« 続報:懐かしのローカルバラエティ番組 | トップページ | 目が覚めたら右手が無くなっていた話 »

2007年6月24日 (日)

ほんとは毒蛇だったヤマカガシ

 くるさんのネコを中心としたマンガが面白いおすすめブログ「くるねこ大和」に、ちょこっとだけ、ヤマカガシが毒蛇であることが書かれていた。それで思い出したので、今日はヤマカガシについて書いてみようと思う。

 私は一部の節足動物を除く大概の動物は好きだし、危険でない限り触るのも平気だ。それで、今でもアマガエルやトカゲを見たら捕まえたくなる。アマガエルは比較的簡単に捕まるが、カナヘビ(ヘビと名がついているがトカゲだ。念のため)はほとんど捕獲に失敗する。これでも子どもの頃はけっこう捕まえることが出来たのだが、動作がだいぶ鈍っているのだろう。

 余談だが、ずいぶん昔のことになるがカナヘビが頭をなでさせてくれたことがある。ある人家の前を通り過ぎようとしたら、庭にカナヘビが2匹いた。玄関の近くで、不法侵入しなくても触れそうな位置だったので近づいてみた。どうせ逃げるだろうと思っていたが、何故か逃げない。そうっと近づくと二匹がこっちを見ている。静かに彼らの方に手を伸ばしてみた。逃げない。それどころかじっとしている。それで、人差し指でそおっと頭をなでてみた。2匹は逃げるどころか頭を差し出してきて気持ち良さそうにしている。すごく可愛かった。なんだろう。そこのカナヘビは庭に放し飼いされていた、ペットだったんだろうか(ソレハナイ)。妙に人馴れしていた。不思議な話で夢じゃないかといわれそうだが実話である。

 で、本題のヤマカガシである。カガシとは、昔のヘビの呼び名であるらしい。山にいるヘビだから、ヤマカガシ。しかし、ヤマカガシは本来水辺の近くに済む生き物だ。何故なら、主にカエルをエサとしているからだ。ヤマカガシが生息できるという事は、カエルがたくさんいるということで、そこの生態系は比較的健全ということになる。最近は水辺の整備や水質の悪化・酸性雨、そして病気などで、カエルが激減しているらしい。またまた余談だが、この前会社の近くのクリークのようなお世辞にも綺麗とはいえない川に、ウシガエル(カエル苦手な人閲覧注意)がいた。かなり大きな個体で驚いたが、これはいわゆる食用ガエルで外来種である。ヤマカガシにとっても大物過ぎて手が出せないだろうビッグサイズのカエルだ。そういえば、その前にもでっかいナマズが泳いでいるのを目撃した。浅いので背を半分ほど出して泳いでいた。汚そうだがけっこう生き物はいるようだ。ウシ君は、私が見ているのに気がついて、すぐに水中に姿を消したが、その後、いい具合に葦の茂っていたその川の草刈が行われ、ただのでっかい溝になってしまった。なんてもったいないことをするのだろう。葦は水質を浄化するのに・・・。その川の先はもう少し大きい川と繋がっているので、件のウシガエル君の生息にはあまり影響はないと思うけど(BODはかなり高そうだけど)。

 また、話がそれた。

 最近私は見ないが、けっこううちの周辺にもヘビが棲んでいるらしい。庭にいたこともあるそうだ。まあ、うちの庭は夏場には草むら(敢えて「ビオトープ」と呼んでいる)になるからなあ。それがヤマカガシだったのかシマヘビだったのかアオダイショウだったのか、はたまたマムシだったのか、私は見てないのでなんともいえない。ただ、ずんぐりむっくりはしてなかったようなので、マムシという線はなさそうだ。

 ヤマカガシも毒ヘビなのだが、それがわかったのは比較的最近の話だ。'70年代に中学生が咬まれて、その毒のため死亡した。多分それまでは毒蛇とは思われていなかった。比較的大人しいヘビだし、毒を出す歯が奥歯だということで、めったに毒が人体に回るということがなかったからと思われる。本来その毒は人を殺すのが目的ではなくて、エサのカエルを麻痺させるためのものだからだ。まあヤマカガシだって、人間のような凶悪な生き物は敵にまわしたくないに違いない。
 ヤマカガシの毒は主に出血毒だ。しかし、咬まれても特に痛みがあったり腫れたりなしないらしい。それで噛み付かれたことに気づかずに、出血が始まって初めて咬まれたことに気がつくケースが多いらしい。血清はあることはあるが、ヤマカガシの咬傷事故は本当にめったにないので取り寄せることになる。だから、ヤマカガシを手に持つことがあって、何がしかの出血があったらすぐに病院に行くことだ。即効で死ぬことはないが、血清が間に合わなかった場合、血が止まらなくなって全身出血で死んでしまう恐れがある。
 このヘビは、咬んだ時以外でも毒を出す。危険を察知した時、首のあたりから毒液を噴出させるそうだ。万一目に入った場合は失明する恐れもあるそうだから、要注意である。
 まあ、先にも書いたように本来大人しい生き物だから、そっとしておく分はまったく無害で、それどころかカエルだけではなく色々な害虫も食べてくれるから、人間にとっても役に立つ生き物である。

