久間発言と柳沢発言の格の違い
※このエントリーは、今となってはずいぶんな勘違い記事だが、戒めとして消さずに残しておきます。
1.柳沢発言
いやぁ、すごいことになってしまいましたね、柳沢厚労相(厚生労働大臣)の失言。もう、「不二家」か「あるある」か柳沢かってぇくらい1月から飛ばしすぎだ。
これはもう辞任しないと収集がつかないんではないだろうか。
うっかり口を滑らして言ってしまい、すぐにわびて訂正したようだけど、時すでに遅し。内容が内容だけにあっという間に大問題になってしまった。「三銃士」だったかにこういう台詞があった。
「紙に書いたことなら破れば済むが、口に出してしまった言葉は取り返せないぞ。」
この言葉を真っ先に思い出した発言だった。
ま、普段から思ってなきゃ、あんなことはツラリとは出てこないだろう。柳沢氏は女系家族らしいけど、そのせいで何か女性に対してルサンチマンでもあるのだろうか。女性を「子どもを生む機械」に例えるなんてあまりにも非人的で思慮の欠けた発言である。そしてあまりにも下品。
「機械って言っちゃ申し訳ないけど」「機械と言ってごめんなさいね」…。柳沢厚労相の「子供を産む機械」発言は、こうしたエクスキューズを挟みながらも、躊躇(ちゅうちょ)することなく続けられた。
って、ギャグですか?
しかし、産め産めって男はお気楽だね。産むのは女性で、おなかに子どもを入れたまま10ヶ月すごすのがどんなに大変か、そしてどんなに出産が苦しくて命がけで大変なことなのか、いっぺん産んでみろってんだ。って、私も未経験だけど・・・。
でもね、男性がもし出産したら、あまりの苦痛に耐え切れず死んでしまうそうだ。だけど、オスが「出産」する珍しい生き物がいる。それはタツノオトシゴ。メスがオスの腹にある育児嚢の中に卵を産みつけるのだ。一般常識とは逆のことをするわけだ。で、卵が無事に孵り適度な大きさの稚魚に育つまで、オスは腹の中で大事に子どもたちを保護してるのだが、「産む」時は海草に尻尾を巻きつけて大量の稚魚を大変な思いをして生むそうだ。耐え切れずにこと切れるオスもいるとか。しかし、何で逆なのだろう。メスがオスに卵を産みつけるのは他にコオイムシという昆虫がいるけど、これは「背中」に卵を産みつけるだけだからオスに「生みの苦しみ」はなさそうだ。
って、内容がまったくズレまくってしまった。閑話休題。
しかし、柳沢氏は辞任したくないならひたすら謝って嵐が過ぎるのを待つしかないなあ。そろそろ工作員が民主党あたりのゴシップを発掘してくるんじゃないか?まあ、今は何を言ってもムダだろう。しかし、安倍センセイも思い切れないな。小泉ダイセンセイならワケのわからんことを言いながら、遠慮会釈なく切ったんじゃないかな。結局自分の屋台骨まで揺らぎかねない大騒ぎになってるから。相変わらずの優柔不断だが、このままだとガカーイ票まで失うぞ。
それにしても、民主党と社民党の嬉しそうなこと。この発言には何らかのオトシマエはつけてもらわないといけないとは思うけど、もっとクールにやれないものか。それより人の失言を突っついて攻め落とすのもまあ、手のうちだろうけど、もっと実力をつけて与党と戦って欲しいものだ。このままじゃ、いくら安倍政権が失速気味でも、参院選を充分な力で戦えないとおもうのだけれども。
とにかく、女性を出産マシーンに例えたのは最低だとおもう。女性に対して人として敬意を持っていれば、決してこんな発言はしなかっただろうと。馬脚を現わしたとは正にこのことだろう。不用意な発言によって自らまで地に落としてしまったのだ。
これと対照的なのが、久間防衛大臣の発言である。
※アーカイブ
柳沢厚労相「女性は子供を産む機械」…安倍内部爆弾(夕刊フジ)
http://newsflash.nifty.com/news/topics/abe_sinzou/ts__fuji_320070129012.htm
柳沢伯夫厚生労働相が27日に松江市で開かれた集会で、女性を「子供を産む機械」とたとえた発言が波紋を広げている。「女性蔑視」と国民から怒りの声が上がるなか、野党からは、安倍晋三首相の任命責任を問う声も上がり、支持率低下に歯止めがかからない安倍政権は、またも内部に爆弾を抱える形となった。
