日テレ地震シミュレーションドラマ
報道特別ドラマスペシャル
生と死を分けた理由・・・”アース・クエイク”平成18年春・東京大震災
どうでもいいが、どこまでが煽りでどこがタイトルかよくわからないからとりあえず全部書いた。
これは先週の月曜日夜放映されたドラマなので、放映から1週間以上経って書いていることになる。ただし私は録画していたものを日曜日に見たので、まだ見たばっかりな気がする。
このドラマは、東京都の出した東京大地震の被害想定と、都市直下型地震であった阪神・淡路大震災や関東大震災の記録等を資料にして、出来るだけリアルにシミュレートして作られたドラマらしい。詳しくは上記の日テレのサイトを参照してもらうとして、ここでは私の感想を主に書きたいと思う。
地震発生時のシミュレートは大迫力だった。日テレ局内の揺れはおそらく「がちょ~~~~ん」式で、それに加えて室内のものを倒しまくったという感じだった。しかし、アナウンサーの西尾由佳理が自宅で被災するシーンは本当の地震シミュレートの室内で撮影したそうで、マジで死ぬかと思ったそうだ。あと車や列車が地震で事故るシーンや、被災後(というよりゴジラの暴れた後みたいだったが)の都内の俯瞰図などはさすがにCGだった。まあテレビの2時間ドラマにしてはいい出来だったのではないだろうか。
人間ドラマについては、そこまで重みは感じられなかったし、一部学芸会風味であったが、このドラマはあくまでシミュレーションが主体なので多くは望んでいはならないだろう。そのなかで関東大震災経験者役の長門裕之がベテランらしい飄々とした演技をしていた。しかし、このじいさん、未曾有の震災を体験している割に、地震にパニックにならなかったな。まあ、その後空襲も経験してるだろうし、さすが昔の人は強いということか。あと、何故か若槻千夏が看護婦役で出ていた。あびるが自滅していちばん特をしたのはこの子かもしれない。まあ、嫌いじゃないからいいけど。
ついでに言うと、このドラマの主要登場人物の中では、だれも身内に死者や負傷者が出なかったのはさすがに不自然だと思った。それに対して、エレベーターに閉じ込められたケースで、トイレについて言及していたのには感心した。そう、閉じ込められた場合、いちばん困るのは排泄についてだ。妹と話したのだが、エレベーターの底とかに収納場所を作って、紙の簡易トイレを備蓄していたらどうだろう。
しかし、偶然の多いドラマでもあった。宮城県沖震源の震度6弱の地震(これもけっこうな規模の地震だ)の後に東京大地震がおきる。たまたま関東大震災の被災者が出る番組があった。たまたま母子で風呂に入っていたから無傷で助かった。
う~む。まあ、風呂場とかトイレとかの狭い空間は、わりと頑丈なので避難には適しているとは思う。子どもの頃に学研かなんかの地震特集で「地震がありました。広子さんは10畳の部屋へ、くさお君はトイレに逃げ込みました。さてどちらが安全でしょう。」というクイズがあった。もちろん答はくさお君だが、これも昔ながらのぼっとんトイレだと、さらに悲劇が倍増しかねない状況を招く可能性はあるので気をつけよう。あと竹やぶなんかも地下茎が張り巡らされているのでいいらしい。ただし斜面の場合は地滑りを起こす可能性があるから、やめておいたほうがいい。下手すると竹に串刺しだ。いずれにしろ、震度6以上の地震に関しては、生存条件に運がかなり左右するだろう。
最初の宮城沖地震については、実験中の『緊急地震速報システム』とやらの紹介に必要であり、関東大震災被災者は、当時の地震と今回の地震をかぶらせるために必要であり、構成上やむなしかもしれない。しかし、震度6弱といえば、去年の福岡西方沖地震の(玄海島を除く)最大震度である(玄海島は震度7)。福岡は潰滅しなかったが、場所によってはかなりの死傷者が出るはずだ。それがスルーされてシステムの紹介だけに終わるのはいただけない。最もその1時間半後(!)に東京大地震がおきるのだが。
