久間防衛大臣ついに地雷踏む。
兼ねてより、危うい発言を繰り返していた久間防衛大臣だが、とうとう決定的な失言をしてしまったようだ。
「長崎に落とされ悲惨な目に遭ったが、あれで戦争が終わったんだという頭の整理で、しょうがないなと思っている。それに対して米国を恨むつもりはない」(下アーカイブ参照)
しかしまぁ、こんな時になんでこんな発言をしたのか、意図がまったくわからない。原爆記念日でも終戦記念日でもないし、おまけに自民党が危ういといわれている参院選前である。真意はどうあれ、こんなことを言ったら言葉尻を捕らえられて、叩かれるに決まっている。大臣のうっかり発言がどんな命取りになるかすらわからないこの時に、防衛大臣がこんなことを言ってしまうとは、文字通り目が点になってしまった。おそらく、戦略なんてまったく考えない人なんだろう。ひょっとして自民党を潰そうとしているのか?
以前、柳沢大臣の発言に絡めて、久間大臣の発言を好意的に書いたことがあるが、辺野古の件で撤回した。結局レベルは双方似たような人だったらしい。要するにアメリカに毅然と言ったように見えた発言は、ホントに何も考えてなかったということだ。或いは、それでヤバくなった為に、路線を変えたのかもしれないが、結果、ろくなブレインがついていないことを露呈してしまったようだ。
さらに、この人は長崎出身の人である。長崎とはいえ原爆に直接被害があった長崎市ではなく佐世保の人らしいが、佐世保は原爆投下の候補地であった。天候状態如何では佐世保に投下されたかもしれないのである。また、身内や友人にも原爆被害者がいる可能性だってある。本来なら防衛大臣の立場でなくても、こういうことは口が裂けても言ってはならない立場の人だ。しかも、「しょうがない」って・・・。そりゃあ、広島や長崎の人たちが怒るのは当然だ。伊藤一長前長崎市長も草葉の陰で泣いているぞ。
おそらく久間大臣には原爆肯定の意図はなかったのだろうと思う。戦略的には、あそこで日本に対して決定的な力の差を見せ付けて、さらにソ連を牽制し世界的にも日本を支配下に置く権利を認めさせるには、これ以上効果的なことはない。もちろん、実験段階で原爆の破壊力の凄まじさはわかっているはずで、これを民間人の上に落とす決断をした連中(おそらく実験も視野に入れていた)は、外道中の外道であり、本物の地獄で未来永劫苦しんで欲しいとすら思う。原爆投下は人道的には決して許されることではないし、完全な国際条約違反である。核兵器投下後は、地上に文字通りの地獄が出現するのだから。それも、何の罪もない人々に。
久間大臣の問題発言は、他にもクラスター爆弾について肯定的な意見※注(←参考:「i want to break free」より)を述べてみたり、弾道ミサイル攻撃を受けた場合「今のミサイル防衛(MD)システムで99%は排除できる」との認識を示してみたり(記事は下アーカイブ参照)と、ひどいものが目だっている。(しかし、何だよ、99%ってのは。1%ってひょっとして外れた時の逃げ道か? まあ、100%っていう確率は普通ありえないので確率を使うのだが、ここで99%という確率を上げた場合「確実」と言っているのに等しいのだが)
この、MDシステムに対する久間大臣の発言に対して、軍事評論家の神浦さんは「防衛省昇格以来最大のジョーク」と皮肉った上に、以下のようにわかりやすく解説されているので紹介したい。
仮に、日本に発射されるノドン・ミサイルは移動式の発射台から発射してくる。北朝鮮のトンネルから出てきて1~2時間ほどでノドンが発射されるのに、海自のイージス艦はノドンの飛翔コースの下(有効範囲)の海域まで軍港からどう移動(航海)するのか。もしノドンが同時に別の場所や別の目標に数発発射されたらどうするのか。また入間基地(埼玉県)に配備されたPAC3を数時間で都心に移動(自走)させるかのか知りたい。
こんなインチキを言わなくては辻褄(つじつま)が合わないのがMDである。(J-RCOM「最新情報」より)
要するに、99%なんてありえない確率なのだ。因みに、北朝鮮からアメリカ様に弾道ミサイルが発射された場合、日本上空は通過せず、もっと北方を通るらしい。だって地球は丸いんだもん。なんとしても集団的自衛権の行使を認めさせたい政府にとってMD推進はよい材料になるし、予算もガッポリとれて軍事産業もウハウハである。
話を元に戻すと、今回の発言は本人が思っているよりもはるかに命取りになりかねない問題なものだったのに、それに気づかずに言っちゃう防衛大臣って何よ。おそらく公明党も立場上容認できないのではないかと思われる。久間オワタ~になるか?そもそも国防のトップに立つ人が、失言を連発しちゃあイカンだろう。ネット右翼が多いといわれる2ちゃんねるでも、すでに久間大臣に対する評価はひどいものである。完全に馬鹿にされている。せっかく省に昇格したのに、こんなんでいいのか、防衛省?
