シガーと天空の屋形船のこと
前回、くるねこ大和さんの絵本マンガ『やつがれとちび』について書いて、せっかくだからとトラックバックさせていただいた。
すると、流石アクセス数がハンパじゃないブログだけあって、かなりアクセス数があって、ずいぶんとビビッてしまった。くるさん、トラックバックの許可ありがとうございます。また本が出たら買いますね♪ ファンの方々、愛情ゆえの記事なので、多少ご無礼な記述があったかもしれないけれど、お目こぼし願いたいと思います。頼みます。m(_ _)m
発売からやや日にちが経ったので、多少ネタバレしてもいいかなと思い、また関連エントリーを書きたいと思う。これからこの本を買おうと思っておられる方は、これ以上読まないでください。
マンガの中に、「空には子猫だけが乗る屋形船がある。早く逝ってしまった子猫は忘れ物を取りに帰っただけだ」というような件(くだり)があった(今本を貸していて手元にないので確実ではないが、たしかこんな感じだった)。それを読んで心当りがあることに気がついた。
これは、もう20年以上前のことだったと思う。その頃は、まだ猫もソロたち初代猫しかいなくて頭数も4~5匹と少なかった。まあ、決して少ない数とはいえないが・・・。
そんな時、妹が友人と子猫を拾ってきた。白黒ペンギンタイプの痩せた子猫で、顔は目つきが悪く(今で言えば、『ケロロ軍曹』に出てくるギロロ伍長のような目だった)、声は異様にハスキー・・・というよりかすれた声だった。尻尾は半分くらいの長さだった。まあ、その程度の尾の長さの猫は日本猫なら珍しくもなかったが、なんと、その尻尾はモールのように細くて半分ミイラみたいな妙な尻尾だった。
拾った責任でちゃんと飼うなら、と言うことで、彼は我が家の猫になった。名前は声がしわがれているので、『シガー』という名前になった。
彼は異様に飢えていた。ご飯をやってもすぐに平らげた。いっぱい食べるので、みんな元気が良いと思った。しかし、その食欲に反比例した痩せ方や、モールのような尻尾、そして何日経っても下痢気味な体調から、早く気がつくべきだったのだ・・・。しかし、まだ猫飼い暦の浅い私たちは気がつかなかった。食欲さえあれば大丈夫だと思っていた。
目つきは悪いが性格のよいシガーは、みんなに可愛がられた。人間のご飯のときに、焼き魚やお刺身などご馳走ももらって食べた。夜も一人ぼっちではなく誰かのそばで眠れた。彼にとって幸せな日々だったと思う。先住猫たちにとっては、少し面白くない日々だったかもしれないが。
しかし、拾ってから一週間後、私が朝起きるとシガーが虫の息だった。妹は喘息の持病を持っていて猫とは寝られないので、私が一緒に寝ていたのだ。
私は飛び起きて妹を起こした。泊まりに来ていた妹の友人もいたが、彼女らは責任を持って飼うと言った約束を守り、犬猫病院に急いで電話した。まだ診療時間前にも関わらず診てくれるというので、彼女らはシガーを抱えて病院に連れて行った。
「どうして早く連れてこなかったの? これでは死んでしまうよ!!」
と、かなり怒られたらしい。
因みに、このY先生も飼い主の人間には厳しいが、患畜には優しいというところは、くるさんとこの罹りつけである、まこっちゃん先生と同様である。
カエル等を食べて感染する危険な寄生虫がいるということだった(昔のことなので名前は失念したが、多分これだろう→壷型吸虫)。点滴等の処置を受けてシガーは帰って来た。妹達は仕事が休めないので、変わりに私が休みをもらって看病することにした。
しかし、それから1時間もしないうちに、脳に障害が起きたのか、ふらふらと歩き回るようになった。何度も抱き上げ寝かしつけたが、徘徊を繰り返した。しかし、それは長く続かなかった。
シガーは、急に倒れた。意識が朦朧としているらしい。私は成す術もなく彼を抱いていた。見た目から、もうどうしようもないことがわかった。そして、シガーは何度か痙攣を繰り替えすと、あっけなく旅立ってしまった。初めて自分の手の中で命が失われた瞬間だった。まだ小さかったせいか、過度の栄養失調のせいか、死後硬直がすぐに始まった。私から連絡を受けて帰って来た妹が泣きながら言った。
「もう、こんなに固まってしまって・・・」
たった一週間しか居なくて、珍しく写真も1枚も撮っていなかった。だから、彼の姿は思い出の中でしかない。
それから数年。色々失敗をしながらだいぶ猫飼いにも慣れたが、その分猫の数も増えてしまった。その中に『雀雄』という猫がいた。家で生まれた白黒の猫で、目つきは悪いが人懐こくて子猫好きの猫だった。声はちょっとだけハスキーで、そして、尻尾の長さは半分だが、短毛種にしては毛並みのいいフサフサの尻尾だった。
私の頭の中にも科学的ではないメルヘンな部分があるが、そこでは、彼をシガーの生まれ変わりだと思っていた。戻ってきたんだと。
彼は忘れ物を取りに屋形船に帰ったのかもしれない。その忘れ物とは、きっとフサフサの尻尾だったんだろう。
雀雄は、17年生きた。
子どもも4匹作った。そのせいでソッコー去勢されたが。
そして、今、猫の数は3匹と激減したが、なんと、今、我が家では、ここみ雀雄生まれ変わり説が浮上している。ここみは一昨年の夏頃、目も開いてない状態でうちにやってきた猫だが、やること成すことが似ているらしい。特に、猫の癖にお客さんが大好きということが判明してから、その説が強くなった。
まあ、ホントに生まれ変わりなら私にもっと懐いているはずだと文句を言いつつ、おいおいそれを確認したいと思っている。
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