 子どもの頃はけっこう家の中まで侵入してきたもので、よく後ろから近づいて首筋をつかんで、捕まえていた。良く毒の洗礼を受けなかったものである。きっとそんな大人しいヘビなので、人の被害が少なくて、ほんの最近まで毒蛇と認知されていなかったんだろう。ただし、これは珍しいことらしいけど、ヤマカガシは威嚇する時があるらしい。その時は鎌首をもたげ、コブラよろしく毒腺のある首の辺りを扁平にするらしい。そのような体勢をとられたら、必ず毒の噴射があるのでとっとと退散することだ。

 そういえば、模様からヤマカガシだったと思うけど、気持ち悪い体験をしたことがある。
 もう十数年前になると思うが、今の場所に引っ越してからのことだ。夏の昼下がりに近所を歩いていたら、道端にヘビが死んでいる。またあまり大きくなくて、若いヘビのようだったが、どうやら自動車に轢かれたらしい。そのままにしていても、二度轢き三度轢きされるなと思った私は、死体は気持ち悪かったが持てないことはないと思い、尻尾を持って持ち上げた。するとその途端手に「ブツブツブツブツブツ―――――」という異様な振動が伝わった。持ち上げられたせいで、ヘビの背骨が自らの重みでバラバラになったからだった(音は聞こえなかったと思う)。意外と死後時間を経ていたらしい。ぎゃっと思ったが、なんとか気持ち悪さを我慢して傍の草むらまでヘビをよけることが出来た。その時の振動は未だに右手が覚えている。

 ヤマカガシの模様は黒と赤斑紋で、毒蛇らしくけっこう派手なのが多い。また、幼生には首の辺りにぐるりと襟巻きのような黄色い線が入っている。しかし、変異種が多くて、赤みのないものや黒いのもいるそうである。

 ヘビは、うちの祖母の大の苦手な生き物だ。里も山の傍なのでけっこうヘビが多かった。たまに風呂場に入ってきてパニックになったと良く言っていた。だから、長い生き物は魚でも苦手で、それでも父がウナギやアナゴを釣ってきた時は、悲鳴を上げながらさばいていた。しかし、七輪で焼いたとれたてのウナギやアナゴはすばらしく美味しくて、未だにあのような美味しいウナギに遭遇したことはない。魚嫌いの妹でさえあれは美味しかったと言っているほどだ。で、ウナギは海に住む魚とばかり思っていたが、回遊魚で川魚だと知ったのは、こっちに来てからだ。川の魚はこのようにいったん海に出て生活するものは多い。有名なのはサケだが、なんと鮎も稚魚の時は海で生活するらしい。海でアユが釣れたなんて聞いたことないし、不思議だ。
 祖母はマムシのことを「はみ」と言っていたが、これは中国四国地方の方言らしい。

 足のない異様な姿のため嫌われ、或いはあがめられてきたヘビだけど、立派に生態系のなかで自らの役目を果たして生きている。しかし、彼らもエサの減少で確実に数を減らしている。彼らの姿は生態系が健全かどうかの指標になる。この不思議な生物の姿が消えてしまった地球は、きっと寂しいものになるに違いない。

 ■参 考■

蛇たちの庭
http://www.21photo.jp/hebi/page4-2.htm

ヤマカガシ(いきなり大量の画像。ヘビ嫌い注意)
http://www5.famille.ne.jp/~kabukuri/zukan004.html

|

« 続報:懐かしのローカルバラエティ番組 | トップページ | 目が覚めたら右手が無くなっていた話 »

徒然くさ」カテゴリの記事

生物・自然・天文」カテゴリの記事

コメント

ヤマカガシの話はさておき(決して蛇が怖いのではない、かって自転車のハンドルに鎌首をもたげた蛇が居て、以来大嫌いだ、という過去は無かった、と、思い込もうとしている僕って何?またこのフレーズ使ってしまった)、オムツをしたクマが画面を走り回って、エントリーが読みにくいと思ったのは、僕だけでしょうか。

ありゃあ、一体何?よく見たらオムツではなくてカバンみたいだが…。

投稿: drac-ob | 2007年6月24日 (日) 22:49

drac-obさん

クマじゃなくて猫らしい。
こまねこのブログパーツを貼ったら、もれなくついてきました。
>走る猫
http://www.komaneko.com/index.shtml

まあ、わたしもうっとおしいかなと思ってましたので、とりあえず消しました。しかし、せっかくですので時々ゲリラ的に復活させます。

ところでこの場合、フツー括弧内と外は逆に書くべきではと。

(自転車のハンドルにヘビなんて、ヘヴィ・メタルな地獄の自転車みたいでカッコイイじゃないですか~。まあ、私もヘビじゃなくて、巨大蛾とか、大量芋虫http://kuroki-rin.cocolog-nifty.com/heaven_or_hell/2006/08/post_14b7.html
とかだったらとっても嫌ですけど。ひょっとして、またトラウマ踏んだかしら?)

投稿: 黒木 燐 | 2007年6月25日 (月) 13:01

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ほんとは毒蛇だったヤマカガシ:

« 続報:懐かしのローカルバラエティ番組 | トップページ | 目が覚めたら右手が無くなっていた話 »