アカホシテントウのこと
テントウムシは大きく分けると草食と肉食の2種類がある。草食の場合は作物を食い散らす害虫とされ、有名なのはニジュウヤホシテントウだ。肉食の場合は花壇を荒らすアブラムシやカイガラムシを食べてくれるので益虫とされる。人間なんて勝手なもんだが、益虫のほうはナナホシテントウがポピュラーである。
で、このアカホシテントウだが、これは梅の木なんぞにつくカイガラムシを食べてくれる。成虫は光沢のある黒地のボディに深紅の楕円形模様が二つの七宝細工のような美しい昆虫だ。しかし、問題は幼虫である。
テントウムシの幼虫は、親と違って不気味である。まあ、これは蛍や蝶も然りで昆虫には良くあることだが、ことさらアカホシテントウを取り上げたには訳がある。
6月5日の日曜日に町内会のクリーンディがあり、私も参加したのだが、終わって家に帰ると母が庭の草取りをしていた。で、私もミニ薔薇の花ガラを切っていてふと横を見ると、庭に野良生えしている芙蓉がダニだらけになっていた。母に言うとこの木はしょっちゅう虫だらけになると、いきなり剪定を始めた。それから剪定祭りとなり図に乗った母親があちこちの木の枝を切り始めた。そしてターゲットが梅の木の枝に移った時、私はソレを見つけた。一部の梅の枝に小ぶりのピスタチオみたいのがびっしりとついている枝があった。奥のほうでしっかりと見えないが不気味なシルエットである。母に言うと嬉しそうに、「じゃ、切ろう!」といい、鋸でばっさりと枝ごと切り落とした。元気な70歳である。まあそれはともかくとして、切った枝をよく見るとますます不気味で、ピスタチオ状のモノのなかになにか赤いものがいる。私はてっきりカイガラムシの仲間だと思い、殺虫剤をかけまくりさっさとゴミ袋に入れてしまった。リンク先を見てくれるとわかると思うが、
本当に気持ち悪かったのだ。
ところが、それもごみに出してしまった2日後、ネットで偶然それがアカホシテントウのサナギらしいということがわかった。そういえば、一時期梅の木にたくさんついていた小さいカイガラムシがほとんどいなくなっていた。どうやら彼らが食べてくれたらしい。知らぬこととは言いながら可愛そうなことをしたものである。
【教訓】
見た目が不気味だからといって勝手に悪いものと決め付けてはいけない。
【追記】2008.5.21
昆虫ブログさんに、わかりやすい写真が掲載されていました。
http://insects.exblog.jp/8615787/(ちょっとキモチワルイので注意して見てね)
アカホシテントウ
■成虫
http://www.insects.jp/kon-tentouakabosi.htm
■幼虫やサナギの画像もあり(虫嫌いの方は閲覧注意)
・アカホシテントウ(ちょっとキツイかも)
・いろいろなテントウムシと幼虫
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コメント
うちにも梅の木があるのですが、葉っぱの裏に成虫がビッシリとまっていることがありました
あまりに気持ち悪くて、何匹か潰してしまったのですが、益虫だったのですね
虫が木に沢山集まっているのを見ると、木に害があるのではないかととっさに思ってしまいがちです
投稿: | 2011年10月15日 (土) 05:20
名無しさん、こんにちは。
どんな虫でもびっしりは気持ち悪いですね。ましてやこの虫の蛹に至っては、ホラーです。
いくら益虫でも、あまりに数が多いと木にとっても負担はあるでしょうけど、化学薬品や居座って栄養だけ持って行く連中よりははるかにマシといったところでしょうか。レギオンよりガメラのほうがましみたいな(笑)。
とにかく、迫害にめげないでがんばれ、アカホシテントウさん。
投稿: 黒木 燐 | 2011年10月16日 (日) 07:54