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2006年10月14日 (土)

アイ・ドント・アグリー~うわっつらの美しい国

あんたが良い者だっていうのかい?
でもあんたは悪者みたいだと評判だよ。
ああ、俺は同意するつもりはない。
あんたのやり口は俺には我慢出来ないぜ。


(ザ・ストラングラーズ:アルバム「ノーフォークコースト」より"I don't agree")

 小市民には抗うことすら出来ない歴史の流れのなかで、ついに2006年9月20日、安倍政権が誕生した。そしてそれから約20日後の10月9日午前、北朝鮮がついに地下核実験(らしきもの)を決行した。

 一部の人たちにとっては、なんと都合の良い展開だろう。これで政府は「集団的自衛権の行使」の解禁に向けて、動き出しやすくなる。安倍政権は憲法九条改悪の前に絶対にこれを解禁に持って行かねばならないのだ。

 アメリカ合州国はじめとする核保有国の人の多くは、多分核兵器を単なる爆発力のバカデカイだけの爆弾だと思っているのではないかと思う。でなければあんな恐ろしいものを大量に自国が保有していることに平気でいられるワケがない。
 唯一まともに核テロを受けた国の日本人は、逆に核兵器に関して「実体」を良く知らないで(これは私も人のことは言えないが)、恐怖ばかり煽るキライがある。細かく専門的なことは知る必要はないが、大まかなことは知っておかないと、アインシュタインがナチスの恐怖に負けて原爆製造の発端を与えてしまったように、恐怖に煽られ取り返しのつかない過ちに陥れられるかもしれない。
 知らないから、北朝鮮が地下核実験(ラシキモノ)をしただけで、その実体も結果もまだわかっていないのに大騒ぎになってしまう。マスコミも嬉しそうに連日煽り立てていた。

 実は失敗しているかもしれないし、核物質を大量の爆薬で吹っ飛ばしただけかも知れないしただのTNT火薬を大量に爆発させたのかもしれない(聞くところによると、以前あった「列車爆発」のマグニチュードが3.9であり、今回の爆発もそれに毛の生えた程度の威力だった)。もちろん成功している場合だってありうるが。
 しかし、例え核実験が成功していたとしてもあの国が核保有国になったとはいえない。プルトニウムタイプの場合、それには数回の核実験を繰り返し成功させなければならないのだ。この先、それも近いうちに数回実験が続けてなかった場合、やはり米欲しさ恫喝目的でやったという結果になる。

 ミサイルを撃ったと騒ぎ、核実験をしたと騒ぐ。蓋を開けてみれば、飛んだミサイルは従来型で、ご自慢のテポドン2号は数キロ程度しか飛ばなかった(これでは飛んだというよりもほとんど自然落下である)というお粗末さであった。今回の核実験も、まだ状況があまりわかっていないのでなんとも言えないが、しょぼくさい結果である可能性が高い。

 これは軍事評論家の神浦さんが、ご自分のサイトの「所長挨拶」の10月分に書いておられたのだが、核武装論を利用して、集団的自衛権の行使の解禁に持ち込むだろうという分析だ。

 以下、神浦さんの予想を私なりに踏襲してみよう。

 集団的自衛権とは、下に関連サイトをリンクしているが、簡単に言うと他国と組んでお互いに守り合うことで、自国だけで守る場合は「個別的自衛権」という。日本は国としては「集団的自衛権」を持っているが、憲法九条があるためその行使は禁止されている(しかし、自衛する権利はあるから、個別的自衛権は行使できる)。しかし、政府が何故集団的自衛権にこだわるかというと、現在の周辺国事情がきな臭いからではなく、実は自衛隊をアメリカ合州国の手駒に心おきなく使えるようにすることが目的なのである。そして、集団的自衛権の行使の解禁は、日本国憲法第九条(以下九条)本体を変えることよりもはるかに簡単なのだ。

 さて、まず核兵器の保有だが、これを自衛のために国が所有することは九条でも禁止していない。あくまで自衛のためだから、他国を威嚇・攻撃するのでなければ最小限の所有はOKなのだ(と政府は解釈している。私個人はこんな自国にも他国にもアブナイモノ、麻薬と同じで所有するだけで憲法違反だと思うが)。日本がもしその気になれば、核武装は「北朝鮮よりは」であるが、ずっと簡単に出来るだろう。しかし、それを所有することは、「核拡散防止条約(NPT)」や、「非核三原則」が妨害することになる。おまけにアジア諸国はもちろんのこと、アメリカも自国の軍需産業にとってお得意様であるハズの日本が核武装することを、ナゼか何処よりも嫌っている。もし、日本が核武装した場合、今の北朝鮮よりもはるかに危険視され、思いも寄らぬ制裁を喰らう可能性がある。核武装は憲法解釈次第ではOKだが、ハードルの高いものなのだ。

