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2006年4月 5日 (水)

デジャ・ヴュ in 光明寺

 子供の頃、よく同じ怖い夢を見て泣いていた。ある時期からぱったりと見なくなってしまったが、今でも夢の断片を覚えており、ふっとした瞬間にそれを思い出して不思議な感覚に陥ることがある。断片を覚えているとはいえ、具体的なものではないのでここには説明できない。とにかく脅迫的に怖い夢だった。
 何故そんな夢を見ていたのかわからない。多分現実やテレビや映画がごちゃ混ぜになって夢に出てきたのだろう。子供の頃はけっこう怪獣や妖怪の出る映画やテレビ番組を見ており(そのせいで今も怪獣好き)、時折子供にはとても恐ろしい内容のものもあったからだ。また、幼い頃はけっこう家の中がもめていてストレスもかなりあったと思われる。良い子ちゃんタイプの典型だった私は、そのことを表には出せずじっと我慢していた。そういう抑圧もあって、繰り返し同じ怖い夢を見てしまったのかもしれない。

 デジャ・ヴュは、けっこう日常でも使う言葉なのでほとんどの方がご存じだろう。初めて経験することなのに以前同じことがあったような気がするという、不思議な感覚を伴ったアレである。予知とも前世の記憶とも言われることもあるが、実のところ記憶の錯覚というのが科学的な説明としてはスッキリするようだ。記憶の底にある似たような風景や体験が、今現在の光景とシンクロして同じことがあったと錯覚してしまうというものである(それには自身の体験だけではなく、写真や映画等で見たものも含まれる)。
 その説明は正しいだろう。記憶というものは子孫に伝わらないものであるからには、見聞きしたことの無いものを、あらかじめ知っていよう筈がない。ところが、実際半端じゃないデジャ・ヴュを体験してしまうと、本当にそれだけだろうかと思ってしまうものだ。私も一度だけそれを体験した。

 それは数年前、家の近くにある光明寺(正しくは光明禅寺)に行ったときの話だ。
 そこは、近場でしかも綺麗な庭で有名な禅寺なので、遠くから友人が遊びに来た時はだいたい連れて行く観光スポットだ。だからもちろん初めて行った場所ではない。
 その時も、妹の友人が来るというので下見をしに行ったのだった。だから何の心配もなく堂内に上り、一緒に行った母や妹と別行動で中をウロウロ見て回っていた。ところが、半周ほどして、納骨堂の近くまで行った時のことである。納骨堂は本堂から少しはなれており、橋のような通路で繋がっていた。私は納骨堂には用がないし気持ちも悪いので、そのまま行き過ぎた。そして、ふと堂内の小さい通路にある扉に触れた時、例の既視感にとらわれた。「あれ、私ここに住んでたことある・・・?」その時である。いきなり頭の中に、いろいろなイメージがものすごい勢いで入って来たのだ。もちろん生まれてこの方そんな体験はしたことがない。まるで「サイコメトラーEIJI」でエイジがサイコメトリーした時がこうだったのではないかと思った。
 映像はその通路から渡り廊下へ、その先にある離れの部屋、お堂の縁側に横になっているどこかのおじさん等々、わずか1・2秒の間に映像が次々と変わっていく。私はめまいをおこして通路の壁に手を付いた。しかし、その映像はこの寺であってここではない、見たことのある懐かしい光景ではあったが別の場所のようだった。ここはそんなに大きい寺ではないし、そんな離れなんてありそうもなかった。
 今まで軽いデジャ・ヴュなら何度もあるが、こういうスサマジイのは初めてだった。もちろん何かをサイコメトリーしたとか、前世の記憶が甦ったなどという世迷い言を言うつもりはない。デジャ・ヴュは神経が疲れている時におこりやすいという。多分疲れてたのだろう。デジャ・ヴュというより白昼夢に近かった。その時見た懐かしい光景は、今まで自分が行ったことのあるどこかの家や寺(高校の時合宿した戒壇院も混ざっているかもしれない)のもので、何かの拍子で爆発的に記憶が甦ったのだ。
 しかし、純粋な人がこんなモノを見たら、超常現象と信じ込んでしまうかもしれない。私だって一瞬前世の記憶かと思ったもの。
 人の脳は精密に、そして複雑に出来ている。だからこそたまに奇妙なバグが起こってしまうのだろう。デジャ・ヴュとはそういう脳の誤動作からおこる、不思議な体験なのである。

 ところで最近ふっと思うのだ。子供の頃何度も見たあの怖い夢。あれはそうではなく、夢のデジャ・ヴュだったのではないかと・・・。

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