タイノエに遭遇しました。
何故かこのブログで最多ページアクセス数を誇るエントリーに「タイノエの話」という記事がある。そのタイノエに最近リアルで遭遇した。
土曜日に祖母のお見舞いに行ったのだが、ついでに父の愛犬ほたるにも会いたいので実家に寄った。釣り好きの父が、近所の海でクロダイを釣って来ていて、生きの良いまま刺身にして振る舞ってくれた。妹は魚介類があまり好きではないが、私は久しぶりに活きの良い刺身を喜んで食べた。妹も刺身は嫌いではないので、それなりに食べていたが、気分的に居心地の良い家ではないので、相変わらず腰が落ち着かないようだった。
帰りに刺身を作った後のアラをもらって帰ったが、重いと思ったら、下ごしらえだけした丸のままの小振りなクロダイが数匹入っていた。
翌日の夕方、夕食にそれを煮付けて食べようと、母が魚の余分なヒレを切っていた。私は横で煮付け用の煮汁を作っていたが、ふと見ると一匹だけマダイが混じっている。それが、なんだか妙に痩せて貧相だったので、はたと思いついて口の中を見てみた。
案の定、小振りの鯛の口の中に例のグソクムシの仲間が鎮座ましまし、一蓮托生でお亡くなりになっていた。
「おかあさん、これこれ、タイノエ!」
もちろん、母がアニーちゃん(アニサキス:閲覧注意)以外の魚の寄生虫の事なんて知るよしもない。「何、これ?」と鯛の口の中から引っ張り出して気味悪そうに見ていた。相変わらず剛毅な人だ。「鯛の口の中にいる寄生虫だけど、居たって(食べる分には)とくに害はないから。」と説明した。私にとっては二度目の接近遭遇だが、最初の遭遇時は、それが何かわからなかったから、今回感動もひとしおといったところか。
「ありゃ~、他のにもおったんかねえ。」「おったかもしれんねえ。」しかし、すでに半分は鍋の中である。まあクロダイの方は割と肥えていたから大丈夫とは思ったけど、母が心配そうなので「残ったの見てみたらいいやん。」と言ってみた。果たして母は残りのクロダイの頭をひっつかみ、口を開けて見た。なんか白いものが見えた。母が小骨取り用の毛抜きで引張るが取れない。どうやら鯛の舌のようであった。タイノエがマダイにしかつかないのか、たまたまこのマダイだけについていたのかはしらないが、クロダイの方はシロのようだった(タイノエの属するウオノエ類は他の魚にもつき、それが口の中とは限らずエラについていたり、常駐せずに「食事時」のみつく種類もある)。
ちょっとプチ騒動になったが、無事大量の魚を煮付けにし終えた。しかし、夕食の準備中の出来事で、大事な写真を撮るのをすっかり忘れてしまった。小さかったので、私のカメラではちゃんと写るかどうかわからないが、せっかくタイノエに遭遇したのだから、記念に撮っておけば良かったと後悔している。
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コメント
学術的には大変意味のあるものなのでしょうが、個人的には「タイノエの話」も見なかった、読まなかったことにしていたのに。歴史の清算と言われ様が、一切を無かったことにしておけば幸せだったのに。
また、見てしまった!!