 で、件の集団的自衛権だが、まず、核武装論を盛り上がらせ、上記の解釈を浸透させる。その後、それと同じ解釈で、集団的自衛権の行使を解禁すればいいのだ。これには非核三原則やアメリカの反対という壁もない。「自衛のためなら最小限の集団的自衛権の行使は許される。」と。そして、この超訳のような憲法解釈を利用して、大手を振って自衛隊を使ってアメリカの加勢が出来るわけだ。2年後の新大統領にそれを献上して、安倍政権の長期化を図り、じっくりと憲法の改悪に勤しむのである。そして、防衛庁は防衛省に、自衛隊は念願の軍隊に晴れて昇格、軍需産業は今よりもバカスカ売れて大パッピーでミサイル防衛万歳、ダブヤ(子ブッシュ)も恵比寿顔、日本の借金もますます増えて・・・。

                 Orzblue

 だから、この時期北朝鮮が核実験をしたのは好都合だったわけで、それがもし大量の火薬を使った偽装地下核実験であったとしても、なんとしても核実験でなければならないワケで、これからも北の将軍様にはがんばってもらってこの問題で大いに盛り上がってもらわないと困るワケだ。これからマスコミを使って必要以上煽り立てる可能性がある。充分な冷静さでこの後の動向を見守る必要があるだろう。
 日本が核武装したところで、地球の火薬庫が増えるだけで、けっして国は守れない、日本は核武装には向かないと言うことをよく考えておくべきだろう。

 安倍首相は、強制ボランティアなんて徴兵準備(強制された時点でボランティアではない)としか思えないことを言っているが、今の日本は国民どころか政治家すらも平和ボケして、とても戦争のできる国という状態ではないだろう。彼らの頭にあるのは戦争ではなく、「戦争ごっご」だ。子どもがピストルを欲しがっているようなレベルではないか。
 スパイクさんが書いておられたように、本当に核ミサイルが飛んでくる危険度が上がっているならば、不確実なミサイル防衛よりもシェルターの建設に力を入れるべきだ。想定外の大地震にも耐えられるような強度を持ったシェルターを作れば自然災害時の避難所にも使える。地下街にシェルター機能を持たせるのもいいだろう。どうせ税金を使うなら、一機あたりの単価のバカ高いミサイルよりも、そういうことに使って欲しいと思う。
 アメリカやロシアが本気で核攻撃を仕掛けてきた場合は、日本中が焦土になるだろうが、ストレンジ・ラブ博士見たいな人がいない限りはそんなことは非現実的だし、今騒がれている唯一可能性のある北朝鮮だって、実際戦術核を持っているかどうかすら怪しい。せいぜいダーティーボムが関の山かもしれないのだ(生物兵器だって、オウムが数度の生物テロに失敗して諦めたように、生物である限り取り扱いは難しく、一番ありえる可能性としては化学兵器あたりだろう。それも、どれを使っても身の破滅だ。まあ、あの将軍様は・・・以下略)。 

 お上の思惑がどうあろうと、この国は戦争できる国ではない。国土も狭いし、国民も政治家も平和になれきっている。今、「臨検」という言葉が盛んに使われているが、それが「戦時国際法」の概念だということを何人が知っているだろうか。
 それならば、徹底して平和主義で行こうではないか。もちろん、やられっぱなしで舐められる事があってはならないので、自衛隊のようなセキュリティは必要だし、また、他国に圧力を与えなければならないこともあるだろう。しかし、武力以外でも方法は沢山あるはずだ。ただし、カネをばら撒けばいいというのではない。外交面で、主張することはちゃんと理論的に主張出来、上手く立ち回れるようになるべきだ。日本は敗戦国だ。しかし、その敗戦国根性からそろそろ足を洗ってもいいのではないかと思う。その点はドイツを見習うべきだろう。

 今朝も、テレビで「もし、北朝鮮が核ミサイルで攻撃してきたらどうなるか、というのをやっていた。時間がなかったので良く見れなかったが、これからもどんどんそういう恐怖を煽るものをマスコミが流す可能性がある。とにかく、それを鵜呑みにしないで、ネット上でも本でも良いから、自分なりに検証することを心がけてください。

 そして、これも忘れてはいけません。誰が最初に核兵器を開発したのか。誰が核兵器を実際に使用し何十万もの罪のない人を虐殺しまたは実験動物として扱ったのか。誰が基地外染みた核開発競争を煽り、南太平洋の美しい海を島々を破壊し島民を苦しめたのか。北朝鮮の地下「核実験」のつい2ヶ月前とそのまた6ヶ月前に臨界前核実験を行っていたのは誰か。

 現在の核の恐怖に覆われた世界を作った発端は誰か。

      Who wants the World?

 私は、日本を「戦争のできる国」にすることに、特に「アメリカと一緒に戦争できる国」にすることに、決して同意しません。 

*****

日本国憲法第九条
 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
○2  前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

集団的自衛権
 http://www.jcp.or.jp/faq_box/002/210517_syuudanteki_jieiken.html
 http://www.jca.apc.org/~kenpoweb/articles/urata061501.html

日本は核武装できるか。
 http://www.geo-yokoi.co.jp/Seiron_Kokunai/KakuBuso.htm
  無理なようです。

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