花びらの追いかけっこ
高良川沿いの桜並木を足早に歩いて帰っていると
ひらひらと桜色した小さい蝶が周りを舞っていた。
蝶はひらひらとアスファルトに落ちると
そのままコロコロと私の先を走っていった。
何だろうと思ったら散った桜の花びらだった。
見渡すと沢山の花びら。
コロコロコロコロ
私の歩く傍を追いつき追い越し
沢山の花びらが追い風に吹かれて競うように転がって行く。
中でも一枚の花びらが
何度も止まりそうになりながら何故だかずっと着いてきた。
まるで本当に生きているよう。
コロコロコロコロ
私はなんか楽しくなってコロコロ花びらたちと一緒にずんずん歩いた。
コロコロコロコロずんずんずんずん
花びらを踏まないように気をつけて。
コロコロコロコロずんずんずんずん楽しいね。
しばらくすると桜並木は終わってしまった。
それでも彼らはしばらくついてきていたが
じきにひとつふたつとアスファルトにへたり込んだ。
そしてとうとう最後のひとつが力尽きた。
私は立ち止まって最後の花びらを良く見たが
やっぱり普通の桜の花びらだった。
あんなに生きているようだったのに
不思議だなあ。
私は少し悲しくなってまたずんずん歩き始めた。
夕空は薄いグレーと桜色、風は強めで心地よい。
もう桜の季節も終わりだなあ・・・。
| 固定リンク
「詩」カテゴリの記事
- ひとであれば(2010.07.19)
- 星の猫(2010.03.28)
- 凍結された幸せ(2009.11.01)
- 花びらの追いかけっこ(2007.04.12)
- ある日の夕焼け(2006.07.30)
コメント