しかし、野党や反自民の人たちには格好の材料を与えたことになる。おそらく参院選に向けて、この発言は重要な材料になるだろう。しかし、野党、特に民主党は叩くばかりに夢中になって肝心の政策がおろそかになるようないつものセオリーには陥らないで欲しい。大臣や議員のあまりにも酷い失言は国民がしっかり判断するだろう。私達が望んでいるのは、天誅ではない。重要なのは各党の姿勢と政策とヤル気なのだ。
それにしても、こんなに大臣の失言や失態が多いとは・・・。安倍総理大臣の統率力のなさには怒りよりも脱力を感じてしまう。張子の虎なんかいらない。
だみだ、こりゃ。
※注:クラスター爆弾は、たくさんの子爆弾をバラ撒き広範囲に破壊をもたらし、その後、その子爆弾中の30%ほどの不発弾が地雷の役目をするというもので、放射能を含むことはあまりないと思う。このサイトの方は多分劣化ウラン弾と混同されているのではないかと思う。いずれにしろ、戦争後も民間人を苦しめる爆弾に変わりはないが。
【宣伝】ウイルスパニック小説「暁の悪魔(仮題)」を書いてます。読んでね♪
■アーカイブス■
「原爆投下しょうがない」 久間防衛相が講演(06/30 13:37)
久間章生防衛相は30日、千葉県柏市の麗沢大で講演し、先の大戦での米国の原爆投下について「長崎に落とされ悲惨な目に遭ったが、あれで戦争が終わったんだという頭の整理で、しょうがないなと思っている。それに対して米国を恨むつもりはない」と述べた。
米国が旧ソ連の日本への参戦を食い止めるため原爆を投下した側面があるとの見方を示し「日本が負けると分かっているのにあえて原爆を広島と長崎に落とし、終戦になった。幸い北海道が占領されずに済んだが、間違うと北海道がソ連に取られてしまった」と指摘。
また「勝ち戦と分かっている時に原爆まで使う必要があったのかどうかという思いは今でもしているが、国際情勢、戦後の占領状態などからすると、そういうことも選択としてはあり得るということも頭に入れながら考えなければいけない」と述べた。
久間防衛大臣は30日の講演で、アメリカが第二次世界大戦で広島と長崎に原爆を投下したことに触れ、「あれで戦争が終わったんだなという頭の整理で、しょうがないなと思っている」と、原爆投下に理解を示したとも受け取れる発言をしました。
長崎出身である久間大臣は30日の講演の中で、第二次世界大戦でアメリカが、日本が負けると分かっているのにあえて広島と長崎に原爆を落としたことが、日本を無条件降伏させ、ソビエトによる北海道侵略を防いだという見方を示しました。
その上で、「原爆が長崎に落とされて悲惨な目にあったが、あれで戦争が終わったんだなという頭の整理で、しょうがないなと思っている」として、原爆投下に理解を示したとも受け取れる発言をしたものです。
この発言について安倍総理は、現時点では問題ないという考えを示しました。
「(久間防衛相の発言は)米国のその時の考え方を紹介すると同時に、被爆地、原爆の惨禍の中にあった長崎について、自分としては忸怩(じくじ)たるものがあるという、被爆地としての考え方も披瀝(ひれき)をされたと」(安倍首相)
しかし、野党側は一斉に強く批判しています。(30日20:33)
久間章生防衛相は24日、沖縄県宮古島市のホテルで講演し、北朝鮮などから弾道ミサイル攻撃を受けた場合の防衛態勢について「今のミサイル防衛(MD)システムで99%は排除できる」との認識を示した。日本のMDは、海上配備のSM3ミサイル、地上配備のPAC3ミサイルの2段階で迎撃する仕組み。久間氏は「今のSM3で9割以上迎撃でき、外れた1割をPAC3が撃つ確率は9割」と説明した。
米軍普天間飛行場の同県名護市への移転に伴う環境現況調査に海上自衛隊を派遣したことについては「今後はそういうことをする必要はなく、スムーズに行くのではないか」と述べ、今後の自衛隊の出動はないとの見通しを示した。「沖縄県民に銃口を突きつけたとの印象を与えたとされたが、掃海母艦は戦闘用でなく、それは違う」とも述べ、理解を求めた。【田所柳子】
毎日新聞 2007年6月25日 東京朝刊
| 固定リンク
「ニュース」カテゴリの記事
- 令和が始まる。(2019.05.02)
- 天皇陛下退位~平成から令和へ(2019.04.30)
- 天皇陛下85歳 平成最後の誕生日会見について思う(2018.12.24)
- 日本列島歴史的大雨!(2018.07.06)
- 2016年アメリカ大統領選挙について思う。(2016.11.13)
コメント
折角民主党が死刑廃止でバカ発言して調子よくなったのにこいつ絶対野党の工作員だろな
反米じゃなかったのかこいつ
クラスターはおおまか正論だけどな
投稿: ttt | 2007年7月 1日 (日) 11:42
エントリーとは全然関係ありませんが、このフレーズに反応してしまいました。
>だって地球は丸いんだもん。
「僕から逃げようとしたってダメ、僕から逃げれば逃げるほど僕に近づくってわけ」とか言うセリフがあって「だって地球は丸いんだもん」と続いたのではなかったか。たしかマグマ大使を呼ぶ笛を持っていたマモル少年が4人組の一人として歌っていたような…。そうそう、今のスマップみたいなもんじゃったのう、歌のタイトルは「にっちもさっちもどうにもブルドッグソース」とか、ゆうたかのう~といよいよ記憶は混濁するクソジジィになりつつあるようじゃ、フォッフォッフォッって、バルタン星人かっ!!
