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2006年3月31日 (金)

毒キノコの話~ドクササコと悪酔いキノコ

 ゴジラで有名な東宝の特撮映画に「湘南マタンゴ娘」 「マタンゴ」というのがあった。ご存じない方に説明すると、マタンゴというのは、ヨットで遭難した若者達がたどり着いた無人島に生息するキノコの名前で、食べても死なないが恐ろしい副作用があり、おそらく毒キノコに分類されるだろう。私はこの映画を子供の頃テレビで見たが、そのストーリーの恐ろしさとショッキングなラストのオチに、姉弟揃って震え上がったものである。

  「せんせ~い、おいしいわよ~。ほんとうよォ~。」「ケラケラケラ・・・。」

Photo_1  余談だが、ドコモダケ(右参照)というのは、ひょっとしてマタンゴを食べた人たちではないかと最近思えてきた、とかいう冗談はおいといて、本題に入ろう。

 しかし、いくら恐ろしいからといっても、マタンゴは想像上のキノコである。だが自然界には実際恐ろしい毒キノコがたくさんある。うっかり食べてしまうと食あたりや幻覚・バッドトリップですめばいいが、命にすら関わるものすらある。その中で、今回とりあげるドクササコは、特に残酷で恐ろしいキノコだ。

 ドクササコはドクツルタケのように内臓に激しい中毒症状をおこすわけではないし、死亡率も低い。それどころか食後軽い吐き気がする程度でその後数日間は、特になんの症状もないのだ。
 ところが、食べてから5日ほど経ってからこのキノコの恐ろしい中毒症状が現れる。手足や鼻・男性器などの人体の末端部分が赤く腫れ、焼けるような激痛が襲ってくるのだ。その症状は実に一ヶ月以上続く。おまけに特効薬はない。モルヒネさえ効かない。そのため、発狂しそうなその痛みは、対症療法でなんとか和らげるしか方法が無い。まるで拷問である。昔は冷たい清水に手足をつけて痛みを和らげたらしいが、長期間水につけるため肉はふやけ骨が見えるまでになってしまうこともあったらしい。そのため、感染症で老人や子どもは死亡することもあったらしい。また、快復後もケロイド状の痕が残るため、「ヤケドキン」という異名もある。
 このような、恐ろしいキノコに中らないためにも、生半可な知識で野生のキノコを採集して食べることはしないのが懸命だ。自分を含め、素人はスーパーなどで売ってる栽培モノのキノコをおいしく食べるくらいにしとくべきだろう。まあ、最近はスーパーでもキノコ鍋にするには充分の種類のキノコを売っているから、便利になったものである。 

 ついでに、死ぬような中毒ではないが、面白い作用をするキノコを紹介しよう。
 ヒトヨダケホテイシメジというキノコだが、リンク先の説明を見てもわかるように、酒と一緒に食べると悪酔いするという、いささか酒飲みにはありがたくない症状を呈する。悪酔いするだけだから死ぬことはないが、かなり気持ちが悪くて苦しい思いをする。治療法は特に無く、酒が抜けるのを待つしかない。キノコに含まれる物質がアルデヒド脱水酵素の動きを阻害するためアルコール分解がうまくされず、血液中にアセトアルデヒトが蓄積されるのが原因である。つまり、酒飲みが全員下戸になってしまうというわけだ。だから酒さえ飲まなければ食べても大丈夫だし、おいしいキノコだ。ただし、食べた後も一週間くらいは禁酒したほうがいい。逆を言えば、酒を止めたい人はこのキノコを常食していれば、必ず禁酒できるわけだ。
 前にも書いたが私は大下戸で、ほとんど酒は飲めない。うっかり飲んだ後の気分の悪さは半端ではないのだ。体中が熱くなって心臓が半端じゃなくドキドキして、頭はガンガン痛くなる。そして間断の無い吐き気に襲われる。だから宴会の席でもほとんど酒に口をつけない。友人たちはそれをわかってくれて、宴会時も私には酒を勧めることはないが、会社の宴会では無理に飲ませようとする輩が必ずいる。私の見た目が飲めそうにみえるせいもあるが、私は泉谷しげると同じく見掛け倒しなので、断固として断るが、それでもたまにしつこいヤツがいる。そんなヤツにこっそりこのキノコを食べさせて、下戸の苦しさを教えてやりたいと思ったりするが、もし実行した場合、バレたら犯罪になる。もっともそんなキノコを手に入れるようなことはないだろうが。

 一口でキノコ中毒といっても、いろいろあるというお話。

【追記】(2007年1月15日)

  Fmaxさんコメント欄で訂正・追記事項を書いてくださいました。どうもありがとうございます。

 若干内容に間違いがあります。ドクササコの毒ですが血液透析、ニコチン酸そしてATPがやや有効みたいです。また鎮痛には硬膜外神経ブロックが唯一、有効みたいです。

【参考資料】
毒キノコデータベース

野生キノコの世界

森の中の可愛いコビト軍団〈毒キノコ〉

きのこウォッチングより
 毒きのこ事件簿

きのこ屋

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コメント

若干内容に間違いがあります。ドクササコの毒ですが血液透析、ニコチン酸そしてATPがやや有効みたいです。また鎮痛には硬膜外神経ブロックが唯一、有効みたいです。

投稿: Fmax | 2007年1月14日 (日) 21:00

Fmaxさん

訂正どうもありがとうございました。
追記いたしました。

それでも決定的な治療法はないのですね・・・。
透析もキツそうです。
間違って食べないようにしなくては・・・って、多分市販のきのこしか食べないと思うので大丈夫かな。

投稿: 黒木 燐 | 2007年1月16日 (火) 01:59

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