アイスバーン
昨日から、特に厳しい寒気が日本列島を覆っていた。こちら福岡も例外ではなかった。
昨日の帰り道、街路樹のホルトの木の数本の葉陰にハクセキレイの群れが寒さを避けて縮こまっていた。よく見なければわからないが、ハクセキレイたちが宿にしている木は、下に大量のフンが落ちているからすぐにわかる。木の下から覗くと、彼等の白い腹がたわわに実った実のように、大量に見ることが出来た。あまりの寒さに彼等も動こうとはしない。街路樹に常緑樹を植えるのは、こういう小動物の避難所になるという点でも有効だ。
「強風が吹かないといいね。」私はこう声をかけると、また歩き出した。ようやく(バスの本数が多い遠い方の)バス停に着いたが、これまたバスが来ない。バス停には人が増えてきた。次の便に乗る予定の人たちだ。女子高生達が寒さに悲鳴を上げていた。そりゃ、そんなミニスカート、それもプリーツのスカートで生足じゃあ、死にそうになるわな。だれだ、人に見られることによって足が細く綺麗になるとかいうトンデモ理論を吹聴したヤツは。暖かい時ならまだしも寒いとな~、却って脂肪が付くんだよ。シロクマやマンモスを見るがいい。こういう日はタイツを2枚くらい履いてその上に毛糸のパンツくらい履いとけ、いやマジで。って私はやってないけど。
そんなこんなですでにこの頃から遅れ気味のバスにようやく乗って、翌日の徒歩を予想していた。
夜は台風みたいに風が吹いていた。猫のシャズはこの風の音を聞いて、家出中のことを思い出さないのかな。わりと平気そう。寒いので猫アンカ6匹フル装備で寝る。外は出ていないが、そこまで大雪じゃないような気がする。昼間大雨が降ったし。しかし、その雨が凍ったら怖いなあ。
朝起きたら、一応白銀の世界にはなっていたが、やはり積雪量はたいしたことなかった。しかし、12月に積雪って、いったい何年ぶりなんだか記憶にないくらいだ。それにやはり氷の上に雪が積もり、油断をすると滑りそうになる。心配したが、わりと歩きに時間を食うことなく電車には乗ることが出来た。電車は遅れはじめていたがまあなんとか時間通りに着いた。で、バスセンターに行くと、案の定ヒトであふれていた。待っていても寒いだけだ。歩くことを即決した。この場合、ふた駅ほど引き返した方が近いのだが、ダイヤが乱れ始めていることだし、時間的にはあまり変わらないだろう。しかし、凍った道を歩くことは予想以上に筋肉を使うことになる。私は引き返すべきだった。
出来るだけ新雪の上を歩くようにした。歩道はともかく、車道はまるでスケートリンクみたいになっている。車ものろのろ運転だ。台数もいつもより少なく、まったく車の通らない状態の時もあった。まあ、晴れてはいるので昼までにはとけるだろう。そんな時、1台の赤い軽自動車が追い抜いていった。なんだか走行が変だ。普通タイヤなんだろうが、ひょっとして溝も若干摩滅しているのかもしれない。信号が赤に変わり、運転手本人も状況がわかってるんだろう、早めにブレーキを踏んでいたようだが、やや斜めに車体が滑っている。停止線前には止まれたようだが、今度は滑って本人の意思とは関係なく少しバックした。交通量が少ないとはいえ、まったく車が無いわけではない。その赤い軽(自動車)は、いつの間にか他の車の中に紛れて走っていったが、無事に目的地にたどり着いただろうか。少なくとも救急車の音は聞こえなかったので事故ってはないらしい。
私はといえば、相変わらず悪戦苦闘して歩いていた。ブーツを買うときに、滑りにくそうな靴底のものを買ったが、踵辺りが若干摩滅してるんだろう、時々踵が滑ってヒヤッとした。特に横断歩道は例のスケートリンク状態なので特に用心して歩かなければならなかった。スケート用のブーツの方がまだよさそうだ。滑れないけど。ようやく行程の半分ほど歩いたが、予定時間を大幅に遅れている。まあ、今日みたいな日はうちの会社でも多くが遅刻だろうからあせることも無いが、朝っぱらから体力はかなり消耗している。それでも白銀の道を歩くのはすがすがしくて気持ちがいい。なんだかんだといっても九州だから、雪国ほど深刻ではない積雪だ。その分雪慣れしてないから交通はガタガタだが。
約一時間歩いてやっと会社に着いた。まあ、普通でも50分近くかかるから、成績は良い方だろう。しかし、水泳の後みたいに疲れた。案の定、うちの部は新人君が一人しか到着出来てなかった。
どうせ雪が積もるなら、普通に積もって欲しいものである。初日から「二日目の積雪」状態はカンベンしてほしい。
気象庁が暖冬予報を撤回したらしい。気象庁の長期予報が外れることは珍しくない。しかし、全国的に積雪で大変なことになっている。福岡はかなりマシなほうなのだ。いい加減この寒波には去って欲しいものだ。大掃除が寒いじゃないか。
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