「機械って言っちゃ申し訳ないけど」「機械と言ってごめんなさいね」…。柳沢厚労相の「子供を産む機械」発言は、こうしたエクスキューズを挟みながらも、躊躇(ちゅうちょ)することなく続けられた。
この集会は、自民県議の後援会の集会で、30分間講演を行った柳沢厚労相は、年金や福祉問題などについて話し、さらに少子化問題についても触れた。
この中で、出生率の低下に言及した柳沢厚労相は、「15~50歳の女性の数は決まっている。産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかない」などと話した。
会場内ではこの発言に対する訂正はなく、同日夜になって、人口統計学の話でイメージを分かりやすくするために、こうした発言をしたと説明したという。何度かのエクスキューズを挟んだとも釈明したが、「言い訳をしながらも、何度も『機械』『機械』と発言しているのは、柳沢厚労相の頭の中で、女性をそういう風に解釈しているからではないのか」との厳しい声もある。
厚生労働省は、いわゆる「残業代ゼロ法案」と呼ばれる「ホワイトカラーエグゼンプション制度」の導入を目指していたが、今国会への法案提出を引っ込めた。柳沢厚労相は、組織のトップとして、サラリーマンの敵といわれたが、今回、女性も敵に回した格好だ。折しも、安倍政権の支持率低下に歯止めがかからない現状。29日付朝刊の世論調査でも毎日新聞が、前回(12月)から6ポイント減の40%に下落。日経新聞でも、前回(同)から3ポイント減の48%と5割を割り込んだ。
これまで、男女別では女性の方が支持率が高かった安倍政権だが、柳沢発言で、女性からの支持も急減しておかしくない状況に追い込まれた。[産経新聞社:2007年01月29日17時25分]
2.久間発言
これは、久間防衛相がイラク開戦や沖縄普天間飛行場移設などについて相次いで対米批判をしたということで問題となった。人によっては「防衛省」に格上げされたもんで、調子に乗ってるのでは?とか思いそうだが、久間防衛相はしごく全うな意見を述べているにすぎない。柳沢氏の発言と同等に問題視されているようだが、内容は雲泥の差である。
防衛庁が防衛省に格上げされた件については、私も少なからず不安を感じないこともないが、必ずしも悪いことではないのだ。
というのも、防衛庁である間、外務官僚に好き勝手させられていたからだ。すなわち、軍事のド素人に利権のみで良い様に扱われていたのである。イラク派遣についてもそうだ。
ちゃんと軍事を学んだ者なら、手足を縛られた状態の自衛隊員を、戦場に派遣することがどんなに無謀なことかわかっている。しかし、結局イラクに自衛隊は派遣されてしまった。幸い一人の犠牲者もなく無事に派遣期間を終えたが、結局、基地から出れない引き篭もり状態で、単なる米国に対するおべっかで終わってしまった。仕事がもらえると期待していたサマワの人たちも、アテが外れてがっかりだったようだ。
イラク戦争が米国いや、ブッシュの失敗だったことは、いまや当のアメリカ合州国でさえも常識になっている。大量破壊兵器などイラクの何処にもなかったではないか。日本の防衛大臣がそれを指摘したとして、事実を言ったまでのことだ。普天間の件だって、地元の意向を尊重するという、しごく当たり前のことを言っているに過ぎない。
確かに露骨にアメリカ追従姿勢をとり続ける与党にとって、望ましい意見ではなく、また、現在ガタガタの安倍政権をこれ以上揺るがす発言をすることは、党にとってゆゆしき問題だろう。しかし、敢えてこういう発言をすることで、今まで防衛庁を牛耳っていた外務官僚たちに牽制を与えていたのかもしれない。
久間防衛大臣のホームページに年頭の挨拶のページがあるが、そこに古典の言葉として司馬法の文が引用されている。(古典は苦手なので、スパイクさんのサイトから引用させてもらいました。)
国雖大、好戦必亡。
天下雖安、忘戦必危。
(国が大きくても戦争を好めば敗北する。天下が安泰でも戦争を忘れれば危険である)
まるで、アメリカと日本の現状を髣髴とさせられる言葉であるが、敢えて「国雖大、好戦必亡(国が大きくても戦争を好めば敗北する。)」という言葉を引用するあたり、この人の信念が現れていると思われる。このような言葉を年頭の挨拶に引用することや、下にリンクしている「会見概要」を読む限りは、かなり落ち着いた分析をされる方のように思える。これは、久間氏が被爆地である長崎出身ということもあるかもしれないが、今までの防衛庁長官とは一線を画している。少なくともトンデモ発言をする軍事ヲタや北の恐怖をいたずらに煽るタイプの人ではないさそうだ。まだ今のところ太鼓判は押せないが、このような人が防衛大臣でいる限りはある程度安心できそうな気がする。
