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2010年5月19日 (水)

口蹄疫続報:ワクチン投与後に全頭処分へ…政府方針

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ワクチン投与後に全頭処分へ…政府方針
 2010年5月19日(水)3時14分配信 読売新聞
http://news.nifty.com/cs/domestic/societydetail/yomiuri-20100519-00034/1.htm 

 なぜ、せっかくワクチンを投与したのに、結局全頭処分せねばならないかですが、下のリンク先にある山内先生の講義にも書いてありますが、簡単に説明します。

 ワクチンを投与すれば、感染しても発症しにくくなります。それは、ワクチンを投与するということは、人為的に抗体を体内に作るということだからです。すなわち、感染後回復したと同じ状態になるわけです。すると、自然に感染ものか見分けがつかなくなりますので、もし、その牛や豚などが自然界にある、あるいは、どこからか紛れ込んできた口蹄疫ウイルスに暴露されてしまっても、それがわからないということになります。すなわち、どこかから口蹄疫ウイルスが持ち込まれても、気付くのが遅れてしまう、あるいはわからなくなってしまい、口蹄疫ウイルスが、国内に常在するという事態になりかねません。
 そういう混乱を避けるために、口蹄疫禍が収まった後、ワクチンを接種して抗体のできている牛を全頭殺処分して、ようやく口蹄疫ウイルスのいない清浄国として認めなおされるということなのです。
 今回検討されているワクチン投与という措置は、感染を拡大を防ぐための、あくまで時間稼ぎということになります。逆を言えば、それだけ尋常でない殺処分が行われているということです。

 因みに、口蹄疫は牛だけでなく主に牛・豚・ヤギなどの偶蹄目に感染発祥します。実は牛より豚のほうが厄介で、感染発症後、牛の3000倍ものウイルスを排出するそうです。

 家畜とはいえ、すべて殺処分するということは(しかも、ワクチン投与したものまで)、倫理的にも心理的にもなんとも納得できないものがありますが、これが、現状なのです。

 常にワクチンを用意してウイルスを容認し共存するか、口蹄疫ウイルスのない清浄国として、ウイルスが入り込むたびに今回のような大掛かりな殺処分をしていくか、いずれは選択をせねばならないと思います。

関連記事

口蹄疫とは共生出来ないのか? すべて殺処分する以外方法はないのか?
http://kuroki-rin.cocolog-nifty.com/heaven_or_hell/2010/05/post-525b.html

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コメント

食の安全を守るためには、そこまでしなければならないのでしょうか。何とも気が重いですね。

投稿: MM21 | 2010年5月19日 (水) 22:24

ワクチンも殺処分も一長一短のようですね。

うち等のところでもミツバチと農薬散布で上の人がすったもんだしてます。喧嘩には成りませんが、みんな生活が掛かっているので頭を痛めています。

投稿: GPZ | 2010年5月19日 (水) 23:55

こんにちは。

今回の口蹄疫禍で、脳をかすめたことが
あります。まず、牛丼はどうなるんだ!?と。

あすこは米国産だからオケ?狂牛病は殺処分、
したかぁ?

それとのんきに仕分けやってる政権与党。
どっちが?大事だっ!

投稿: aonosato | 2010年5月20日 (木) 17:39

MM21さん

食の安全だけでなく、厄介なウイルスを蔓延させないための措置でもあります。
それにしても、心情面では納得できないことです。
家畜の立場からは、理由はどうあれジェノサイドであることには変わりないでしょう。
しかし、毎回こういう動物殺処分に駆り出される自衛隊の隊員の方も、精神的にかなりこたえると思います。
特に今回の屍の数は凄まじい・・・。

投稿: 黒木 燐 | 2010年5月21日 (金) 00:06

GPZさん

そうですね。しかし感染の広がる前ならば、殺処分が有効なのは理解出来ますが・・・。
普通なら、感染症から守るはずのワクチンなのに、結局殺されてしまうっていうのは、畜産農家の方にとっても納得しかねることでしょう。
昨日(水曜日)報道ステーションで、ワクチン摂取後殺処分となった牧場の方が、最後までおなかいっぱい食べさせてやりたいと言っておられました。それしかしてやれないのですね・・・。

ミツバチも最近は数がめっきり減ってしまいましたね。しかし、農薬散布もある程度は仕方がない。難しいです。

投稿: 黒木 燐 | 2010年5月21日 (金) 00:23

aonosatoさん

輸入牛肉は大丈夫でしょう。和牛は高騰するかもしれませんが、日本からの牛肉輸入をしばらく中止する国も出てきましたから、全国の畜産農家に大打撃を与える可能性もあります。
もっと怖いのは、発生源になった牧場が責められスケープゴートになることです。感染症は誰でもキャリアになり得るのですから、冷静に対処して欲しいと思います。

とにかく、今回は不備と気象と民主政権の三重苦で非常事態にまで発展してしまいました。
まあ、前の与党だったとしても、同じ事態を招いた可能性はありますが・・・。

なんだかんだ言っても、人にはまず感染しない病気ですから、まだ事の重大さがわかっていないのかもしれません。しかし、口蹄疫の感染を拡大させてしまったことは、対外的にも非常に不名誉なことですし、もし、これが国外まで広がった場合、周辺諸国からどれだけ非難されるかわかりません。これから重大さが痛いほど判って来ると思います。

投稿: 黒木 燐 | 2010年5月21日 (金) 00:42

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