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2005年8月30日 (火)

生物兵器概要

 これは、私が昔「殺人病レポート」というメルマガを出した時の原稿に、加筆・訂正を加えたものである。

■■■生物兵器■■■□□□□決して許してはいけないもの□□□□□

 この、病原微生物等を使った生物兵器(Biological weapons)と、サリンで有名な毒ガス等の化学兵器(Chemical Weapons)は(BC兵器と略す)、貧者の核兵器ともいわれ、比較的低コストで製造でき、しかも強力な威力をもつ厄介な代物です。また、ボツリヌス菌など例外もありますが、感染の初期症状が風邪と良く似ているため、かなり感染が広がるまで生物兵器が使われたということが発覚しない可能性が高いのです。テロリズムにうってつけの兵器といわれる所以です。
 歴史は古く、古典的な方法として敵方の井戸に動物の死骸を入れたり、疫病の感染者を紛れ込ませたりしました。また、アメリカ先住民に、痘瘡(天然痘)患者の使った毛布を送って破滅的なダメージを与えたという話は有名です。当時アメリカ大陸は、まだ痘瘡ウィルスに進入されていなかったため、疫病は恐ろしい勢いで広まりました。
 第1次世界大戦以降、BC兵器の使用が目立ってきます。そして、第2次世界大戦末期に完成した核兵器とともにNBC兵器と呼ばれるようになりました(昔はABC兵器と言っていましたが、水爆の完成により原子〔Atomic〕から核〔Nuclear〕と呼ぶようになりました)。
 ここでは、生物兵器に使われる代表的な病原体を簡単にあげてみましょう。

【炭疽菌】
 生物兵器といえば炭疽、炭疽といえば生物兵器と言われるほど、B兵器におあつらえ向きな細菌です。2001年10月に合州国でこの細菌を使ったテロがあったことは記憶に新しいでしょう。
この細菌のこわいところは、胞子(グラム陽性芽胞形成菌)化し休眠状態になることで、いったん胞子化すると、何年何十年生き続け、熱や圧力・化学薬品にも耐え、その分爆弾などに加工しやすいということです。おまけに毒性が強く、これに汚染された地域は何十年も毒が消えず、誰も住むことが出来なくなります。また、人間の五感には感じないので、気がついたときには蔓延しているという恐ろしい事態になります。

【ボツリヌス菌】
 これも、古典的なB兵器の代表です。一時、からしレンコンの食中毒で有名になったので、名前はご存じの方も多いのではないでしょうか。この、ボツリヌス菌の出す毒素は神経毒で、青酸カリの30万倍の毒素を持つといわれ、破傷風菌毒とともに最強の毒なのです。ボツリヌス菌は酸素を嫌う嫌気性の菌で、瓶詰めやソーセージなどの加工品の中で増え、たまに食中毒を起こします。

【ハンタウィルス】
 731部隊が兵器用に研究していたことで有名なこのウィルスは、感染すると腎臓に重大な疾患を起こし出血死します。致死率は5~15%で、このウィルスの宿主はセスジネズミです。このウィルスの主な生息地は、韓国・中国・東南アジアですが、ヨーロッパのほうまで分布しています。また、93年に合州国のナバホ先住民の自治区で発生した奇病は、同じハンタウィルスでも、肺に疾患をおこすため、呼吸不全を起こして死亡するという変異株で、致死率は高く40~70%にも達します。宿主はシカネズミという可愛いネズミです。

【痘瘡(天然痘)ウィルス】
 天然痘自体は70年から80年にかけて、世界規模で撲滅作戦が展開され、ついに80年5月にWHOが撲滅宣言をし、自然界に存在しないものとなりました。しかしウィルスは、合州国とロシアが研究のため保管しているので、完全な根絶には至っていません。ウィルスのDNA解析が終わると共に焼却廃棄される筈だったのですが、それが終わった今も、いっこうに廃棄されるけはいはありません。それどころか、ロシアではB兵器用にトン単位で保管されているともいわれています。例え公に廃棄されてもウィルスが隠蔽される可能性がある限りは、両国とも廃棄処分にはしないでしょう。
恐ろしいのは、撲滅されたことで種痘をしなくなったために、痘瘡に対する免疫がなくなっている事です。種痘をうけていたとしても、その効果は既に消えているし、若い人たちは、種痘を受けてすらいません。ウィルスが保管されている限りは、決して安心できないのです。

●この他に、B兵器として開発・研究された(されている)微生物を一部列記します。

【ウィルス】
 黄熱・デング熱・リフトバレー熱・ラッサ熱・マールブルグ・エボラ
【細菌】
 ペスト・コレラ・チフス・赤痢・破傷風
【リケッチア】
 発疹チフス・ツツガムシ病・Q熱

**どのようにして使用されるか**

 病原体のタイプによりますが、一般的で一番効果のある方法は、毒素または病原体そのものをエアロゾル(霧状・エアゾール)にしてまき散らすことです。また、胞子状になるものなら、爆弾に加工することも可能です。また、古典的ながら効果がある方法として、感染動物や昆虫をばらまく方法があります。例えば、保菌蚤を衣類や綿などに付けて敵地へばらまきます。病原体を水源地に入れるという方法もあります。
 また、原料が安く、手に入りやすい上に製法も比較的簡単なため、テロに使われる可能性もあります。オ○ムが、化学兵器とともに、生物兵器の研究をしていたことは有名ですね。幸運にも生物兵器の方はうまくいかなかったようですが、彼らは実際に炭疽菌やボツリヌス毒素を散布していました。炭疽菌は、間違ってワクチン株を使ったため(こう聞くと散布された亀戸あたりの住人は炭疽菌に免疫が出来ていそうな気がするが、そう甘くはないだろう)、ボツリヌス毒素は何らかの理由(これははっきりとわかっていないらしい)で毒素が弱毒化したためにこの目論見は失敗しました。また、彼らはザイール(現、コンゴ民主共和国)でエボラ株を得ようともくろんでいたことも知られています(エボラウイルスの宿主はまだ見つかっていないので、アウトブレイクの真っ最中でない限り、いくらザイールで手に入れようとしてもほぼ不可能でしょう)。既にフィクションの世界ではなくなっているということなのです。

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