外食にまつわるこわい話
その1.秋刀魚
もう、数年前の話になるが、家族で天神へ買い物に行った時の話である。
せっかく天神に出たので、夕食を外食で済ませようと言うことになったが、本当に久しぶりだったので、よく行っていたお店がなくなっていた。それで、色々物色した挙句、とある定食屋さんに入った。そこは、オーガニックの食材を使うと言う健康志向の店だった。私たちにはそこらへんはどうでもいいことだったが、メニューが色々あったのとショウウインドウの見本がおいしそうだったのでそこに決めたのだった。
私は、秋刀魚の塩焼き定食を頼んだ。揚げ物が苦手な私は、大体こういう場合は焼き魚定食だ。定番は焼き鯖だが、あれば鮭や秋刀魚を選ぶことも多い。因みに某ジョイ○ルでは、焼き鮭定食を頼むことが多い。
おのおの頼んだ定食が来た。四者四様である。作る側にしては、迷惑な客かもしれない。早速食べ始めた。オーガニックと言うことだが、味についてはその差が良くわからなかったが、料理自体の味は悪くない。秋刀魚も某所で食べたもののようにあらかじめ焼いたのをチンではなく、ちゃんと焼いてあるようだ。ご飯もおいしいし、まあ、ここに決めて正解だったかなと思っていた。
ところが、おなかのほうの身を食べていた時悲劇が起きた。
私は、秋刀魚の内臓は食べれるので、肋骨部の骨と内臓もろとも腹の身をとって口に運んだ。ほろ苦さとともに磯の香りが口に広がった。しかし、口に広がったのはそれだけではなかった。
口いっぱいになにか小さくて薄いスパンコールのようなものが大量に広がったのだ。それは、うろこだった。しかもそれは、、腹部分のうろこのとり損ないでななく、秋刀魚の腹の中にあったもののようだった。
さんまが大量のうろこを食べていた???
よくわからないが、そうとしか思えなかった。うろこを食べたって、共食い?? で、内臓にぎっしりとうろこが???
流石に気持ち悪くて飲み込めないので、同席の家族にその旨を告げ、口からうろこを吐き出した。もちろん見えないようにティッシュでその様子は上手く隠した。しかし、口に広がったうろこは一向になくならない。後から後から細かくて薄いうろこが出てくる。仕方がないので、最終的に口に残ったうろこは水で流し込んだ。
せっかく美味しかった料理がいきなりまずくなってしまった。しかし、これはサンマが自発的にうろこを飲んでいたせいで、料理人のせいではなさそうだ。 それで、特にクレームを入れることなく料理を食べ終え、店を出た。
しかし、あの、口に広がった無数のうろこの感触は、今思い出しても気持ちが悪い。しかし、それによって秋刀魚が食べれなくなったかというと、相変わらず好物なのである。
さて、うろこの謎。
参考:サンマのうろこについて(ウィキペディアより)
鱗が小さい上にはがれやすく、棒受け網で漁獲されたものは漁船から水揚げされる際にほとんどの鱗がはがれ落ちてしまうため、状況によっては水揚げの直前に自ら多くの鱗を呑み込んで内臓に溜める個体が少なくない(すなわち、内臓を食べようとして多くの鱗を含む場合があるのは、サンマが捕食した小魚の鱗ではなく、サンマ自らの鱗であるということ)。
ということらしい。納得(それで、魚屋で売ってる秋刀魚には鱗がないのね)。
サンマを食べる時には内臓のうろこに気をつけよう。ホントに気持ち悪いぞ。
その2.ひじき
これは、まだ前の前の会社に居た時の話だから、10年以上前になる。
その頃、その会社の面子でよく行く居酒屋があった。女将さんがちょっと下ネタが多いのと口が悪いのが玉に瑕だったが、気さくで良い方だったので、多い時には月に数回は通う時もあるくらいだった。忘年会も何回かさせてもらい、そういう人数が多いときは、奥の大部屋を使った。きれい好きということで、トイレも清潔で、いつもきれいな花が活けてあった。
ある日、突き出しにひじきの煮物が出た。大好物ではないが嫌いではないので、時々つまんでは口に運んでいた。と、ジャリッと言う嫌な感触がした。ま、海のものだから、よく洗ってもたまには砂くらい混じっているのだろう、と、アサリが噛んだ砂程度しか考えずに飲み込んだ。しかし、何とはなしに箸で皿のひじきを払っていて、妙なものがあることに気づいた。目を凝らすと、なんか昆虫のようなものが皿の中にあった。しかも、割とでかい。流石にうっとなって口をふさいだ。隣にいた人と女将さんがそれに気づいて、おどろいてどうしたのかたずねた。
