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2006年9月26日 (火)

ワールド・トレード・センター

 ここによくコメントをくれて嬉しい、高校からのクサレ縁の(爆)(いやいや、良い縁です。ヨーカンありがとう)しなさんが、試写会の葉書があるというので、映画「ワールド・トレード・センター」を見に行った。

 試写は9月24日の午後2時半から。開場前から長蛇の列だったそうで、場内は満員。それでもしなさんは、わりと見やすい真ん中あたりの席を取ってくれていたのだが、前に座った若い男の座高が高く、字幕の見えにくいのなんの。背の高い人は少しは気を遣って欲しいものである。こういう時に英語が出来たら良かったと後悔するが、今更遅い。

 旅客機が衝突したあとの、ビルが壊れる前までに惨状でかなりきてしまった。うっかり涙がこぼれたが、ハンカチを何処にやったかわからなくてこまった(帽子と一緒に持っていた)。
 さすがに映像は実際の映像も交えて迫力だったが、いかんせん、始まって30分くらいで両主人公が生き埋めとなり、それからがちと辛かった。まあ、そういうテーマの映画だから当然といえば当然だが、これからどー進行させんの?と思ってたが、主役達が地下に埋まって生死と戦っているシーンと、彼等の家族が苦悩するシーンと上手く絡めていたと思う。「ユナイテッド93」のほうが面白い、退屈でつまらない映画という批評もあるが、静と動の違いもあるし、特に妙なプロパガンダ色もなく、まあ、これはこれで良いのではないかと思う。
 しかし、主人公達が酸素ボンベの準備中にビルの倒壊に遭い、救助活動する間もなく埋まってしまったというのも盛り上がりに欠ける要因かもしれないが、これは事実に基づいた話だし、ましてやビルが倒壊するなんて誰も予想しなかったことである(とはいえ、ビルは1時間40分がんばってくれたのだが)。班長(マクローリン、主役)が酸素ボンベにこだわったのは決して間違った選択ではない。常に酸欠や一酸化炭素の危険に晒される火災時の救助活動に酸素ボンベは必要な物である。
 それにしても、あんなでかいビルが2棟も崩れ落ちたのに、僅かではあるが30人近い人が生き延びたなんて信じられないことだ。もちろん、レスキューの人たちが命がけで救助をしたからということも忘れてはならない。それでもヒトという生物が、いかにしぶといかということを考えて感動してしまう。

 上映時間中、みな息を呑んで見ていたのか、とても静かだった。さすが大人映画、子どもがいないと静かなもんだ。寝てた人もいるかも知れないが。
 終盤、主人公二人が助け出されたあたりは、あちこちで鼻をすする音が聞こえた。本当によく助かったものである。ある海兵隊員が、諦めずに日が落ちたあともずっと探していたから発見され、救助に至ったわけだが、やはり「精神力と体力」、そして物理的に良い場所にいたという「運」、これらがあったればこそ助かったのだろう。瓦礫に埋まり身体を挟まれ膝を潰され激痛に長時間耐えるのも辛いが、何回もおきる崩落や火事、そして仲間の遺した銃の暴発等、何度も訪れる生命の危機といつ救助されるかわからない不安の中で、正気を保てること事態が難しいだろう。しかし、救助後数週間に渡って麻酔漬けにされたマクローリンは、その後も大変だっただろう。彼らは救助後も生きるための戦いを続けたのだ。
 ところで、もう一人の主人公はヒメノという苗字だが、日系かと思いきや、スパニッシュ系だった。スペイン語でJは「は行」の発音になるからJimenoと書いてヒメノと読むのだ。因みにJapon(日本)は「ハポン」と発音する。

 911テロのWTC跡を爆心地(グラウンド・ゼロ)と呼ぶことについて、私には抵抗があった。しかし、確かにあそこは小規模なヒロシマ・ナガサキの様相を呈していた。あの時はこのような、瓦礫の中で生死の境にいる被災者がもっと広範囲にわたっていたのだ。それも救助の可能性がほぼゼロで、焼死や圧死を待つばかりの生き埋め者たちが。私は瓦礫に埋まった彼らを見ながら、あの日のヒロシマ・ナガサキに思いを馳せずにはいられなかった。
 また、救助に行って命を落としたものや有害物質を吸って身体を壊し、今も障害に苦しんでいる二次被害者がいることも共通している。