こういうものを他人に見せて、その時の表情や反応を想像して笑うというのは、決して誉められた行為ではありません。例えは古いのですが、アラレちゃんがう○こを木の枝に突き刺し、駆けずり回っているのとは違います。分別のある大人のすることとは思えません。
しかし、ついつい見てしまうのは人間としての好奇心が旺盛な証拠だと自分を慰めています。
投稿: drac-ob | 2006年10月 4日 (水) 18:18
drac-obさん
ぶっちゃけいいますと、映像程度なら慣れます。
でっかい虫も、でろでろなパラサイトも(以下自粛)。
私は世の中で蛾という生物が大の苦手で、いまでもごく小ぶりの蛾以外はそばに寄れません。しかし、映像は平気で見れるようになりましたよ。
タイノエは・・・、まあ、子供の頃磯遊びをしてましたので、海の多少きしょい生物程度は平気で持てます。持てますが、踊り食いとか活きた海老の殻を剥くのは二度としたくないですが。
下の「閲覧注意リンク集」にざざむしメニューとか、KGBファイルとか、ハリガネムシの動画とかいろいろ取り揃えておりますよ。でも、結局行き着く結論は「人間がいちばん怖い」です。
因みにうちの母は、何故かそこら辺の警官より人間の遺体に多く遭遇しており、私よりはるかにツワモノなので多少のものは大丈夫です。
投稿: 黒木 燐 | 2006年10月 4日 (水) 23:20
あのね、見たくなかったです。
でもね、見てしまったんです。
貴方ね、一体・・・・・・・(笑)
なんか、魚喰うたんびに思い出して口の中チェックする自分が想像できて・・・恨みますバイ^^;
投稿: ぶいっちゃん | 2006年10月 4日 (水) 23:28
ぶいっちゃん
いちおうグロ系のリンク先は事前に「閲覧注意」と書いておりますので、ご利用は計画的に、もとい、閲覧は覚悟を決めてから。
タイノエは鯛に迷惑なだけで、特に危険のない動物です。それより、アニーちゃんに気をつけてください。ものごっつ苦しいそうですので。
まあいづれにしろ、良く噛めばたんぱく質(笑)。
こういうぶっとんだ生物を見ていると、人間界の権力争いがバカらしく思えてきますね。
投稿: 黒木 燐 | 2006年10月 5日 (木) 01:56
私も、ぶいっちゃん同様これから、魚を買うたびにお口の中をチェックしてしまいそうです(笑)。
イヤ、あんまし遭遇したくはないかな(笑)。
>まあいづれにしろ、良く噛めばたんぱく質(笑)。
そうなんだけども(笑)!!
もお、燐サンてば、大好きです(笑)(^З^)-☆
投稿: wing | 2006年10月 5日 (木) 10:23
燐さ~ん‥
私も見たくはなかったです~!^^;
が、そんなことは言ってられません。教えて頂いて感謝します。知らなければ食べてしまうことになるんですもんね~。でも、もう遅いのか?とっくに?(汗)
これからも、いろんなことを教えてくださいね!遅くならないうちに、早めに‥^^(爆)
投稿: ココロ | 2006年10月 5日 (木) 12:39
wingさん、
「良く噛めばタンパク質」っていうのは、寄生虫学者さんの本を読んだときあったセリフです。どの本で読んだかは忘れましたが、その本の著者さんが言ったのではなかったと思いますが、とにかくそのセリフに納得して、それ以来良く使わせてもらっています。
でも、実際にタイノエ君に遭遇した場合、なんだか嬉しくなりますよ。ただし、取り出した瞬間、若干鬱になりますけどね。やっぱエイリアンっす。
投稿: 黒木 燐 | 2006年10月 6日 (金) 09:58
ココロさん
>知らなければ食べてしまうことになるんですもんね~。でも、もう遅いのか?とっくに?(汗)
素揚げにしたら美味しいかもしれませんよ。
特にメスは卵がびっしり・・・、うげ。
イイダコやししゃもなら何ともないのにな。
>これからも、いろんなことを教えてくださいね!遅くならないうちに、早めに‥^^(爆)
そんなアナタに、上にリンクしてますが「フクロムシの話」をお勧めします。カニを食べるときに確認することが増えること請合いです。
投稿: 黒木 燐 | 2006年10月 6日 (金) 10:04
>なんだか嬉しくなりますよ
え・・・エエーッツ!?∑(゜▽゜♯)
そうなんですかー!?
フーム。いつか出会えた時を楽しみにしとこう(笑)(-”-;)
>フクロムシの話
何て、ヒドイヤツなんだ!!
とっても不思議で、興味深くて面白いけども(笑)(;¬_¬)
ウー・・・マジでカニの雄に産まれなくて良かったと思いました(T_T)
イヤ、カニの雌でもイヤです(笑)。
ヒドイ・・・ヒド過ぎる・・・。
(思いもかけず、割とショック)
投稿: wing | 2006年10月 6日 (金) 14:36
wingさん
そう、ひどいヤツらなんです、フクロムシは。オナガの巣に托卵するカッコウよりもひどいです。
でも、そのフクロムシを試しに食べちゃう人間もいるんですから、やはり人間が一番コワイ?(笑)
しっかし、ほとんど精巣と卵巣だけの姿になって他者にすべてを依存するような生物が存在するって、生物が遺伝子の乗り物だってことがよくわかる事象ですね。で、とにかく何が何でも遺伝子を遺したいって、結局遺伝子って何?メールみたいなものなの?それとも記憶装置?いったいどこに伝えるの?結局誰が何に必要なの?って思ってしまいます。
投稿: 黒木 燐 | 2006年10月 7日 (土) 09:49
>生物が遺伝子の乗り物
>結局遺伝子って何?メールみたいなものなの?それとも記憶装置?いったいどこに伝えるの?