私は、半ばパニックの頭で悩んだ。ここははっきりと教えるべきか、だまっておいてあげるべきか・・・。しかし、ここで、虫混入を言ったら、会場大パニックになりかねないし、他の料理だってまずくなってしまう・・・。モノは昆虫・・・ひょっとしたらギル教授の大嫌いなアレ・・・だが、火は通してある。おそらく食中毒はないだろう。それで、私は言わないことに決めた。それが正しい判断だったかどうかはわからないが。
で、適当にごまかして席を立って口をゆすいだ。もちろんもうひじきの更には手をつけなかった。
それ以来、しばらくはひじきを食べれなくなっていた。今はもう、なんとか食べれるし、美味しいと思う。しかし、あの時のジャリッという感触は、今も忘れられず、食べる前はどうしても躊躇してしまう。
しかし、何であんなものが混入していたのだろうか。思うに、もともとの乾燥ひじきに混入していたのだろう。それで、色が似たようなものだから、業務用に大量のひじきを洗ったために、それに気づかす、そのまま煮てしまったのだろう。小さい砂やごみ等ならザルでこせるが、虫だとそうはいかない。
その居酒屋には、その後もよく通った。もちろん、あのような事故はそれ以来一度もない。あってもらっては困るが。
しかし、会社がつぶれて以来、一度もそこに行っていない。機会があれば、もう一度行って、あの女将さんに元気だよ、と伝えたいと思っている。
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コメント
久しぶりの、この手の話、大好きです。なんつっても身体を張ったレポートですから、ってちょっと違いますかψ(`∇´)ψ
サンマは僕も好物ですが、あのワタのところは未だに苦手です。「サンマ苦いか、しょっぱいか」って、「しょっぱい」はいいけど、「苦い」はダメ、ゼッタイです。
えー、それと珍しくタイプミス目立ってますよ。
>ここに決め手正解
>特にクレームを入れることなく勝利を食べ終え
しかし、いきなり口を押さえてトイレに駆け込んだ燐酸を見て、黒木燐=妊娠説が会社中に広まった、という後日談は無かったのでしょうか?
投稿: drac-ob | 2010年8月19日 (木) 23:16
drac-obさん
コメントありがとうございます。
タイプミスの指摘ありがとう。
連日の暑さで、コメントや本文を書くのすら根性が必要です。ツクツクボーシは鳴き始めたのですが、残暑は続きますね。せめて、夜だけでも過ごしやすくなればいいのですが。
私も最近まで内臓は無理でしたが、ある日たまたま食べてみたら美味しかったので、食べられるようになりました。しかし、これ以来消化器官は食べまいと思いました。
思い出したのは、あさりよしとおの「るくるく」9巻。アンコウの吊るし切りをする話があって、天使たちが大騒動して解体しつつ、胃袋を咲いてみたら、中から未消化の小ぶりなアンコウが・・・。
「だから、ウロコのない魚は食うなっていってんだ!」
(↑旧約聖書の記述らしい)
って、それがオチかい。
さすがに妊娠説はなかったですが、何が起こったか心配はされました。言うに言えない立場ってのも、困りますね。
投稿: 黒木 燐 | 2010年8月22日 (日) 12:32
人のタイプミスを指摘しておきながら、自分でもやってました(土下座)。
×燐酸→○燐さん
ちなみに窒素・燐酸・カリウムは肥料の3大要素だと。
投稿: drac-ob | 2010年8月23日 (月) 22:40
drac-obさん
あら、ガチでまちがってたんですか(笑)。
燐酸は肥料に不可欠ですが、河川に流出して富栄養化の原因にもなりますね。
燐と言えば白燐弾。これは、非人道兵器(これも変な良い方ですが)とか言われますが、ただの照明弾という人もいます。どっちが正しいのか、私には判断がつきません。
投稿: 黒木 燐 | 2010年8月27日 (金) 01:49