不詳な独特の雰囲気が無くなってしまったのは残念だ。
妖怪人間の造形については、妖怪と言うより宇宙人のグレイみたいになってしまったのは残念だ。ちなみにベムと言うのはもともとSF、特にスペースオペラに出てくる怪物でBUG EYED MONSTOR(あるいはBIG EYED MONSTORとも)の頭文字からこう呼ばれた。なので、グレイでも遠くないしアニメのデザインに則してはいるのだが、なんか違うのだ。やっぱり黒めがちな目のせいかな。もっと怖い顔でもよかったのではないかと思う。あと、角は要らなかったな。また、トレードマークの3本指は、どこぞから抗議がくる恐れがあるので5本指になってしまっている。人型の時は仕方ないにしても、正体の時は3本指でも良かったんじゃないかと思うけど、まあ、それでも抗議する奴はいるだろうな。子供の頃、3本指にして「妖怪人間!」とか言ってよく遊んだものだが。
それからベラ役の杏が、ベラをよく研究されているようで実にハマっていた。ベロ役の福君もまあまあ頑張っている。ベム役の亀梨は当然オリジナルとは似ても似つかず、細すぎ背も小さすぎ(ベムは偉丈夫)、っていうか、ベラより小さいベムって何よって感じだけど、まあ、別物と思えばこういう綺麗な顔のベムヒューマンヴァージョンも悪くはないと思った。
アニメと違って、妖怪人間3体の他にもレギュラーの登場人物がいる。特に重要なのはメガシャキ刑事とその妻と娘だろう。特に娘の方はベロとよい友だちになっているようだ。また、あがた森魚演ずるベムと同じステッキを持つ生物学の大学教授(とその孫娘)が、彼らとどうか関わるかも興味深い。
で、設定だが、アニメの方は彼らの出生についてははっきり描かれていなかったが、ドラマの方はそれが重要なカギになって来そうだ。
1話の内容でほのめかされたことのみから考察すると、彼らはおそらく戦時中の実験から生まれた怪物で、一見父母と幼い子供のように見えるが実は一卵性の三つ子に近い。実年齢は70歳前後ではないだろうか。そのせいか、ベロがベラに「今時の子供はそんな言い方はしないよ」としょっちゅう突っ込まれていた。
そして、彼らを作った博士が、今回の連続殺人犯を「作った」と思われる老人(なんと、アニメ版のベムと同じ服装をしている)だと思われる。老人の手から放たれた緑色のスライムに目から侵入された刑事が復讐鬼と化して、息子をいじめ殺した元少年たちを処刑していったのだ。その緑色のスライムは多分ベムたちを形成したモノと同じものと思われる。それで、刑事の涙がかかったベロの手が・・・おっと、ネタバレになりそうなのでこの辺にしておこう。
話は、その老人に狂わされた(解放されたというべきか。このあたり、『怪奇大作戦』の「狂気人間」を彷彿とさせるが)人間が起こす犯罪にベムたちが関わり、そして自分等の出生を知って行き、そして・・・という展開になるのかもしれない。メガシャキ刑事とその一家が彼らとどう関わるかもキモだと思う。助けてもらったのも知らず、ベムの正体を見て恐怖のあまり数発鉛玉を食らわせた彼だが(まあ、仕方ないわな)、いずれベムたちの唯一の理解者になってくれたらいいと思う。
したがって舞台は変わらず、彼らは当面さすらうことなく、今の場所で暮らすことになるのだろう。
アニメ版では謎のまま終わったが、ドラマ版では彼らは人間になれるだろうか。この難しいアニメをドラマ化した人たちが、どういう結末を用意しているのかとても楽しみである。
【実写版】
【アニメ版】
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コメント
僕は見ていないのですが、この放送を隣の部屋で聴いていた先輩がコメントで、「登場人物が音痴で歌を歌うところがあって、そこで口ずさんだのが村八分の『どうしようかな』で、それを聴いたときは椅子からずり落ちるくらい驚きました」みたいなこと書いてました。こりゃ結構、スキモノが制作にかかわってると見た。
とりあえず、見てみないと何とも言えないけど、アニメより不気味っぽいかな(笑)。
投稿: drac-ob | 2011年11月 3日 (木) 00:16
drac-obさん
>こりゃ結構、スキモノが制作にかかわってると見た。
多分、そーとーなスキモノですよ。どう料理するのか先の展開が楽しみです。
アニメの方が多分不気味ですよ。
内容はこっちの方がヘビィになるかもしれませんね。
>この放送を隣の部屋で聴いていた先輩
このシチュエーションが良くわかりませんが・・・。
投稿: 黒木 燐 | 2011年11月 3日 (木) 11:37
あー、ちょっと説明不足でしたね。要するに、僕の先輩が自分の部屋でPCをしていたわけです。その隣の部屋で、子供さんがテレビのスイッチを入れて、見ていた番組が「妖怪人間ベム」だったと。当然、先輩もアニメ版で重々承知しているお話なので、何気に流れてくる音声を聴いていたら、突然、村八分の歌詞が流れてきて驚いた、という次第。
そりゃ、「養鶏人間」違った、それじゃ単なる養鶏業者だ(笑)、「妖怪人間ベム」で♪うー、うー、うー、どうしようかな~と聴こえてきたら、僕も腰を抜かしたでしょう。
投稿: drac-ob | 2011年11月 4日 (金) 21:47
これは別物と諦めつつ毎回観てます。亀梨くん見たさなんですがね(;^_^A 妖怪の姿には ポカーンとなりました。私も、もっと怖くてもいいのにって思ってました。マグマ大使の方が怖いど(笑)「3本指ちゃうやん」って抗議したい気分ですが、今時はややこしいですもんね。ホント昔はマネしたもんですが・・・
投稿: kiyo | 2011年11月 6日 (日) 00:43
drac-obさん
なるほど、そういうことですね。
たしかに下手でしたな、歌。
彼女がこの歌を歌っていたのは、ほんとは「村八分」状態なのをどうしていいのかわからないんだ、ってメッセージを発信していたという解釈でいいのでしょうか(この子は学校で「スカしている」とかいう理由でいじめに遭っていました)。
って、○HKでは放送できないんですよね、このバンドの名前も曲も。民放ならではでしょうかね。
しかし、女子高生にそういう意味が通じていたかどうかは謎です。
投稿: 黒木 燐 | 2011年11月12日 (土) 09:43
kiyoさん、ここではお久しぶりです。
お返事遅れてすみません。
確かに別物と思って見た方が賢明だと思います。
しかし、某人形劇の『三銃士』と比べて、元のアニメをよく理解しての制作だと思います(あの『三銃士』はディズニーの改悪三銃士が元です。まあ、見てないから途中神展開があったかもしれませんが)。とにかく、オープニングでぶっ飛ばされましたから。
あれで、正体のデザインをもっとリアルで怖くしてくれたらほとんど及第点だと思います。今のところですが。
このレベルを維持して、神的最終回を迎えて欲しいと思います。
亀梨君もオリジナルと考えればなかなか良いと思いますが、このドラマで一番人気はベラみたいですね。
女から見てもカッコいいです、うん。
投稿: 黒木 燐 | 2011年11月12日 (土) 09:52