 あの911大規模テロは、たとえ、根底にどのような理由があろうとも許されないことだ。しかし、その後の対応は果たして正しかったのか大いに疑問である。アフガニスタンに報復攻撃をしたことは正しかったのか。もっと他の方法で報復することは出来なかったのか。その後何故か始めたイラク攻撃は必要だったのか。
 その答えは、今の世界状況を見ればわかるはずだ。
 果たして、100年後、歴史はどう流れ、その頃の人類は歴史に何をみるか。しかし、今の世界情勢では、その100年後が果たして無事にあるかどうかすら、わからないのだ。

 体力も気力も消耗し、眠ってしまったヒメノの夢にキリストが現れた。現代のキリストはいみじくもペットボトルの水を差し出した。ヒメノは飲めばよかったと冗談を言っていたが、きっとそれを飲んだら死んでいたかもしれない、と、映画を見ながら思ったものだった。

 キリストといえば、主はおっしゃった。「右の頬を打たれれば左の頬も差し出せ」と。もちろん、そこまでする必要はないが、キリストが言わんとしたことについては、わかるような気がする。私はクリスチャンではないし、特に信心する宗派もない。しかし、圧倒的にクリスチャンの多いアメリカ合州国で、多くの人は何故、キリストの言葉を思い出すことがなかったのか、何故声高く復讐を叫び、攻撃を望んだのか。その先にいるほとんどの人が、テロリストとはまったく関係のない、911犠牲者と同じ無辜の人々だったのに。さすれば、宗教にどんな意味があるというのか。
 しかしながら、実行が難しいからこそ、あえてキリストはあのような言葉を遺したに違いない。

 今は人々の善意を信じ、それに希望をつなぐしかないだろう。

 命を奪うことは容易い。しかし、救うことは往々にして難しい。だが、命を救えた時に得る喜びは、どんな魂も揺さぶるほどのものだ。この映画を見て一番に思った感想はこれだった。

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映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

燐さん‥こんばんは!
ここにある収容動物データ検索サイトも
リンク一覧に入れたのでTBいたしました。^^

なんの事故でも九死に一生はありますが殆どの
人は助からないからこそ、そう言うのですよね。
911も色々な話も出てきていて何が正義なのか
、誰が悪の枢軸なのか?もう何を信じればいい
んでしょう?絶対にキリストは呆れていますね。

投稿: ココロ | 2006年9月27日 (水) 22:41

こんにちは♪
お互いに”正義”を振りかざしているんですよね。。。
理由は子供の喧嘩みたいなのに、やってるのが大人だからタチが悪過ぎる。

どうしたいんでしょう?
自分達の考えと違う人達はみんな悪で、いなくなればイイと思っているんでしょうか。。。

彼等の信じる”神”はそうしろと言っているのでしょうか。
ならば、この世界に多くのいろんな人間を作った神の意図は??
お互いに殺し合いをさせて、それを見て楽しんでるような・・・

それって、神?

何か特定なものを信仰してはいませんが、”神”が絶対で正しいもの(例えば善)だと考える方がオカシイのかもしれないとさえ思ってしまいます。

投稿: wing | 2006年9月28日 (木) 15:53

ココロさん

必殺!トラバ返しをいたしました。

マクローりんもヒメノも、九死に一生どころか九十九死に一生、いや、もっと確率が低い生存率で、正に奇跡でしょう。ちょうど荷重があまりかからない場所に飛ばされて、その上身動き出来なかったからこそ、逆に生き延びたのでしょう。万一ビルが倒壊した時にそのような場所が沢山出来るような設計が出来たらすごいかも。

キリストもムハマドもヤハウエ様~お元気ですか♪もアッラーも、もしまだ見放していないならあきれ果てているかもしれませんね。
おまいら、勝手に拡大解釈すな!みたいな。
あ、ヤハウエもアッラーももとは同じモノでしたね。