ただ、戦争の出来る美しい国にしたがっている人たちにとっては、久間氏は邪魔な存在になるかもしれない。外務省はことさら久間氏の発言を煽りたて問題視したいようだが、与党としては今は柳沢氏の問題発言でこれ以上の混乱は避けたいところだろう。しかし、それが沈静化した頃、あるいは参院選が終わった頃に、久間氏を貶めるような事件が発覚するかもしれない。久間氏にはくれぐれも身辺に気をつけて足をすくわれないようにしてほしい。次の防衛大臣にろくでもない人物が充てられるという惨事は絶対に避けたいからだ。
私はいつも言うように、防衛のための(核を除く)ある程度の軍備は、不本意ではあるが必要だと思っている。だからこそ、しっかりした人に防衛大臣のポストにいてほしいと思うのだ。
【追 記】 5月18日
此処では久間防衛大臣を持ち上げた形になったが、今ではあの発言は、アメリカに対するツンデレではなかったのかという疑惑を持つに至った。
あれからクラスター爆弾を容認したり、実際に役に立つかわからない航空機搭載レーザー(ABL)の導入に前向きだったりと、天然っぷりを発揮されているようだ。そして今、辺野古はトンデモないことになってる。
やっぱ安倍人事はスバラシイ人材の宝庫のようだ。
※アーカイブ
■久間大臣会見概要
http://www.mod.go.jp/j/kisha/2007/01/26.html
■「普天間問題、偉そうに言うな」 久間氏、また米批判
1月28日8時0分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070128-00000000-san-pol
久間章生防衛相は27日、長崎県諫早市での講演で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)への移設問題をめぐり「米国は政府同士が決めたのだからそれをやったらいいというが、沖縄県知事がうんと言わないとできない」と、あらためて米政府の対応を批判した。
久間氏はイラク戦争をめぐる米大統領批判を含む一連の対米発言を繰り返したあと、26日に発言自粛を宣言したが、すでに米側からは不快感も伝えられており、日米同盟関係に現実の悪影響を与えかねない情勢。政府内では「安倍晋三首相も心配しており、対応を考えなければならない」(政府高官)と危機感が広がっている。
講演で久間氏は、移設先の埋め立てに知事の許可が必要なことに触れ、「知事の意見を聞き入れながらやっていかなければならないのに、米国は分かっていない」と主張した上で「あまり偉そうなことを言ってくれるな。日本のことは日本に任せてくれ」と米側に伝えたと解説した。
また、久間氏は24日の日本記者クラブでの会見で、イラク開戦について「核兵器がさもあるかのような状況でブッシュ大統領は踏み切ったのだろうが、その判断が間違っていたと思う」と発言したが、外務省筋によると、米側は直ちに外交ルートを通じて不快感を表明し、日本側は大統領批判ではないと釈明した。
国内でも、内閣不一致との指摘を受けた塩崎恭久官房長官ら官邸サイドが「政治家個人としての発言」と擁護する一方、久間氏に「誤ったメッセージを伝えることになりかねない」と注意を促していた。
イラク戦争批判はそれ以前にもあったが、ブッシュ大統領の一般教書演説直後とあって、米国のAP通信は演説への反応の一つとして配信。「久間発言」はイラン大統領の「米国の新イラク戦略は今までの計画と同様、失敗に終わる」といった談話と同列に扱われ、米主要紙にも掲載された。
米側は久間氏の一連の発言を、米国向けの弾道ミサイルを日本が迎撃することに慎重な姿勢を示した発言と併せ、問題視している。日本側が今月開催を模索していた日米安全保障協議委員会(2プラス2)も日程のメドが立っていない。
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