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2005年12月 4日 (日)

エボラ出血熱ウイルスの拡散、オオコウモリが“犯人”

リンク: @nifty:NEWS@nifty:エボラ出血熱ウイルスの拡散、オオコウモリが“犯人”(読売新聞).

 アフリカ中部で多発し、致死率が90%にも達するエボラ出血熱は、オオコウモリが病原ウイルスを保有し、広めている可能性が高いことをガボンやフランスなどの国際研究チームが突き止めた。
 これまで、病原ウイルスの“運び屋”である野生動物が不明で、予防策が取れなかった。成果は英科学誌ネイチャー最新号に発表された。
 研究チームは、コンゴ共和国とガボンでエボラ出血熱が流行した2001年から03年に、コウモリや鳥などの野生動物計1030匹を捕獲し、感染の有無を調べた。そのうちオオコウモリ3種に病原体のエボラウイルスに感染したことを示す抗体が見つかった。オオコウモリは発症しなかった。
 オオコウモリ3種の分布域は、エボラ出血熱の発生地域とも重なる。研究チームは「オオコウモリは現地で食用にされている。流行防止には、オオコウモリに近づいたり、食べたりしないことが重要」としている。
[読売新聞社:2005年12月03日 20時16分]

 ってことは、まだオオコウモリが宿主と確定したというわけではないようですね。しかし、これがオオコウモリ虐待に発展しなければいいのですが。

 コウモリ宿主の可能性が前からいわれていたことについてはここで書きかけていたのですが、こっちに書きます。

■NHK出版「ウイルス感染爆発」より

P.51
 第1例目(1976年エボラ・スーダン)の麺工場の倉庫番の男性が、なぜエボラウイルスに感染したのかはわかっていない。彼が働いていた倉庫の天井にコウモリが巣を作り、尿が壁を伝って床にたれていたという事実が報告されていたという事実が報告されているだけだ。

 宿主と媒介する動物は必ずしも同じではありません。宿主というのはそのウイルスを身体に持っていても共生できる動物、すなわち発病しない動物のことです。なぜならば、例えばせっかく引っ越してもその家が直ぐに壊れてしまっては意味がないからです。
 1976年のエボラ出血熱発生以来、多くの研究者がエボラウイルスの宿主探しのため数多くの生物を捕まえて調べましたが、結果は芳しくありませんでした。

P.196~P.197を要約

 南アフリカ共和国の国立ウイルス研究所のロバート・スワネポール博士のグループは、別の角度からエボラウイルスの宿主を探る研究を行った。それはキクウィトの患者から分離されたウイルスを使ってさまざまな動植物に感染を試みるという、今までと逆の方法を用いたものだ。要するに、これで感染しても発症しなかったものが宿主の可能性が高いということになる。
 実験に使われた19種の動物と24種の植物の中で、体内でウイルスが増殖したのにも関わらず、発症しなかった生物がいた。それは果実や昆虫を食べるある種のコウモリだった。このコウモリからは肺の内皮細胞からエボラウイルスの抗原が検出され、フンからもウイルスが検出された。
 博士は論文の中で、この結果このコウモリが宿主という決定的な証拠ではないと断定は避けているが、スーダンの例からいっても可能性としてはありえないことではない。

 以上のことから私は素人考えですが、仮設をたてていました。アフリカのある種の昆虫~おそらく古いタイプの珍しい昆虫~が自然宿主で、エボラに耐性のあるコウモリがそれを捕食して感染し、その固体が遠く離れた人間の住居に営巣するなどして人間に感染させたという可能性です。それなら、しらみつぶしの調査でも宿主が見つからなかったのも納得できるのではないでしょうか。
 でも、オオコウモリっていわゆるフルーツバットだよね。昆虫食べないような・・・。アフリカのオオコウモリはどうなんでしょ。しかし、上記の本でも調査動物の中にコウモリがありましたが、宿主という決定打は打てなかった。これは調査方法が進歩したせいかもしれません。ただ気になるのは、コウモリとしか書いてないので調べたのがコウモリだったのかオオコウモリだったのか両方だったのかわからないということです。
 エボラウイルス自体は、エイズウイルスやインフルエンザウイルスのように変異の激しいものと違って変異の少ない安定したウイルスということです。ですから、一度ワクチンが開発されればしばらくは同じものでいけるでしょうから、そこまで怖い病気ではなくなるかもしれません。すでに遺伝子工学を利用したワクチンも出来ているというニュースもあります。もし、宿主が見つかればワクチン開発も一挙に進むのではないでしょうか。

 ただし、エボラ出血熱の大流行は、アフリカの貧しい地域で医療や公衆衛生の劣悪さによりほぼ人災状態(主に院内感染)でおこっています。おそらく日本にエボラ患者や宿主生物が入ってきたとしても何百人も死ぬことはないでしょう(それが生物兵器として改悪されたものでない限りですが、その可能性も少ないと思われます。)。
 ですから、日本では必要以上に恐れる病気ではないと思います。ただし、今のところ万一発症してしまった場合はやはり危険な病気ですが。
 そういうわけで、個人的には珍しい動植物(特に外国産のもの)は出来るだけ扱わないほうがいいと思います。興味本位でやたら生物を輸入するなということですね。

****** 

※ウイルスパニック小説を書いています。

  「朝焼色の悪魔」
  http://kuroki-rin.cocolog-nifty.com/novel/

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コメント

わしの部屋はマンションの一階にあるのぢゃが、時々ベランダを野良猫が通る。
飼い猫も通る(=⌒-⌒^= )〜
ゴミ箱が置いてある訳でなし、皆通り過ぎるだけか昼寝をしているかで悪さをする風でもない。夜間はそれほど来ない。
だがしばらく前に、夜中どう聞いても猫が動いているとは思えない音が、ベランダから聞こえてきた事が何度かあったのぢゃ。かといって犬でもない。
どうにも音の動き方(?)が「げっ歯類」のようぢゃった(− −;
都会でも鼠は出る事があるので、そうかも………と思いながら、それにしては『でかそう』な音なのぢゃ。
ある日、比較的早い時間にまたあの音がしたので、部屋の電器は消したままベッドサイドのスタンドのみ窓の外へ向けて照らしてみたら………Σ( ̄□ ̄/)/


「いたち」だった  ヽ(゜_ 。)ノ


しかも、でかいのが二匹!
もう一匹は角度による見間違いかもしらんが、やや小さくて色も薄いのが一匹いたと思う。
逃げたものか、捨てたものかわからんが、どのみち野生ではなかろう。汚れてもおらず、明らかに毛並みが良かった。

責任者出てこーーーーーいっっっっ!!!
わしは「イタチ伝説の語り部(部下G)」ではないぞ〜〜〜〜っっっ!!!

投稿: 眠り猫 | 2005年12月 5日 (月) 20:02

眠り猫先輩お久しぶりです。

イタチ・・・フェレットですか?
責任持って飼えないんだったら飼うなって思いますよね。脱走して探しているのなら仕方ないけど。
フェレットもだいぶ野生化してるのかなあ。
生態系ぐちゃぐちゃやわ。

>イタチ伝説の語り部

そういえばエロイカにフェレット騒動の話がありましたねえ。懐かしい。

投稿: 黒木 燐 | 2005年12月 6日 (火) 00:39

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