ＮＨＫ人形劇『新＋三銃士』を見た。

　感想。

　出来は悪くなかった。むしろクオリティ高杉なくらいだった。人形も悪くない。アトスの造形に文句はあるが、まあそんなところだろうとも思う。

　まあいいよ。だって『新・三銃士』なんだから。別物と思えば。

　でもなんか釈然としない。というか、期待してた分、かなり失望した。
　あの声優陣、あの人形、あのセット、すごい。それなのに、どうしてストーリーがあれなの？

　三谷幸喜は、ちゃんと原作を読んだのか。どう考えてもあれは私が許せないディズニーの『三銃士』が元になっているとしか思えん。まさか、それしか見てないんじゃ・・・。
　なんで、リシュリューとロシュフォール伯爵が完全悪なんだ？　リシュリューは彼なりにフランスのことを考えていた。単に正義のベクトルがダルタニャンたちと違うだけで、最後には味方になった（これもダルタニャンが役に立つからとの計算はあったろうが）し、ロシュフォールは好敵手でこれも4回の決闘の後、キン肉マンよろしく友情を結んだ（皮肉にも数十年後ダルタニャンに殺されてしまうが）。そこら辺も『三銃士』というか、ダルタニャン物語の醍醐味でもあったはずだ。
　少なくとも三銃士を読んで三銃士という小説に愛があれば、ストーリーをああいう風に改悪することは無いと思う。

　さらに造形的にもリシュリュー＆ロシュフォールコンビ（笑。だってそんな感じだもん）がバケモノ。ロシュフォールにはけっこう萌え要素があったような気はするが。
　髪型がどう見てもドリルだったが、アンヌ王妃は悪くない。対するルイ13世がガキンチョで思いきりバカ殿なのも許そう。原作でも、どうせ大した役割果たしてないし。原作ではアンヌ・ドートリッシュを放りっ放し（男色の方が好みだったとも）だったけど、こっちはアンヌべったりで、まあ可愛い。
　しかし、ナレーションであった、「今まで『三銃士』の映像化でルイ13世は色々な描き方をされました。ある時は年配の男に、ある時は子どもに。この作品ではこんなカンジです」って、子どものは見たことないけど、きっとあるんだろうな。この作品では”ピー”で”ピー”なのか・・・。なるほど。

　それから、フランスと言うよりスペインですがな。ガスコーニュ地方がスペインに近いってことから、ダルタニャンの故郷がスパニッシュなのだったらまあそんなものだと思うが、パリでそれはないだろう。しかもリシュリューの悪の城がどう見ても黒い巨大なサグラダ・ファミリアだったし、あの雲をつくような巨大建築は17世紀にゃ無理だろう。やっぱり悪魔と契約したのか、リシュリュー？

　まあリシュリュー以外の造形は、悪くない。なんたって『新・三銃士だし。別物と以下略。時代物活劇というより、ファンタジーと思えば少しは・・・

　やっぱだめだあ～。

　とりあえず、私はもういいや。どうも私は、NHKの三銃士観とは合わないようだ。

　他の三銃士ファンの方は、どのように感じられただろうか・・・。

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新・三銃士　公式サイト
http://www.nhk.or.jp/sanjushi/