投稿: drac-ob | 2007年7月 1日 (日) 22:35
tttさん、こんにちは。
ホントにスゴイタイミングでこの発言でしたね。
自公嫌いの私でさえ目が点になりました。
反米ではなかったようですね。
若しくは訪米中にスゴイ鼻薬を嗅がされたのかもしれません。
クラスター爆弾については、軍事的には有効かも知れませんが、やはり、いろいろ考えると禁止すべき兵器だと思います。
ところで疑問なんですが、日本の様に海岸線に囲まれて無くても、大陸のように陸続きの場合だって(むしろその方が)敵の侵入が容易いと思うので、特に日本について有効な防御方法ではないと思うんですけど、その点どんなものなんでしょうか。
投稿: 黒木 燐 | 2007年7月 2日 (月) 13:07
drac-obさん
タイトルは失念しましたが、「ブルドッグ」ではなかったと思います。
♪にっちもさっちもどうにもブルドッグ♪は、未だににっちもさっちも行かなくなった時に歌ってしまいますね。
フォーリーブスといえば、昔アメコミアニメの「電子超人Uバード」のテーマソングを歌ってました。
♪ユーユーユーユーユーユー、Uバード
「消えてもらいます」
それと、しょーもないことですが、「明星」に赤塚不二夫が書いていたタレントネタのギャグマンガで、「フォーリーブスとモーレツブス」というタイトルの回があった記憶があります。我ながらしょーもないことを覚えてます。
投稿: 黒木 燐 | 2007年7月 3日 (火) 00:08
いやいや、あの歌は「地球はひとつ」と言うタイトルで作詞はメンバーの北公次、作曲はなんと都倉俊一大先生です。エンディングで北君がバク天するのが見ものでした。ちなみに歌詞は、
>地球を走れば地球へ戻る 東に回れば東に帰るさ 丸い地球はみんなのものさ 地球はひとつ みんなの仲間~朝日が昇れば 悲しみ消えて 愛し合うのさ 青い屋根の下 144国地球はひとつ 地球はひとつ みんなの地球 地球はひとつ みんなの都 都さ
と、いまじっくり聞いてみるとなかなか爽やかなメッセージ、当時、地球上には144の国があったのか、などと考えさせられます。しかし、この詩を書いた北君が後年まさかジャニーズの告発本を出すとは、巡る因果は糸車ぢゃ。あ、そういえば中学生の頃、一度だけ青山孝に似てると言われたけど、今その話すると「えー、青山弁護士?」と言われるから、言いません。
投稿: drac-ob | 2007年7月 4日 (水) 00:18
drac-obさん
>いやいや、あの歌は「地球はひとつ」と言うタイトルで
すみません、ボケにボケで答えたんで、ブルドッグはネタだと判ってました。「(笑)」って書かないとマジレスにみえますね。作詞は北公次(←名前に見えませんね)でしたか。
当時の世界の国家数は144だったんですね。今はソ連も崩壊したし、アフリカなどでも独立国が増えたりと200近い国家があるんじゃないでしょうか。大地は定量なのに国家と人口だけはどんどん増えますねえ・・・。
>青山孝に似てると言われたけど、今その話すると「えー、青山弁護士?」と言われるから、言いません。
時の流れですねえ・・・。
投稿: 黒木 燐 | 2007年7月 4日 (水) 13:04