それより気になったのは、地震雲(ほら来た!と笑わない)を前兆現象と受け取られかねないような構成がしてあったことだ。登場人物に「これはまだ因果関係がはっきりしていない」と言わせて逃げ道を作っているが、あれでは地震雲が地震予知のデフォルトと思われてもしかたがないと思う。私は地震雲に関しては全く否定するわけではないが、そんな見た人次第でどうとでも取れるようなものではなく、もっと宏観現象として有効な事象があるだろう。せっかく同局放映の「特命リサーチ200X」でもいろいろ検証したんだから(たいしたことはしてなかったw)。ひょっとして、近いうちに地震雲を特集した特番でも放映するのではないかと勘ぐってしまうぞ(笑)。
あと、地震前に都市を覆う不気味な雲と空の異常発光もなんだかなあ。夫婦海獣シーモンスとシーゴラスが迫ってるんじゃあるまいし(笑)。ひょっとして雷雨でもおこるのかと思ったらそうでもない。やはり前兆現象として表現したんだろう。思うんだけど地震なんだから、光るとしたら地面のほうじゃないのかな。実際阪神大震災でも地震前に発光現象の目撃報告があるようだし。そういえば、地割れや地殻変動の表現もなかったなあ。液状化についての説明はあった。
あと、災害用伝言ダイヤル「171」についての説明は、知らない人や名前は知ってても具体的には知らない人には役だったのではないかと思う。あと、ちょっと宣伝がましかったがワンセグについての情報もそつなく伝えていた。停電が長引いて充電出来ない場合は役に立たないけどね。
あと、トリアージ(選別)という普段聞き慣れない用語が出てきたのでここでも説明しよう。これはテロや大災害等で負傷者が大量に出た時には重要な作業だ。これをしないで無差別に病院に送っていたら、近くの設備が充実した病院に軽傷者があふれ、一刻を争う重症患者を遠くの病院に運ばざるを得なくなり、取り返しのつかない事態を招いてしまう。
トリアージの優先度は4段階に分かれており、それぞれに色分けされたタッグをつけて選別する。Ⅰ:優先度1(赤)は一刻を争うが治療が早ければ助かる可能性の高い重症患者、Ⅱ:優先度2(黄)は重傷だが少し時間をおいても救命出来ると判断された者(ただし容態変化のおそれがあるため監視が必要)、Ⅲ:優先度3(緑)は軽傷者、0:優先度4(黒)はすでに死んでいる者または息はあるが生存に絶望的な者である。黒タッグに選別された場合、状況によっては長い間放置されることもあり得る。トリアージする医師には緊急時とはいえ機械的で冷静あるいは非情な判断が求められる。
参考:トリアージ訓練 トリアージタッグ(優先度に合わせて色をちぎる。Ⅲ(緑)ならそのまま使い、Ⅱ(黄)なら緑の部分を取る。)
それにしても、事前に被災者がうっかり見てトラウマに触れないように、前もってお断りがあったのはびっくりした。局の思惑がどうあれ、そういう配慮は必要だろう。特に事故から1年も経っていないJR福知山線脱線事故の被害者には、あの脱線シーンは辛いだろう。
いろいろ批判的なことも書いたが、見ている時は文句をたれながらわりと必死で見ていた。不必要な恐怖を煽るのは問題だが、地震雲意外はまあ及第点のレベルではないかと思う。首都が潰滅したら、日本全体が大変なことになる。地震はおきないにこしたことではないが、起きた時にいかに被害を減らすことができるかに全てがかかっている。そしてそれは決して人ごとではないのだ。
それを考えたら、例の耐震偽装詐欺事件がこれからどう影を落とすか心配である。
ところでこれは全くの余談だが、妹が「かもめ~がとん~だ~♪」の渡辺真知子が出ている、なんで?と騒いでいた。知るか!
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