結局誰が何に必要なの?
ホンットに、そう思いますo(>_<)o
なんか、悔しいなー(笑)。
私も、まんまと策略に嵌って遺伝子残していっちゃってるしなー(笑)。
でも、こういう生物の話はホント楽しい♪
不思議がたくさん詰まってて、細胞レベルな話になってくると命ってちょっとした宇宙の話みたいですもんねー。
イヤ、宇宙の話全く知らないんですけど(笑)。
いろんな奇跡の連続みたいな。
だから、妊娠って凄く楽しかったんです(笑)。
自分の体の中に、別の生き物がいるんですよ!?
ウニョウニョ動いて、しゃっくりしてたり(笑)。
で、出てきたら私の細胞どこ行った??というくらいに旦那にソックリな子供達(特に娘は95%以上がそうだと思われる)(;¬_¬)
いろんな人に旦那を産んだのかとよく笑われました(笑)。
・・・これも、ひょっとしたら”○○(旦那の姓)フクロムシ”の策略(笑)!?∑(゜▽゜♯)
投稿: wing | 2006年10月 7日 (土) 15:01
これからの私の人生、鯛の尾頭付きを見るたびに、
「ああ今日はおめでたい♪」なんて思うよりも前に、
絶対やってしまうと思います。お口チェック。
ああ。なんだか今すぐ鯛を買いに行きたくなってきた(←え?)
ってことで、
燐さんのところはここまで読んだ。(しおり)
投稿: 猫だぬき | 2006年10月 8日 (日) 09:28
wingさん
生命は小さな宇宙の神秘ですね。
とても面白いし、興味の尽きない世界です。
>私も、まんまと策略に嵌って遺伝子残していっちゃってるしなー(笑)。
子どもを産んで育てるということは、遺伝子を遺すということよりも素晴らしいことと思いますよ。あいにく私にはもう無理ですが。
>出てきたら私の細胞どこ行った??というくらいに旦那にソックリな子供達(特に娘は95%以上がそうだと思われる)(;¬_¬)
特に女の子は父親に似るといいますね。
確実に旦那さんの子どもってわかっていいじゃないですか(笑)。
投稿: 黒木 燐 | 2006年10月 9日 (月) 11:26
猫だぬきさん
>ああ。なんだか今すぐ鯛を買いに行きたくなってきた(←え?)
ああ、またここにタイノエに取り付かれた女が・・・(笑)。
市販の鯛はおそらく市場で口の中を確認済みではないかと思われます。まあ、絶対ではないので、栄養状態の悪そうな鯛は要注意だ!!
それよりも、釣りたてを戴いたときが危険です。
さあ、張り切って口の中を見てみましょう。
>ってことで、
燐さんのところはここまで読んだ。(しおり)
し・しおりまで ∩( ̄▽ ̄;)∩
いえ、ありがたいことでございます。
投稿: 黒木 燐 | 2006年10月 9日 (月) 12:06
こんばんは☆
>確実に旦那さんの子どもってわかっていいじゃないですか(笑)。
家族で歩いてる時ならそうなんですけど、旦那いなくて子連れでいると、よっぽど似てないか親に見えないようで、友人とかがいる場合なら私が抱いているにも係わらず
「アラー、可愛いねー♪何ヶ月ー?」なんて友人が声をかけられたりします(笑)( ̄▽ ̄;)
ま、旦那ソックリのパッチリ2重になって欲しかったからイイんですけど。
投稿: wing | 2006年10月10日 (火) 03:08
wingさん
やっぱ、逆じゃなくて良かったと思います、うん。
>ま、旦那ソックリのパッチリ2重になって欲しかったからイイんですけど。
結局オノロケですかい(笑)。
バッチリ二重・・・、可愛いでしょうねぇ。
投稿: 黒木 燐 | 2006年10月11日 (水) 15:49