投稿: 黒木 燐 | 2006年9月29日 (金) 12:53

wingさん

またまた遅くなってすみません。

一神教の場合、信仰対象が唯一神であり他の神の存在は許されません。また、信仰形態がそういう場合、どうしても二元論~善か悪か、デッドオアアライヴ、白か黒かというグレーゾーンのない短絡的なものとなり易いようです。やはり多神教はいいですね。
結局神というものは人間の考えたものであり、誰かに都合のよいものになってしまうのかもしれませんね。
もともと神というものは、人の力の及ばない自然や死等への怖れを具現化したもので、もともと善も悪もなかった、むしろ恐怖の対象だったものだと思われます。だから、私たち人間が善い神とか悪い神とか言うこと自体が畏れ多いことなのかも知れません。
そもそも、神とは人の自由になるようなものではなく、戦争に利用あるいは口実にされるような神は人間に都合よく作られたものだということでしょう。昭和のあの頃のように。
本物の神様はギリシャ神話の如く地上を見ながらチェスを楽しんでいるかもしれませんね。

投稿: 黒木 燐 | 2006年10月 1日 (日) 11:00

初めまして、黒木さん。 長文失礼します。
この「WTC」は賛否両論が大きいそうですね。私はDVDで鑑賞予定ですがストーン監督なので問題提起をするのかと感じてましたが、色んな圧力などで理想を実現できなかったのかも? こんな証言も→ 今週の10日まで貴重な生還者のロドリゲス氏が来日していました。(リンク参照)

日本では話題になってませんが、「なぜツインビルが簡単に崩壊したのか?」という疑問などが、米国で活発に再検証されているのをご存知でしょうか? 「爆薬による計画的な制御破壊」がツインタワー崩落の原因であるとする、9/11 TRUTH映画「Loose Change=ルース・チェインジ」が人々を啓蒙。弱冠22歳のディラン・エイブリー青年作品が世界中で旋風を起こしています。日本でも何とか10月末にDVD上陸。「ネット無料配信」もあるそうです。

これを観ると新たな角度から「ハリウッド911映画」を考える事が出来るかもしれません。「ルース・チェインジ」=「ルース・チェンジ」の反響の広がりなど詳しくは下記BBSの「9月21日」を。↓ これがNHKも報じない今年の9月11日のNYの4分デモ動画。
http://www.911podcasts.com/files/video/TalkingAboutaRevolution.wmv

尚、投稿内容やリンク先とは利害関係はありません。
http://www.wa3w.com/911/index.html
http://www.mypress.jp/v2_writers/hirosan/idx/?mycategory_id=31024
http://8136.teacup.com/empire/bbs

投稿: White・Rabbit | 2006年10月14日 (土) 16:14

White・Rabbitさん

こちらこそ、はじめまして。
いろいろと情報をありがとうございます。
911大規模テロは、あまりの劇的さと後々の米国にとっての都合のよさから、当初から米国自作自演疑惑がありましたね。

>「爆薬による計画的な制御破壊」

WTCツインタワービルのあまりにもあっけない倒壊は、ビル解体時の爆破に酷似しており、そのためにそういう疑惑が出たのだと思います。
私は高層ビルの建設当時の設計上の構造によって起きた倒壊だと思っています。
設計したほうも、旅客機がカミカゼしてくるなんて想定外だったでしょう。倒れないに越したことはないですが、むしろあのような倒壊をしたから被害が拡大しなかったのでしょう。

とはいえ、可能性がないとはいえませんので、様々な疑惑をしっかりと検証して欲しいと思います。

今回の北朝鮮のミサイルや核実験のタイミングの良さも、いろいろ取りざたされています。いづれにしろ、火のないところに煙は立ちませんから、ごまかされないようにしなければいけませんね。

そういう意味で、いろいろな疑惑を検証していることは大事だと思います。

投稿: 黒木 燐 | 2006年10月17日 (火) 02:19

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